カエルマタです。

今でも観光地や博物館のショップで絵葉書をよく見かけることがあります。風景や美術品を写したものが多いようです。

そんな絵葉書ですが、販売が始まったのは明治6年(1873)です。

戦前の絵葉書は、現在では失われた風景を写したものも数多くあり、みていて楽しいものです。

当館でも宮島の絵葉書を展示していますが、個人的にも絵葉書を収集していて、宮島関連の面白いものを入手したので、紹介してみたいと思います。


現存する五重塔と千畳閣が写っています。でも五重塔をよく見てみると、各重の軒先に突っ張り棒が入っていて、一番上の屋根の先にあるはずの相輪が欠失しています。
長い間修理工事が行われずに、屋根が落ちてきていたのでしょうか?
五重塔は、大正2年(1913)に修理工事が行われているので、それ以前の姿ということになります。

ちなみにこの葉書は、表面を見てみると、


宛名欄と通信欄を仕切る線が下から三分の一の位置にあるので、明治40年(1910)4月~大正7年(1918)3月に発行されたことが分かります。

※明治6年~明治40年は、通信欄がない。
  大正7年4月~は、仕切り線が下から二分の一の位置に変更
  大正8年~は、「きかは便郵」→「きがは便郵」に変更


この絵葉書のタイトルは「厳島神社満潮ノ廻廊」ですが、奥の方に五重塔と千畳閣が写っています。五重塔を見てみると、足場が組まれ屋根には覆いがかけられています。どうみても修理工事まっただ中で、大正元年~2年の撮影と考えられます。

この2枚のように突っ張り棒が入っていたり、工事中の五重塔が写ったものが宮島ではお土産として販売されていたわけですが、お世辞にも美しいとは言えないものを当時の人々はどんな気持ちで購入していたのでしょうか。

私が見る分には、いろんな様子が分かってうれしいですが…