Vox 1962年製 AC-10 Twin Smooth Black [JMI-Era] | HOWL GUITARS
2015年12月24日 13時42分47秒

Vox 1962年製 AC-10 Twin Smooth Black [JMI-Era]

テーマ: Amplifier
ナマステー

HOWL GUITARSのhiroggyです。

前ブログに続きイントロ文で、インド一人旅の中で起きた事などを面白おかしく文章に表してみようと思います。旅の供に持って行った小説が村上春樹氏の小説だったので、ちょっとハルキノベル風旅行記にトライしています(笑)

ようやく、インド - 空の旅 - もおわり。

楽器説明文と写真だけ見たい人はサーとスクロールダウンしちゃって下さいヾ( ´ー`)


インド旅行記 (5)続き「ジョニーウォーカーの墓標」

僕は映画『フォレスト・ガンプ』の有名なワンシーンと、ダン中尉と若き日のイアン・アンダーソンの類似性の真否をムリヤリ頭から追いやり、夢中で階段を駆け上がった。
ティック・タック
セキュリティチェックゲートの前に自動小銃を肩にかけた "検問官" がいて本日三度目のパスポートチェックをしようとするので「今さっき見せたジャパニだよ!乗り遅れちまう!」と叫びながらダッシュで通過した。息を切らしてゲートにたどり着き、荷物を持ったままボディチェックに向かう。もちろん止められる。あと3分でヒコーキがいっちまうんでい。と何度かゴリ押してみたが、規則は規則。お約束はお約束なのだ。コンベアに荷物をのせる時間ももどかしく、直接ビニール袋に入ったままのバックパックをX線ボックスの中に放り込んだ。その間にすかさずボディチェックを済ます。
ティック・タック
全速力で走ったので息が上がってうまく言葉がでてこなかったので、目で「もうチェックはいいだろ」と伝えた。規則は規則。お約束はお約束。の繰り返しが始まった。
「酒はノオ。持ち込めないノオ。袋から取り出して」と職員が繰り返し言う。
ティック・タック
「オーケー、わかった。飛行機のってから捨てるなり飲むなりして解決する。飛行機は待ってくれない。あと2分なんだ」僕はとりあえずビニール紐とビニール袋を引き千切りながら懇願した。
ティック・タック
彼は折れた。ボディチェックゲートを通り抜けボーディングゲート。長く暗いトンネルの先に豆電球くらいの暖色光が見えてきた。でも豆電球の光はすぐに消えてしまった。一人は折れたけれど職員は彼だけではない。すぐさま自動小銃を肩からぶらさげたマッチョな "検問員" が僕の荷物を取り上げて床に置き中身を出すよう指示する。
ティック・タック
今度は僕が折れた。飛行機も僕を置いて飛び立ってしまっただろう。ジョニーウォーカーの呪いだ。
僕は床に座り込んでバックパックからジョニーウォーカーを取り出し、彼に渡す。
「おめでとう、君へのプレゼントだよ」
鈍行電車の網棚に居ることも許されなくなり清掃員の手によって非情にゴミ箱に放り込まれた一昨日刊行の三文新聞紙の存在意義くらいちっぽけで投げやりな気持ちになっていた。

