私の勤めていた包茎手術クリニックは、東京の他にも日本全l国に数か所分院を展開していました。人手が足りなくなると、地方の分院を手伝いに行かされます。
それは、新潟の分院を手伝いに行かされていた時の話です。
その日は日曜日。
休日で午前中から昼過ぎまで予約がびっしり入っていた日でした。
世の中包茎に悩む患者さんは本当に多いな~、なんて感心しながら、患者さんの受付・支払いなど順調にさばいていきました。
それは夕方、予約していた患者さんも、最後の患者さんが終え今日も一日無事に終ったと、みんなホッとしていた、その時でした。
病院の電話は鳴り、私が電話に出てみると
「〇〇〇消防署、〇〇救急隊の〇〇です。そちらで治療を受けられたと言っている、○○さんが新潟駅で倒れました。今からそちらに搬送しますので、よろしくお願い致します。」
と、電話が終るとともに、遠くから救急車のサイレンの音が・・・。
このクリニック、駅の近くです。
あわてて、ビルの一階に降りてみると、救急車がビルの前にちょうど止まったところ・・。
後方のドアが開いて、さっき治療を受けた患者さんが元気そうに救急車から出てきた。
「この患者さん・・、何しに戻ってきたんだ?」
ともかく、事情を聴くために救急隊員とクリニックへ。
患者さんに話を聞いてみると、新潟駅に着いた時に貧血を起こして倒れてしまい、救急車を呼ばれてしまったそうです。
救急車が到着した時は貧血もおさまり、問題はなかったのですが、用心のため手術を受けたクリニックまで戻されてしまったらしい。
ごくたまに、手術後に緊張がとけるのか、しばらくしてから貧血で倒れる患者さんがいるんですよね。
救急隊員が珍しそうにクリニックの内部を見まわして
「このクリニックは日曜日も診療しているんですね!}と、目を光らせた。
おいおい、冗談じゃないよ。
救急患者を連れてこられても対応できるお医者さんなんて、
うちにはいません!!
丁重に事情を説明して、名残惜しそうな表情の隊員さんには帰っていただきました。