太陽病の傷酒

 ・太陽病の脈状と病証と、飲酒による悪影響を兼ねた病

 

 (要因)

   1.大酒飲みが外邪にあてられた場合

   2.外邪にあてられたものが、飲酒によってなる

 

 (治法)

   ・酒飲みのために病んだ場合 → 桂枝湯は使用しない(吐いてしまう)

   ・甘い物を嫌う患者の場合  → 既に胸や胃の中に停滞がある

                        ⇑

                   苦剤や辛剤を与えて治す

 

   ・身体中が熱して重くだるい

   ・汗がダラダラ流れるように出る

   ・風にあたるとゾワゾワする

   ・呼吸が浅くなる

   ・発熱して胸苦しいほどのどが渇く(煩渇の証)

   ・小便の出が悪い、もしくは大便がゆるくドロドロと出る

            ⇓

     (身体中・・・から大便ドロドロまで)

      ・五苓散 葛花解醒湯 などを脈状や病証で選んで使う

 

   ・酒毒が胸膈(胸部)にあり、外邪が表にあり、頭痛や発熱や悪寒や身疼などの

    外証があり、胸膈不利(飲食困難・呼吸困難)があり、胸痛があり、胸の中が

    熱くなりのどが渇いて水を欲しがる

            ⇓

      ・人参敗毒散 十神湯 香葛散 参蘇湯 などを脈状や病証に合わせて選択

 

   ・酒湿(酒による湿毒の停滞が脾や胃にある)、外邪が表にあり表証がある、

    腹満、悪食(食べ物を見るとムカムカする)、嘔逆(ムカムカして吐く)、

    悪心(胸苦しい)、腹痛、泄痢、咳喘(ゼイゼイと咳をする)、胸痞(胸が

    つかえる)など

            ⇓

      ・藿香正気散 不換金正気散 八解散 香蘇散 などを脈状や病証に合わせ

       て選択

 

 ここで酒がらみの話しが追加されています。

   ・傷寒の熱病の患者が禁じた酒を飲んで熱が上がった場合

    (病証)煩躁(胸苦しくバタつく)、譫語、潮熱、発渇(口渇)など

               ⇓

    (治法)①酒毒を散らす → 人参敗毒湯 香葛散 参蘇飲類 などを処方

        ②①が効果がないとき → 白虎湯類 柴胡解毒湯 などの寒剤を処方

 

    (病証)小便が良く出ない、下痢をする 

               ↓

    (治法)五苓散 猪苓酒 柴苓酒 など処方

 

    (病証)大便が硬く出にくい → (治法)承気湯類を処方

 

    (病証)脈状が弱く、精神が衰えて元気がなくなる、少食(食欲が無い)、

        痞満(胃腸がもたれる)、嘔泄を兼ねたもの

               ↓

    (治法)理中湯(人参湯) 六君子湯 銭氏白朮散 など処方

 

  ・大酒飲みの患者への注意として説明があります

    〇甘い物を嫌う者 → 酒湿が体内に停滞している → 桂枝湯の処方は注意

            (今回のブログの冒頭で「吐いてしまう」と書いてあります)

 

    〇甘い物を食べても吐き気がない → 体内の働きが調和している

                           ↓

                      中風表虚の脈状や病証がある

                           ↓

                      桂枝湯の処方がつかえる

 

 

今回は、ここで終了します。

 

 

今回は酒関係で終わってしまいましたが、世間では『酒飲みは甘い物が苦手』みたいな話をよく聞きます。今回の話しの中では『酒飲みが甘い物を嫌うのは、酒湿が体内に停滞しているため』と説明されていてちょっと納得です。酒飲みでも甘い物を好きな人や平気で普通に甘い物を食べてる人は結構います。その方たちは、体内の状態が調和がとれているので甘い物も平気なんですね。

 

次回は『太陽病の宿食』から書いていきます。

 

ではまた、不定期更新で。 _(._.)_