壬申の乱を経て、天武天皇とともに日本の古代国家の基礎を形作った、女帝の実像を余すところなく描き切った。
古事記、日本書紀では欠落していた、天武天皇、草壁皇子、文武天皇の父子継承の正統性を示すことが、「万葉集」編纂の動機であったことを論じた。
母体万葉・・巻1・巻2
紀記と並行して編纂された母体万葉は天智天武朝以来の「天皇の歴史」を歌によって書きとどめようとしたものというのが筆者の主張である。
皇位の嫡系継承を確立し,その正統性を明らかにし、それを歌で綴ったのが「持統万葉」。「元明万葉」は持統の意を継いだ続編である。
巻3以降は大伴家持らが完成したものだが、それにより、持統天皇の意図は埋もれてしまったかもしれない。