高給事務職、残業代なし「労働時間規制除外」導入…労基法改正へ
管理職一歩手前のホワイトカラー(事務職)のサラリーマンについて、厚生労働省は27日、1日8時間、週40時間の法定労働時間規制から除外する「自由度の高い労働時間制」(日本版ホワイトカラーエグゼンプション)を、労働基準法改正案に盛り込むことを決めた。 同日開かれた同省の労働政策審議会労働条件分科会が、導入を求める最終報告をまとめ、柳沢厚労相に提出。報告書には「長時間労働となる恐れがあり、認められない」とする労働側の意見も併記されたが、同省は「議論は尽くされた」として、今後、来年の通常国会提出に向けて、法案作成に着手する。 新制度が導入されると、労働者は自分の判断で、出社・退社時刻など、1日の労働時間を調整できるようになる一方で、残業手当は支給されず、成果で給料が決まる。企業が新制度を導入しようとする場合は、事前に労使で協議し、労働者側の同意を得なければならない。新制度の対象者については、週休2日に相当する年104日の休日確保を企業側に義務付け、違反した場合は罰則を科す。 最終報告では、新制度の対象者の条件として、 〈1〉労働時間の長さで成果を評価できない職種 〈2〉重要な権限や責任を相当程度伴う地位にある 〈3〉業務の手段、時間配分について、経営側から具体的な指示を受けない 〈4〉年収が相当程度高い ――の4項目を挙げた。 同省は、具体的な年収の額を省令で定めることにしており、大企業の課長、係長職の平均年収を参考に、800~900万円以上とする方向で検討している。 新制度の法制化には、公明党が慎重審議を求めており、法案作成に向けて、与党との調整の難航も予想される。最終報告には、 〈1〉残業代の割増率(現行は25%)の引き上げ 〈2〉採用から解雇までの雇用ルールを定める労働契約法の制定 ――なども盛り込まれた。 「仕事長くなる」不安/「調整自由、働きやすい」期待 労働者が働く時間を自分で決め、成果に応じて給料が決まる。管理職一歩手前のホワイトカラー(事務職)のサラリーマンを対象にした新しい働くスタイルが、労働基準法に盛り込まれる見通しとなった。「自由度の高い労働時間制」(日本版ホワイトカラーエグゼンプション)がもたらすのは、人間らしい生活か、今以上のハードワークか――。 「集中して働き、時間に余裕のある時は、休暇をとったり、労働時間を短くしたりできる」「頭脳労働では、調子が上向いた時に集中的に働く方が効率的。本人の達成感や満足感も高くなる」――。日本経団連が昨年6月に発表した「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」には、新しい働き方の理想像が、こう描かれている。 1947年に制定された労働基準法は、労働の量を時間で測ることができる工場労働者を想定している。しかし、鉄鋼など重厚長大の業種が主力だった時代は去り、IT産業などが主役となった今、実情にそぐわない面が出てきた。そこで、働いた時間の長さではなく、働きの成果で賃金が決まる新制度が必要というわけだ。 自分の判断で労働時間を調整できることが、この制度の最大の利点。「自分の仕事を片づければ、あとは自由。早く帰って、子育てもできる。仕事と生活の調和が図れる」(厚生労働省幹部)というのだ。 働く現場では、「自分で仕事をコントロールできる立場なので、ガチガチに管理されるよりは、働きやすくなる」(大手流通会社の企画・立案部門で働く40歳代男性)と期待する声がある一方で、不安の声も少なくない。 首都圏の企業でプラント設計に携わる30歳代の男性エンジニアは、数か月間も現場に出張し、帰れば、積み残しの通常業務をこなすため、土日も出勤する生活が続く。 新制度が導入されれば、この男性も数年以内に、対象となる可能性が高い。「仕事はいくらでもあるので、もっと長時間働くことになるのでは」と心配する。 新制度の対象者については、1年間で週休2日分(104日)の休日を確保し、従わない企業には罰則が科されるようになるが、この男性は「104日以外の261日は“治外法権”になって、どれだけ働かせてもいいと、企業にお墨付きを与えることになりはしないか」と懸念する。 労働組合などは、今回提出予定の改正労基法案を残業代削減を狙った「過労死促進法」と呼ぶ。厚労省の少子化問題を担当する部署内にさえ、「欧米と違って、仕事の守備範囲が明確でない日本では、自分の仕事が終わっても、すぐに帰れるわけではない。この制度を導入したら、家庭で過ごす時間がますます減るのではないか」との声が聞かれる。 (2006年12月28日 読売新聞)引用 http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_06122808.cfm
