Vox 1960年製 AC-10W G1/10 FAWN [Ultra Rare] | HOWL GUITARS
2016年02月09日 13時42分22秒

Vox 1960年製 AC-10W G1/10 FAWN [Ultra Rare]

テーマ: Amplifier
ナマステー

HOWL GUITARSのhiroggyです。

前年のブログに続きイントロ文で、インド一人旅の中で起きた事などを面白おかしく文章に表してみようと思います。旅の供に持って行った小説が村上春樹氏の小説だったので、ちょっとハルキノベル風旅行記にトライしています(笑)

最初の滞在地、ゴアでのアレコレ。

楽器説明文と写真だけ見たい人はサーとスクロールダウンしちゃって下さいヾ( ´ー`)


インド旅行記 (7)ゴア編 「Road to Beach」

「すぁーい!すぁーい!すぁーい!」 というお祭りの掛け声のような男の大声で僕は目を覚ました。なんだと思って午前10時の強い日差しが当たるバルコニーにで出てタバコを吸っていると階下の道に19世紀の乳母車のようなボロボロの荷車を引いた男がアイスを売り歩いてる。彼は "アイス" と連呼してるのだ。ただ強弱アクセントの付けどころがインド流なだけだ。6/8拍子の三連符を4拍子で区切ってしまうように。

やはり体の数カ所を蚊に刺されていた。僕はクリームタイプのかゆみ止めを塗って、今夜からは虫刺され防止のスプレーを塗ってから寝ようとぼんやり歯磨きしながら決めた。インドの水道水はとても危険なので歯磨きを済ましたあとに "殺菌" と称して僕は昨夜買っておいたインド産ウィスキーを軽く口に含んで口内にまんめんなく転がして飲んだ。まるでこれじゃあパブリック・イメージ・リミテッドのジョン・ライドンだ。彼はパフォーマンス中にブランデーでうがいしてバケツに吐き出して更に手鼻を飛ばすなかなかの手練だ。彼のショウを見ていると僕はローディーの人に同情してしまう。

スーパーマリオブラザーズにでてくるヨッシーの顔に印象がどことなく似ているオーナーのポールさんにビーチまでの道順を聞いて外にでかけた。夜の景色とは一変して、昼のカンドリムの田舎道は色彩にあふれていた。とにかく天気が良い。気温も10月中旬だが30度はゆうに超える。道路に置き去りにされた牛の糞は煎餅みたいに乾燥していた。昨日中心街に行くために左に曲がったT字路を右に曲がるとすぐに道がダークチョコレート色の土からザラメ色の砂浜の色に変わっていく。
ココナッツ売りのお婆さんが道端に座りこんで道行く人にかたっぱしから買え買えと声をかけていて、しまいには自分がココナッツを飲むのに殻を割れなくて通行人に錆びだらけの鉈を手渡して手伝ってもらっていたのと、朝のアイス売りとは別のアイス売りの男のフレーズも全く一緒だったのでもしかしたらヒンドゥーアイス大師みたいなのがいて、みんなに売り方を説教でもしているのかななんて想像したことを除けばビーチまでの道のりは何もなくてとても平和的な太陽の光に照らされていた。

僕はビーチについた。きび砂糖色のビーチを手前にアラビア海の水平線を眺めた。まだオフシーズンなのでビーチハウス (椰子の木と葉で作られるインド式海の家) は解体されたままで人もほぼいないが、いままさにビーチハウスの組み上げ作業をしている人たちはまるで目の無い不気味な深海魚を発見した時のような顔で僕を見ている。
僕は自分の格好を今一度確認して砂浜と海をバックグラウンドにして立つ自分の姿を想像してみた。グレーのウール生地の半袖ポロシャツ、黒にダークシルヴァーストライプのコットンのパンタロンスラック、ヴァンズの白スニーカー。ちょうどiPhoneでかかってる曲はカルチャー・クラブの 『ヴィクティムズ』 だ。やれやれ、これじゃまるでスペーススーツを着たホノルルマラソンランナーじゃないか。
歩くたびにかかとで砂を巻き上げ不快な思いをするスニーカーではさすがに浜辺で歩きにくいし、暑くてもう汗だらけだ。日除け帽子も欲しい。僕はすぐに回れ右してビーチとは反対の中心街の方へ歩いた。

