気候変動は、世界中の環境、社会、経済に多大な影響を及ぼしている。以下はその主な影響と顕著な例である:

 

深刻な干ばつ

米国カリフォルニア(2011~2017年)、東アフリカ(2015年から継続中)、オーストラリア(2017~2020年)など、カリフォルニアの長期干ばつは、水不足、農業損失、山火事の増加につながった。東アフリカでは干ばつが食糧不足を引き起こし、資源をめぐる紛争を悪化させた。

 

水不足

南アフリカのケープタウン(2017~2018年)、インド(2019年チェンナイ)など、ケープタウンは、貯水池の水位が大幅に低下した「デイ・ゼロ」と呼ばれる深刻な水危機に直面した。チェンナイはモンスーンの遅れと水管理の不備により水危機に見舞われた。

 

大規模火災

オーストラリア(2019~2020年)、カリフォルニア州(2018年と2020年に大火災が発生)など、2019年から2020年にかけてのオーストラリアの山火事シーズンは、「黒い夏」とも呼ばれ、数百万ヘクタールが焼失し、数千の家屋が破壊され、約30億頭の動物が死亡または避難した。2018年に発生したカリフォルニア州のキャンプファイヤー(山火事)は、同州史上最も死者が多く、最も破壊的な山火事となった。

 

海面上昇

世界的な現象で、モルディブやバングラデシュなどの低地、マイアミやニューヨークなどの沿岸都市に影響を与えている。モルディブは海面上昇による存亡の危機に直面しており、2100年までに国全体が水没する可能性があると予測されている。バングラデシュでは、海岸浸食と洪水の増加がインフラと生活に影響を及ぼしている。

 

洪水

パキスタン(2010年、2022年)、ヨーロッパ(2021年)など、2010年にパキスタンで発生した洪水は、2,000万人以上の人々に影響を与え、家屋、農作物、インフラを破壊した。2021年には、ドイツとベルギーで壊滅的な洪水が発生し、人命と財産に多大な損害をもたらした。

 

極地氷冠の融解

北極および南極地域で現在も進行中である。北極圏では海氷面積が劇的に減少し、野生生物や先住民社会に影響を与えている。南極の氷の減少は、世界の海面上昇に寄与し、世界の海洋循環パターンに影響を及ぼす可能性がある。

 

壊滅的な暴風雨

ハリケーン・カトリーナ(2005年)、ハリケーン・マリア(2017年)、台風ハイエン(2013年)など、大西洋と太平洋のハリケーンシーズンで破壊的な暴風雨がおきている。ハリケーン・カトリーナはニューオリンズに広範囲に及ぶ破壊をもたらし、1,800人以上の死者と莫大な経済的損失をもたらした。台風ハイエンは、観測史上最強の熱帯低気圧のひとつで、フィリピンに壊滅的な被害をもたらし、数千人が死亡、数百万人が避難した。

 

生物多様性の減少

アマゾンの熱帯雨林(森林破壊が進行中)、サンゴ礁(グレート・バリア・リーフ、サンゴの白化が進行中)など、「地球の肺」とも呼ばれるアマゾン熱帯雨林では、森林伐採が加速し、種の喪失や生態系プロセスの崩壊に直面している。グレート・バリア・リーフでは、海水温の上昇によりサンゴの白化が深刻化し、海洋生物多様性が脅かされている。

 

これらの例は、気候変動がさまざまな地域や生態系に及ぼす影響が、多様で相互に関連し合っていることを浮き彫りにしている。これらの課題に対処するには、世界的な協力、持続可能な慣行、そして緩和と適応に向けた多大な努力が必要である。