課題をこなすための、テストのための、
単位を取って卒業するための勉強ではなくなったのは、
私が大学を辞めてから。
これまで何に追われていたのだろうと不思議になる。
今は、学ぶこと、それ自体が楽しい。
この作品は「学ぶことの喜び、楽しさ」をみせてくれる。
「12か月の未来図」
オリヴィエ・アダッシュ・ヴィダル監督 2017年

2019年5月10日(木曜日)
娘がテアトル梅田で、気になっていたフランス映画を鑑賞。

「先生も子供たちも変わっていく様子が素敵で、
ドキュメンタリーみたいだったよ。
フランスを代表する作家ユゴー
アメリカを代表する作家ヘミングウェイの小説が登場するのも興味深い!」
そんな風に話していました。

【娘の感想】

パリの名門校から郊外の中学校へ。
生徒との関わり方を模索する一年がはじまる。


教育は常に先のことを見据えている。
中学校で学ぶのは高校受験のためだし、
高校で勉強するのは大学受験のため、
そして単位を取り卒論を書くのは就職するためだ。

「将来 楽をするために今頑張るんだ。」
 

そう言われてきた私たち。
学生時代をただの“準備期間”のように過ごしてきた。
しかし本当にあの時間は、社会に出るための1つのステップにすぎないのだろうか?

ローマ皇帝のマルクス・アウレリウスさんは
「まだ見ぬ未来を考えるな。束の間のこの今だけを生きろ」と言う。
彼は「未来のために生きろ」とは言わなかった。

中学校に赴任したばかりのフランソワは、
騒がしい子どもたちをこんなふうにす。

「勉強をしないお前は将来、
密売や暴力やそんな馬鹿なことで人生を棒に振るんだろうな。」



しかし“将来”のことを語ったところで
子どもたちの心には響かないと気付いていく。



「君たちに本一冊読んでもらいたい。
ケバブと同じく本も君たちの栄養になる。」



「ゴシップは好きか?
パン一枚盗んだ罪で19年投獄された男の話を知りたくないか?
生徒たちを“レ・ミゼラブル”の世界に誘うフランソワ先生。
彼の授業は、いまこの時間を楽しむ勉強になっていく。


ヘミングウェイの世界一短い6単語の小説

“売ります。赤ん坊の靴。未使用。”

「もしかしたら赤ちゃんがいたのかも!」
「私だってこれぐらい作れるわよ!」

生徒たちが小説の世界をぐんぐん広げていたように、
この映画もラストカットから無限につづく物語がある。