私のような小市民には直接的な関係はなさそうですが,
将来的にブルーカラーへの適用拡大が心配です。
そうなると,残業手当を雇用者は支払う必要はなく,労働組合などが過労死促進法と呼ぶのもうなずけます。
一生懸命に働いても,成果が芳しくないことだってあるでしょう。
成果が現れるのに時間がかかることだってあるでしょう。
8年連続で年間3万人以上の自殺者(死因の第6位)がいる日本の状況は悪化しますな。
参考 厚労省 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai05/dl/gaikyou.pdf
将来的にブルーカラーへの適用拡大が心配です。
そうなると,残業手当を雇用者は支払う必要はなく,労働組合などが過労死促進法と呼ぶのもうなずけます。
一生懸命に働いても,成果が芳しくないことだってあるでしょう。
成果が現れるのに時間がかかることだってあるでしょう。
8年連続で年間3万人以上の自殺者(死因の第6位)がいる日本の状況は悪化しますな。
参考 厚労省 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai05/dl/gaikyou.pdf
先に改正・施行された教育基本法には,
いわゆる日本版ホワイトカラーエグゼンプションは,ワーカホリック推進法でしょう。
家庭は疎かになりますなぁ。
長時間労働に,家庭と疎遠の生活。
2項の国・地方自治体が行うべき,保護者に対する家庭教育を支援するために必要な施策とは程遠いかと…。
これ以上,家庭を振り返らない親が増えたら,それこそ子どもの自殺も減らないでしょう。
子どもと真剣に向き合う時間こそが親にとって必要なんだと思いますが…。
第10条(家庭教育) 1 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、 生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、 心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。 2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、 保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために 必要な施策を講ずるよう努めなければならない。とあり,1項でいう,子の教育について第一義的責任を果たせなくなる家庭が現れないか心配ですなぁ。
いわゆる日本版ホワイトカラーエグゼンプションは,ワーカホリック推進法でしょう。
家庭は疎かになりますなぁ。
長時間労働に,家庭と疎遠の生活。
2項の国・地方自治体が行うべき,保護者に対する家庭教育を支援するために必要な施策とは程遠いかと…。
これ以上,家庭を振り返らない親が増えたら,それこそ子どもの自殺も減らないでしょう。
子どもと真剣に向き合う時間こそが親にとって必要なんだと思いますが…。
念のために国際労働機関(ILO)の条約を調べてみた。
2005年8月現在,ILOには185の条約の条約があるのですが,日本が批准しているのは47。
HP内の条約・勧告の主題別分類によると,
日本は,過去も含め一度も労働時間に関する条約を批准していません。
条約という他国との約束を守るという点では,日本版ホワイトカラーエグゼンプションは問題なしでしょうが,
日本は,1954年から常任理事国,1975年から政府・労働者・使用者の三者すべてが常任理事であり,
これまでも国内ではILO勧告を守らない状況が多々見受けられることから,
ILOにおける日本の立場は悪化するでしょうなぁ。
国際協調とは思えませんな。
参考 国際労働基準-ILO条約・勧告
2005年8月現在,ILOには185の条約の条約があるのですが,日本が批准しているのは47。
HP内の条約・勧告の主題別分類によると,
日本は,過去も含め一度も労働時間に関する条約を批准していません。
条約という他国との約束を守るという点では,日本版ホワイトカラーエグゼンプションは問題なしでしょうが,
日本は,1954年から常任理事国,1975年から政府・労働者・使用者の三者すべてが常任理事であり,
これまでも国内ではILO勧告を守らない状況が多々見受けられることから,
ILOにおける日本の立場は悪化するでしょうなぁ。
国際協調とは思えませんな。
参考 国際労働基準-ILO条約・勧告
それにしても,国政はいまや経団連の奴隷ですな…。