MSAのメールリストでJulia Hammerが10月3日にMac Rutherfordが心疾患で亡くなったことを伝え、何人もの人か夫々のobituaryを書いている。火山噴出物の高温高圧溶融実験の代表選手の一人て、特に1980年Mt.St.Helensデイサイトの相平衡実験(1985)や角閃石の分解組織からマグマ上昇速度を見積もった仕事(1993)は、面白かった。私は1985年に一気圧溶融実験を始めた頃で、その後1995年に神戸に移ってガス圧装置を入手して立ち上げる上で刺激になった。

 自分たちの神戸での最初の実験結果の原稿はjvgrに投稿し、Macが査読者でかなり厳しい判定だったが最後は通してくれた(1999)。実験技術が未熟なのを見抜いていたかと思う。2002年のMt.Peleeの国際会議で初めて会って巡検の時に話したが、身も心も大柄な人の印象だった。島弧火山はH2O, CO2等を含み噴火過程を理解するために今でも高温高圧実験でやるべき事は多い。最近、Toramaru & Kichise (2023) JGRが出たがあの理論に対応する実験はまだまだ必要だと思う。その先鞭をつけたRutherfordも亡くなり世代が入れ替わる。


写真はErnstの記念集会のものでobituaryのポストから。中央がMac Rutherfordで、右側の黒眼鏡がGary Ernst。何人か見知った顔も。