ボウリング・フォー・コロンバイン


ココリン担当:ココリン

3月20日、アメリカがイラクに対して攻撃を開始した
まさにその日に、この映画を観てきました。
会場に向かう途中、「爆撃開始」の号外が配られ、
拡声器を使って「戦争反対」をPRする人々を見かけました。
もう始まっちゃってるものを、
日本の街角で叫んで何になると言うのか理解不能ですし、
ああいった行動自体が、しょせんは他人事であることを
象徴しているかのようで私は嫌いです。
戦争が回避出来ないと分かった途端に
最前線からノコノコ帰って来た「人間の盾」とか、
一体何を考えてるんでしょうか。
またそんな奴に限って現地の様子はどうだったとか、
TVに出てペラペラ喋ってたりしますし。

そんな今公開という、ビジネスとして見れば
これ以上ないほどの絶好のタイミングで公開される映画です。
タイトルの意味は、1999年にアメリカのコロラド州、
コロンバイン高校で発生した銃乱射事件で、
犯人の高校生2人が、事件を起こす前に
ボーリングをして遊んでいたことからつけられたんだそうな。

まず、この映画がアメリカ発であるということに、
ブッシュの攻撃に対して高い支持率を叩き出した
アメリカ国民の中にも、まだバランス感覚が残ってるんだなと
少し安心しました。

取材と監督を兼任したマイケル・ムーアは、
アメリカという国をただ単に批判するだけでなく、
非常に高い次元でのウィットを交えつつ進行させていきます。
取材も丁寧で、「2003年のアメリカ」を
切り取ったドキュメンタリーとしては上出来だと思います。

ただ、映画として見た場合、あまりにも場面展開が早すぎて
字幕読むのに必死になってしまう点が残念でした。
日本のニュースを二か国語放送で聞くと
全く英語が追い付いてないのに似てますかね。
この映画こそ吹き替え版を用意しても良かったんじゃないでしょうか?
今観れば120%楽しめるのは事実なので、興味のある方は是非どうぞ。

今回のお値打ち:★★★★☆:1300円ナリ

バニラ担当:バニラ

この監督さんのキャッチコピーが
「ホワイトハウスが危険人物に認定した問題監督」なのだそうですが、
むしろこの人ごっつい「いい人」なんですよね~。

この映画の題名になってる、乱射事件の被害者である
コロンバイン高校の元学生二人は身体に障害を持ってしまい、
いまだに体の中に銃弾が埋まったままなんですよ。
事件で使われた銃弾は「Kマート」っていう、
言わばアメリカ版「コーナン」で購入されたものが使われたそうです。
銃弾がコーナンで買えるんですよ!
「ライフで晩飯買ったついでに隣のコーナンで弾買おうかしら?」
(主婦談)みたいな(爆)
でもアメリカはそれが日常なんですよね~。
それでその体の中に残った弾を返すという名目で
Kマート本社に向かったんですね。
本社の銃弾販売担当者に監督自ら仲介するのですが、
最終的にはKマートでの銃弾の販売を廃止するにまで至って、
本人達はびっくり!観ている僕達もびっくり!!!(笑)
最初は本社の人もあまり協力的ではなかったので、
うまくいっても部分的廃止だと思ったのですが、
この結果をVTRで観ると人間何でもやってみるもんだな~と思いました。

また監督自身がすっごい素直に喜んでるんですよね~♪
他のシーン観てても異常者とは思えなくてすごい人情的なんです。
取材を受けて涙を流す人には
「無理して話さなくていいよ」と言葉をかけてあげたり。
結局最後まで観終わって思ったのが、
監督さんが正常でそれ以外のアメリカ国民が異常に見えました。
監督さんは正常なんですけど、
大多数の国民が異常だから過半数意見が正常になり、
正常な少数派意見は異常に映ってるという事なのかもしれません。

今回のお値打ち:★★★★☆:1500円ナリ

忍

この世に「正義」は人の数だけある。
世の中は多数派の正義によって回っているのだ。
だが、多数派はしょせん多数派であって、「真実」ではない。
少数派にこそ真実があるというのも、また誤りである。
この映画は「自由の国、アメリカ」のバランスを支えるためには
なくてはならない映画であろう。
賛成出来るか出来ないかは各々で答えを出せば良いと思う。

映画として見ると、上にもあるようにインタビューシーンが多いため
会話の量が膨大な上に早い。
字幕を追い続けているうちに終わってしまい、
あまり映像に神経がいかなかったのは恥ずかしながら事実だ。
DVDなら音声切り替えもついているはずなので、
DVD化されてからまた観ようと思う。

今回のお値打ち:★★★★☆:1100円ナリ

<映画データ>

題名:ボウリング・フォー・コロンバイン/BOWLING FOR COLUMBINE
製作:カナダ、アメリカ
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
公開:2003/01/25

監督:マイケル・ムーア
製作:チャールズ・ビショップ、ジム・ザーネッキ、マイケル・ドノヴァン
   キャスリーン・グリン、マイケル・ムーア
脚本:マイケル・ムーア

出演:マイケル・ムーア、チャールトン・ヘストン、マリリン・マンソン
   マット・ストーン、ジョージ・W・ブッシュ