前回表示したように,異なる粒径のガラスビーズを用いた実験では,最初五月雨式に連なって落ちる段階の後,急に塊状に粒子集団が落ちるフェーズが見られた.
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真ん中の列の部分がそれにあたるが,比較的短時間にどっと塊(白く見えます)が落ちている.

これがなぜか,つらつら考えるに,落ちる前に天井にあった粒子層が纏まって剥がれ落ちることが生じているものと思われる.ということは,天井のマッシュ部分が不均一で,どっと落ちる塊部分では固体粒子分率が高くなっていることが考えられる.剥がれ落ちるという点は,液体がマッシュ中に流入するということなので,Shibano et al. (2012) G-cubeの世界に近いかもしれない.

等粒子の球だとパッキングの分率はほぼ一定になるが,2つのサイズ(この場合4㎜φと1㎜φ)が共存してその割合が変化すると,適当に混ざった状態では等粒子サイズの場合よりも粒子分率がかなり大きくなることが予想される.

天井のマッシュはその前の回の沈降で,最初4㎜φの粒子が多く堆積し,その後混ざったものが堆積,最後に細粒(1㎜φ)が主に堆積していると考えられるので,実験開始の時の天井近くは粗粒粒子が多く,粒子分率が低い.そうするとその部分はバルクとして流体としてふるまう傾向にあり,その下のより粒子分率の高い部分が塊となって剥がれ落ちることが生じるのかも知れない.粒子サイズが1つだけの場合や封入した粒子量が少なくてマッシュの厚さが薄い場合はこのような塊でのマッシュの落下は見られないので,そう考えるのが自然.

これはキッチンだけで見られる現象で,自然ではなかなかなさそうだ.まあ,自然はだいたい粒径分布は指数とか対数正規分布とかなので,理論的な扱いが易しい等粒子系ばかりではなく,より複雑なものを見るのも悪くない,という教訓にはなるかも知れない(粒径が連続だったら上のようにマスで落ちることはなさそうです).

バスのなかでつらつら考えている時,前の席に綺麗な女の子が座ったとたんにイメージが湧いて理解が進んだ(気がした)のだが,内容的にはどうもしようのない方向に話が流れてきてしまった.要旨をどうまとめたものか,あと2日半.