1997年5月にそれまで勤務していた、証券会社を退社して、1998年の10月にはエイチシーエスを創業し、インターネット上にホームページを公開した。それから、ちょうど10年を経過した。
その社説にあたる、「為替がわかれば世界がわかる」の第一回の内容を紹介してみよう。
98年10月号
①アメリカの利下げにより、世界経済が新しい局面に入ったことが明らかになった。アメリカがリードする一極集中の世界から、ヨーロッパ等への分散の世界へである。ドイツの16年ぶりの政権交代も大きな区切りである。これによりEU15カ国のうち14カ国は旧社会主義政党が政権に入った。
②米国ヘッジファンドの破綻に示されるように、リスク管理の常識を超えたリスクが発生していると見られる。これまでの物差しが使えないことが問題である。アメリカが世界に布教した市場主義、競争至上主義の限界を示した。自国主義、社会政策重視に転換する兆しとも見られる。
③したがって安易な予測、見通し、予断は危険である。FLIGHT FROM RISK しかし逃避先が見通せない、これが現状である。
④11月の米国中間選挙、99年1月のユーロのスタート、当面の中東情勢、石油価格の急騰懸念、ロシア、中国、中南米の通貨不安の行方からは目が離せない。
⑤国内では、際限のない不良債権処理への税金投入、泥沼の景気と連鎖倒産の危機、外貨建て投信、外債運用の悪化、とますます困難な状況が続いている。
⑥為替、株価も断定的な判断を避け、リスクフリーな姿勢を維持する時期ではないかと考えます。
振り返ってみますと、10年間に変わったこと変わらないことが明らかになる。
金融、投資の世界は過去の教訓がまったく生かされていないことが明らか。
変わったことも多々あるわけですけれども、リスクを管理、コントロールすることの重要性はさらに高まっているように思います。