
筑摩書房 現代世界ノンフィクション全集21
・ハラー「アイガー北壁の初登攀」
・ノイス「エヴェレスト」
・フランコ、テレー「ジャヌーへのたたかい」
やっとこさ読了。
登頂、とは言いがたい。
登攀隊の見ている情景、風景がよくわからないのにまいった。
ザイルシュリング? クランポン? 「クラムボンはわらったよ。」「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」(宮沢賢治「やまなし」)、接着芯地にクランボンというのがあったな。アイゼンの一種だそうな。コッハー? 鍋、フライパン、どんぶりがセットされたコッフェルか。
巻末の登山用語解説があるが、不足。
そんなこんなで、体験の懸隔を覆い難い。
2000メートル以下の四国の山を右往左往していたおいらには違う世界だ。
フランス隊は人口登攀でアクロバティックをがんがんやっていたそうだがイギリス隊はそうではなかったそうな。
あたしらも、先輩から「ひとが登った痕跡を残すな!」ときつく言われたもんだ。「足跡はどうします?」「山に謝っておけ。」
ところが、岩にはハーケンを打ちっぱなしだし、ボルトなど近代的な用具は使うし、酸素ボンベ等々は打ち捨てるは、ヒマラヤは廃棄物のごみ溜めになっておるそうな。
もともと山は祖霊とか神の座(い)ます聖地だった。
征服とかアタックとかは畏れ多いものだった。
と聖域とするのも過去のものになった。
「山は征服するもんと違うで」と先輩は言うのであった。
♪雪の岩山 緑の谷間
山はやさしく迎えてくれる
山はおいらのおふくろさ こんな歌を教えてくれた。