マヤカンに行って来た(上)

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今月の三連休、従姉妹の結婚式のため帰省することになりました。
3日間のうち土曜日が1日フリーということで、とりあえずいちばん気安く連絡できる地元の友人に「空いてるう?」と声をかけてみました。
いつも間際にならないと連絡しない悪い子のわたしに(スキあらば土日を侵食しようとする仕事のせいさ…)、友人は「空いてるで~。どっか行きたい店とかある?」とやさしく回答してくれました。
うーん、だいたい行きたい店は行ったしなあ、でもその辺でテキトーにごはんってのも味気ないしなあ、最近遠ざかってるけど大坂夏の陣の史跡めぐりにでも付き合ってもらうかなあ…と、あれこれ考えた結果、天啓の如く閃きました。

「そうだ、マヤカンに行こう。」


誰が云ったか知りませんが、軍艦島は廃墟の王で、マヤカンは女王なんだとか。
今年、王たる軍艦島に拝謁した身、女王にもご挨拶をすべきではないでしょうか。
…思いついたのは前日も午後を過ぎてからでした。そもそも神戸のどの辺りにあるのかも把握しておらず、まずは最寄駅を調べるところからスタートという危なかしさ。
超メジャー級廃墟ではありますが、観光地ではないうえ不法侵入になるしってことで、行き方を教えてくれる親切なサイトはほとんどありません。なんとか情報と情報を繋ぎ合わせて、まるでドラクエの如く町の住人たちの声をヒントに次のステップへ進まなければならないのです。
友人は、パチンカー兼ゲーマーという以外は至って常識人なので、さすがに廃墟なんかイヤって云われるかな…と、ややビクつきながら提案しましたが、あにはからんや、「おお楽しそうやん♪ どんなカッコして行けばいいの?」という返事が。友人がマジで神に思えた瞬間でした…。
焼肉屋やカラオケやロシアには1人で行けても、廃墟だけはどうしても躊躇してしまうのです。最も、女2人ってのもどうなのよとは思いつつも、友人がOKを出してくれた時点で賽は投げられた。あとは、より確実なアクセス情報を得るべく努めるのみです。


マヤカンこと摩耶観光ホテルへのアクセスは、大別して二通りあるようです。
一つは、摩耶ケーブル「虹」駅からの正面突破。「虹」駅とマヤカンはなんと隣り合っており、ここからなら子どもでも迷わず行けるというのです。
…が、廃墟探索はそんなに甘くない。あまりに近いことが逆に災いして、駅員の監視の目にさらされる危険大だというのです。加えて、虹駅の周辺にはこれといった観光スポットもなく、ここで降りてうろつこうものなら、マヤカン探索者の疑いをかけられてしまう…らしい。
ケーブルが動き出す10時前か、運休日に凸すれば成功率は上がるのでしょうが、あいにく今回は日時を選べません。
そこでもう一つのルートです。
いかにもな裏街道臭がプンプンしますが、入口さえ見つかれば、後は多少キツい山登りを30~40分程度するだけでたどり着けてしまうようです。
情報は少なく、各所に落ちているヒントを頼りに行くしかないけれど、まあこのスリリングさこそが廃墟探索の醍醐味ってことで…。

 

思わぬ残業と準備やあれやこれやで結局2時間半ほどしか眠れないまま、朝イチの新幹線で新大阪、そこからJR六甲道へ一気に移動。寝不足で廃墟とか、ちょっと不安だぞ…。
駅で友人と合流し、コンビニで簡単な食料を買い、バスに乗って灘丸山公園を目指します。これ、巡回バスなのでけっこう遠回りになりますが、これから未知の山登りをする身として、体力を温存できるのはありがたい(お急ぎの方は徒歩でどうぞ)。
公園からは、わたしも他のブロガーさんに倣って伏せておこうかしら~;と思いつつも、やんわりと書き記しておきます。公園の脇の道路を進むと、トレッキングルートに突き当たるんですね。さらに3~5分ほど歩いたあたりで、決定的目印となるのが「立入禁止」の看板がぶら下がったゆるいロープ。そこを乗り越えると、少々傾斜はキツイけれどれっきとした登山道が、マヤカンまで1本道で続いているってわけです。
いや、これ何とか迷わずにたどり着けましたが、看板を見つけるまでは「ホントに合ってる?」という不安でいっぱいでした。
その先は、たまに道が分かれているように見えて迷いそうになりますが、トレッカーに優しい補助ロープがあちこちに付いていて、これが目印にもなります。まるでマヤカンの神のお導きのようにありがたい…(軍手があると万全です。われわれは、忘れてしまって手の皮が剥けました)。


maya018 なかなかハードな様相を呈している登山道。


maya017 いろんな意味で命綱のロープ。


三連休だし、物好きの廃墟探索者が他に1~2組くらいはいるのではと予想していましたが、われわれ以外は誰もいませんでした。
休憩を適度に挟みつつ進むも、残暑は厳しく、大量の汗で服が体に張り付きます。また、あまり人が歩かないのか、よく育った蜘蛛の巣が行く手を微妙に遮ります。“見えなかったもの”として突き進むことにします…。
道中の唯一の目標物である鉄塔3つをすべてクリアした時点で、すでに40分は歩いていたでしょうか。500mlのお茶はすでに半分を切っていました。わたしは結婚式用のスーツなど帰省の荷物を一式持参して登るため、少しでも負担を軽くするために500mlにしたのですが…足りるのか、水分。
おかしいな、そろそろ着いてもいい頃なんだけどな…。虫除けスプレーをふったけど、蚊が顔まで噛んできて、痒くてたまらん…。


maya020 数少ない目印のひとつ、鉄塔。


「あっ」

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息を呑みました。それは唐突に頭を覗かせたのです。
近づくにつれ、山中深く眠っている建物があぶり出しのように見えてきます。まず、石の大階段が現れ、その奥に本館らしき建物が佇んでいます。鬱蒼とした草木に絡め取られたその姿は、カンボジアのベンメリアを彷彿とさせました。

maya035 大階段。

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「これ、遺跡やん…」
まあ、遺跡というのは廃墟が熟成した姿に他ならないのですが、マヤカンはすでに遺跡の風格を備え始めているように見えました。
建物や窓枠にかかる蔦は何とも絶妙で艶めかしく、周囲には何の気配もなく、ただ蝉の声だけがやかましく響いていました。
あああ、すげえ…感動で喉が閊えます。入口に差し掛かったところで、わたしの興奮は早くもMAXに達しかけていました。まだ中にも入らないうちから、ここが、全国の廃墟マニアを魅了してやまない超S級廃墟だということがひしひしと分かるこの圧倒的な雰囲気! ここまで来られたという達成感も相まって、あやうく心の汗を流してしまいそうでした。


maya040 宮崎アニメにでも出てきそうです。


maya042 入口からしてワクテカが止まらない!


待て、次号!(笑)