次項に続く→

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では本題の楽器紹介へ移ります。

今回ご紹介するヴォックスィなアンプは

Vox 1960年製 AC-10W G1/10 "Throwback" FAWN [Ultra Rare]です。



Voxマニア必見。ミュージアムクラスに貴重で珍しいVox AC-10が入荷いたしました。

「Throwback AC10」 と呼ばれている激レアな一台です。

Voxアンプのバイブルとも言えるJim Elyea著のVox研究書 「Vox Amplifiers JMI Years」 に載っている一台を含め、現存して作動する個体は世界中でわずか3台しか確認されていないレベルのレアピースです。

G1/10というAC10の原型となった50年代のアンプシャーシとパーツが組み込まれている一番最初のスプリットフロントのAC10で、非常にユニークな仕様を持っています。

まずはJennings G1/10からVox AC10になった歴史を軽く説明いたします。

もともとはJennings UnivoxキーボードのアンプとしてG1/10が1950年代中期に発売されました。まだVoxが誕生する前のことです。後年のVoxアンプとは全く違った外観で、旅行カバンのようなキャビネットにオフセットスピーカーでした。
1958年初期にJMI社により新たにVoxと名がつけられたアンプのラインナップは、AC1/15 (AC15原型) とAC2/30 Hi-Fi Amplifier (AC30原型) とG1/10 (AC10原型) としてカタログに登場しました。この新モデル誕生の段階で今でも用いられているEL84真空管をパワー管に使用しはじめました。
1958年中期には正式にAC10と改名されますが、最も最初のAC10にはこのG1/10のシャーシとサーキットがそのまま流用されています。大きく変わったのはキャビネットで、いまではTVフロントと呼ばれています。オフホワイトのリザードスキンカヴァリングに、ダークブラウンダイアモンドグリルが特徴的で、VOXロゴもグリルネット右上に追加されました。この頃のAC10にオリジナルで搭載されていたスピーカーはほぼ例外なくRichard Allan Plesseyの型番1012のブラウンハンマートーン・10インチが一発でした。
インプット数やコントロールパネルに設置されるノブの数も改良を重ねて増え、初期は2インプット/1Vol/1Toneだったのが60年までには4インプット/5コントロールまで増えます。そして60年後期に大幅なスタイルチェンジがされ、現在でも一番有名なスプリットフロントになりました。ちなみにこの時にPlesseyスピーカーはElacに変更されます。
61年にスタンダードなAC10そして10インチスピーカー二発のAC10 TWINが誕生する前の過渡期にこの個体 「Throwback AC10」 が極僅かな数つくられました。

次は 「Throwback AC10」 の特徴。

外装だけを見ればその後のレギュラーのAC10とよく似ています。ぱっと見は普通のAC10ですね。
しかしながら明らかに違うのは、一回り小さいキャビネットサイズ、スプリットフロントのFAWNカヴァリングの比率はレギュラーのサイズに比べ狭く、これはこのモデルにしかない特徴です。
中身はレギュラーのAC10と全く違っています。まずはじめに、アンプの心臓部であるシャーシやサーキットはAC10の原型アンプである50年代Jennings社のG1/10そのままです。そして50年代のG1/10と同様にアンプのメインシャーシはキャビネット下部に置かれています。
チャンネルは1つのみでコントロールパネルにあるのはVolumeとToneだけです。中のパーツでさえ60年当時にはすでに使われていない前のヴァージョンです。そして背面には59年あたりのVOX TVフロント時期の独立したヴィブラートコントロールノブがついており、バックパネルはマソナイト材でカヴァーされています。

なぜこのような個体が作られたかは謎ですが、察するに、50年代のレフトオーヴァーしたパーツを60年当時のキャビネットに実験的に組み込んでみた試作品であると思われます。

