ボロノイ分割の話を初めて聞いたのは松田卓也先生からだったか。高木隆司さんの本にも取り上げてあった。数理的に扱うのは容易でなさそうだが、これが結晶サイズ分布とどうも関係があるのではと思っている。1988年にBruce Marsh, Kathy Cashmanが岩石学に導入した結晶サイズ分布は、縦軸にサイズ当たり結晶密度〔m^-4)を対数でとり、横軸に結晶サイズを線形にプロットするもので、1960年代に化学工学の分野で定常開放系の結晶作用の場合、これらは線形の関係を示すことが示され実験的にも検証されていた。岩石の結晶サイズを測定してプロットすると見事にこの指数関係が成立している。この原因について当初は化学工学のモデルをそのまま適用していたが、溶岩の石基についても指数関係が成立しており、この場合、閉鎖系であるので別のモデルが検討されるようになった。当方もスライドグラスの上に塩水をたらして結晶成長させてみると、核密度の少ない処は大きく成長し、大きな処は小さい結晶が沢山生じる。で、ボロノイ分割である。空間中にランダムに核生成が生じ、核によるボロノイ分割で、そのセルの体積が結晶サイズを決めるとするとどのようなサイズ分布になるだろうか?まだその解を見つけていないのだが、予想として対数正規分布になるのではと思っている。対数正規分布〔縦軸線形、横軸対数)を結晶サイズ分布のように縦軸を対数、横軸を線形に取るとほぼ線形な関係を示すのだ。つまり、結晶サイズ分布で岩石学者を悩ませていた指数関係はボロノイ分割で決まることになる。誰か、ランダムな点の分布で生じるボロノイ分割のセルサイズ分布について解を知っておられる方はおられませんか?