頭を少し右に傾けて錆び付いた自転車のブレーキ音を聞いた時のような表情をした彼は何も答えない。

すると、
「ゴアー、ゴアー!ゴアああああ」
と制服を着た女性職員が大声を上げて近寄ってきた。僕を探しに来てくれたのだ。
彼女が天使に思えた。彼女をインディアン・ジェニーと名付けたい。
ワシントンDCのリンカーン記念館前の長方形の池でジェニーがフォレストを見つけ出して名前を叫ぶように僕も「ゴアー、ゴアー!ゴアああああ!!」と手を振って応えた。
文章で表してみるとなんだかアマゾンにいる怪鳥の会話のようだけれども、それだけで僕は救われたのだ。
「まだ飛行機は待っているから、すぐにゲートに走って!」と僕の手を取ってくれた。
僕は床に放り出された衣類や小物を5秒で乱雑にバックパックに押し込み、ブランケットを忘れていないことを確認して彼女の指す方向に走ろうとした。しかしウィスキーを受け取った "マッチョ検問員" が最後のお約束をぶちかました。ウィスキーを僕に手渡し、5メートル離れたところに位置する銀色のヘヴィーデューティーなバケツを指差し、中身を全て目の前で捨てろと言う。規則は規則。お約束はお約束。やれやれ、ここまできたらアッパレなもんだ。
インド人は妙なところで律儀だ。色々なところでとても適当に思えるのに。かなり意外だし、十万分の一の確率で律儀インド人に会ってこんなところでいらない律儀さに包まれたならサンクスゴッドだ。
僕は迷うことなくバケツの前にツカツカと大股で進み、ウィスキーの蓋を力を入れて捻って開けた。工場で瓶詰めされてから1ミリリットルも減っていない、ブランドニューコンディションが今壊されたわけだ。さっそくウィスキーは空気と触れて酸化を始めている。ウィスキー独特の比重がありトロリした香りが僕の鼻腔をくすぐった。そう、とてもゴージャスにくすぐられた。僕はその場でどうしても一口飲みたくなってしまったのだ。ジョニーウォーカーの呪い。
ティック・タック
だめだだめだ。僕は "あっち側の世界" に入ってしまうわけにはいかない。気持ちを切り替え、バケツの蓋の構造を確かめた。瓶のまま捨てられないように強い蓋バネで注ぎ口のサイズしか開かないように作られている徹底ぶりだ。ちょうど灰皿で似たような構造がある。僕は瓶を逆さまにして蓋バネに注ぎ口が正確に引っかかるように力強くジョニーウォーカーを差し込んだ。というより突っ込んだ。少し角度を調節して引っかかっていることを確認して、マッチョ検問員にジョニーウォーカーの墓標となったバケツを確認してもらうために片腕を横に上げる。手品のショーを見せるように。マッチョ検問員はもう気力の無い顔をしていた。おれだってやりたくてこんなことをしているわけじゃないんだよ。というふうに。
僕は心の中でお酒の神様に謝った。もちろんジョニーウォーカーにも謝った。一滴も飲まずに捨てるなんて。ごめんなさい。ごめんなさい。安らかに眠れ。
ジョニーウォーカーの墓標にはキング・クリムゾンの名曲、『エピタフ』がぴったりだ。
「Confusion will be my Epitaph (混乱、それが我が墓碑銘であるだろう)」

ティック・タック
でも僕は走らなければいけない。ここにいる誰よりも早く。とにかく早く。僕はバックパックとブランケットを手に取りボーディングゲートに向けて全速力で走った。
インディアン・ジェニーが後ろから大声で応援してくれた。
「ラーーン!!ゲートナンバー6Bよ~!!」
ティック・タック
もうゲートに職員はいなかったがゲートは開いていた。飛行機までのボーディングブリッジを駆け抜け、ようやく機内についた。僕は肩で息をして汗まみれだった。すでに席に着いた乗客も驚いた顔で僕を見あげる。でも僕は他人を気にするほどマトモな精神状態にいない。荷物を上の棚に放り込み、ようやくシートに腰をかけた。セーフ。
僕が席についてシートベルトを締める間もなく飛行機は動き出し二機のジェットエンジンが大きな音をたてた。

ゴアー、ゴアー!ゴアああああ。

次項に続く→

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では本題の楽器紹介へ移ります。

今回ご紹介するヴォックスィなアンプは

Vox 1962年製 AC-10 Twin Smooth Black [JMI-Era]です。



貴重なJMI期のVox 1962年製 AC-10 Twin Smooth Blackが入荷致しました。

数々のミュージシャンに愛用されえて、VOXこそBrit Soundを作り出したアンプメーカーと言っても過言ではありません。英国歴史的功労賞を与えてもいいんではないか!と思う程です。

今回の個体はなかなか見つけるのが大変な初期のJMI期の初期物です。62年に登場したブラックフィニッシュカヴァリングの中でも最初期のSmooth Blackの一台です。