オリジナルのダイアモンドグリルネットやFAWNカヴァリングの状態も全体的に良く、素晴らしい個体です。

それでは、お写真を公開。



狭いスプリットフロントのファウンカヴァリング。オリジナルVOXロゴです。



オリジナルのブラウンダイアモンドグリルネット。破れもなく非常に良い状態です。スピーカー搭載位置がセンターではなく左に寄っている点もこのThrowbackのみに見られる仕様です。



アンプ上部です。オリジナルのブラックプラスチックのハンドルにゴールドブラスベンツ。コントロールパネルは50年代のG1/10のブラックパネルがそのまま流用されています。



コントロールパネル左側です。チャンネルは1つのみで、2インプット。VOLUME / TONEのシンプルなコントロール。ノブも旧タイプのノンポインターのオリジナルホワイトノブです。



パイロットランプ、ON/OFFスウィッチ、初期のAC10に使用されていた "Swedish" と呼ばれる丸型プラスチックのヴォルテージセレクターです。



一番初期の58年AC10にも使用されていたパネルと同様、パネル中央上部に "JENNINGS MUSICAL INDUSTRIES, Ltd. DARTFORD KENT" とシルクスクリーンプリントがされています。



back viewです。マソナイト材のボードです。ケーブルストレージ用の穴もあいています。



バックプレートは1960年当時のVOXの物が使用されています。シリアルナンバーも60年当時の通し番号です。



バックパネルの上部には59年VOX TVフロント時期の仕様の独立したヴィブラートコントロールノブがついております。



バックパネルを外した状態です。アンプのメイン部分は全てアンプ下部に設置されています。これもG1/10の特徴です。



アンプ上部のヴィブラートパートとポットのコントロール部分のシャーシです。プリ管初段とトレモロ用プリ管共にEF86が使用されている点もとても珍しい点です。



真空管のレイアウトは左からGZ34 / EL84 x2 / ECC82で、整流管にGZ34を採用している点が珍しいです。通常のAC-15&AC-10はEZ81が標準の整流管になりますのでGZ34仕様のAC-10はThrowbackしか存在しないのではないでしょうか。ECC82はフェイズインバーター用のプリ管で同時期のSelmer Ampにも同じような構造が見られます。



オリジナルの電源トランスです。なんと貴重なRadiospares製のPower Transです。240V仕様です。



オリジナルの出力トランスです。8オームのみのアウトプットトランスです。



オリジナルのチョークトランスです。



メインアンプのシャーシ内部です。プリ部とセパレートなのでパーツ数が少なくすみます。



シャーシ内部の左側です。電解コンデンサーと整流管のソケットが確認できます。GZ34仕様なのでヒーター電源に5Vが必要となります。予想ですが、それが理由でRadiospares製のトランスにしたのではないしょうか。EZ81であればその他の真空管と同じく6.3Vでヒーター電源が使用できますので。



シャーシ内部の右側です。内部パーツもオールオリジナルをキープしております。当時の高級パーツがたくさん使用されています。



キャビネットとスピーカーです。スピーカーは中心より少し右寄りについています。恐らく真ん中に搭載すると電源トランスに当たってしまうためにズラして搭載したのだと思います。



スピーカーはWeber Blue AlNiCo 10インチに交換されています。Weberはマニアックにスピーカーのリイーシューを作っている会社で、ブルーアルニコの10インチをリイーシューしている会社は本当に少ないです。



初期のAC4などによく使用されていたオリジナルの木製のフットペダルです。240Vのイギリス仕様なのでソケットもBFタイプのままです。




数あるレアなVOXアンプの中でも一際珍しい 「Throwback AC10」

長年JMI期のVOXアンプを集めてきた当店ですら初めて実物を目にした一台です。

60年当時のFAWNカヴァリングとブラウンダイアモンドグリルに極初期の50年代ブラックコントロールパネルの、あり得ない組み合わせが最高にクールです。

サウンドは言うまでもなく、正真正銘ヴィンテージヴォックストーンです。渋いです。

COZYな歪みに、深いヴィブラートがとても気持ち良くかかります。

お探しの方、興味のある方はこの機会に是非。


hiroggy
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