AC-30よりも小ぶりで使いまわしも良く、日本の住宅環境にもフィットしたサイズのAC-10 Twinです。

AC-10 TwinはAC-30のサイズダウン仕様で同じような作りと思われがちですが、以外と知られていない特殊でマニアックな仕様を持った名器です。AC-30とAC-15がノーマルチャンネルのプリアンプゲインにECC83を使用しているのに対し、AC-10ノーマルチャンネルはECF82という3極(Triode)と5極(Pentode)を持ち合わせた真空管を使用しています。つまりECC83とEF86の合いの子的構造を持った真空管といえますね。そのECF82の3極部分をプリアンプゲインに、5極部分をヴィブラートコントロールに使用しているのでECC83のダブルトライオードよりもクリーンなサウンドを作り出しています。ヴィブラートチャンネルのプリアンプゲインはEF86で、AC-15やAC-30の初期型と同じで毛羽立ったスウィートなBritish Toneが体感出来ます。

また、更にマニアックな情報ですが、入力インピーダンスがVox含め他のメーカーでもなかなか見掛けない220KΩの抵抗を使っている点もAC-10だけの特徴です。VOXもAC-15,AC-30をはじめ、ほとんどの機種で入力インピーダンスは68KΩを使っています。FenderもMarshallもほとんど68KΩです。なぜAC-10だけ220KΩにしたのか!?謎です。。。

そのほかにも10インチスピーカーを採用しているのもAC-10だけの為、AC-15やAC-30ではCelestion社のアルニコスピーカーを使用していますが、AC-10はElac社のブルーのアルニコスピーカーを採用していたり特徴的な仕様が詰まっています。

それではお写真を公開します。



オリジナルのVOX logo。



コントロールパネルです。オリジナルハンドルです。さらに初期だけのBrass Vents仕様です。



パネル左側です。ヴィブラートチャンネルとノーマルチャンネルのインプット、ヴィブラートのAMPLITUDE (DEPTH)、SPEED、VOLUMEと並んでいます。



パネル右側です。ノーマルチャンネルVOLUME、TONE、スウィッチとパイロットランプです。ヴォルテージセレクターは240V仕様に固定されています。



back viewです。バックパネルは交換されていますが、同年代もしくはより古いものが使用されています。



VOXのプレートです。これはリプロに交換されています。



バックパネルを外した状態です。ほとんどオリジナルコンデンサーのMullard Mustard Yellow Capが使用されています。



シャーシ左側。小さな電解コンデンサーや小さな抵抗は交換されています。



シャーシ右側です。B電源用の電解コンデンサーはオリジナルをキープしています。



取り出したシャーシの画像です。真空管は交換済みです。上3本がプリ部、左からECC83、ECF82、EF86。下3本がパワー部、左からEL84 x2、整流管のEZ81。



パワートランスです。個体自体はヴィンテージですが交換されています。200-240V仕様。



アウトプットトランスは英国内で高級トランスなどを製造しているDANBURY ELECTRONICS UK製のVOX AC-10の完璧なリイーシュートランスに交換されています。



オリジナルのチョークトランスです。型番が確認できます。



パワーアンプ部分の裏側です。EL-84 Push/Pullのカソードバイアス回路が確認出来ます。



左側の画像です。アウトプットトランスの裏側とオリジナルのメインの電解コンデンサーが確認出来ます。



右側の画像です。パワートランスの裏側とパワー管の回路が確認出来ます。



キャビネットとスピーカーの画像です。



スピーカーはWeber Blue AlNiCo 10インチに交換されています。Bell CoverがあるのでElac SpeakerよりもルックスがCelestion Alnico Blueに近いです。



スピーカーに貼られたラベルです。Weberはマニアックにスピーカーのリイーシューを作っている会社で、ブルーアルニコの10インチをリイーシューしている会社は本当に少ないです。



FAWNフィニッシュの1961年製 VOX AC-10 TWINとツーショット。




初期型にしか存在しない貴重なSmooth Black CoveringのAC-10 TWINです。

交換箇所は多少ありますが、オリジナルを忠実に再現したレベルの高いリイーシューパーツを使用しており、内部コンデンサーなどはオリジナルをキープをしていますので、VOXサウンドは健在です。

よくAC-10は非力でドライヴしないアンプという印象を持たれがちですが、この個体はしっかりとメンテナンスされているので、そんなイメージをマインドブロウされる迫力のあるクラスAチューブサウンドが出ます。

VOX特有のパンチの良さ、きらびやかさは極上です。

お探しの方はこの機会に是非!


hiroggy
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