私が大好きなヒッチコック監督を
感想
サスペンスとは
「ふしだらな女」で
電話交換手がプロポーズを盗み聞きする。
求婚の返事はイエスORノー?
ドキドキしながら、受話器の奥の声に
集中します。
「鳥」で僕が描きたいのは
突然トリが人を襲う理由なんかじゃない。
恐怖を感じた時の
人間の心理を
表現したいだけ。
(映画の感想は、こちら )
「めまい」は
失った女性の幻影に依存する男の話。
私の大好きな名作です。
愛した女性のそっくりさんを見つけたとき、
男の頭の中の霧が晴れる。でも・・・男はさらに要求する。
「髪型が違う。
髪をまとめてアップにしてほしい。」
どこまでも理想の女性に近づけたい。
完璧に同じ女性になってほしい。
失った彼女を蘇らせたいんだ。
要求に応えたくない女性。
しかし、彼女には負い目がありました。
犯罪に加担させられていたことを
打ち明けようか、どうしようか?
悩みながら彼に告白文を書いてみる。
罪のつぐない、
そして彼への愛。
彼の気持ちを汲んで
マデリンと同じ化粧、髪型、服を着たら
本当の私を愛してくれるかも。
希望や戸惑い、不安がどっと吹き出る愛の場面。
この揺れ加減が、
女性らしくていいんです。
幻の女(キム・ノヴァク)がふわ~っと現れるシーン。
陶酔したような表情で立ち尽くす
ジェームズ・スチュワート。
緑のライトに包まれた部屋。 謎めいてドラマティックな音楽。しかしその直後、
男は真実を知ることとなり
信じていた女性像を
木っ端みじんに打ち砕かれて
しまいます。
ヒッチコック本人が今作について語ります。
「変態映画だよ」と。
言葉はちょっぴり荒っぽいけど、
隠しておきたい部分を
表現したいと語ります。
デヴィッド・リンチ監督
「ブルー・ベルベット」もそうですが、
心の底にあるモノを描く物語は、
不思議なパワーがありますね。
人間を清潔で高尚な存在ではなく、
動物的に描くスタイル!
そういう人間らしさが面白い。
ヒッチコック監督は
つじつまとか、
医学的な理論なんて
どうでもいいんだ。
筋道なんて退屈だよ。
メッセージとか、原作がどうだとか、
そんなことより映画そのものをみてくれ。
日本人からインド人まで
世界中どの国の人がみても
わかりやすい
娯楽作品をつくってるつもりなんだ。
そのために、
緻密な構図、
カット割り、
役者さんへの要求をする。
インタビューに答える監督さんたちが
口をそろえていいますね。
”カメラで描く作家”
再鑑賞したくなる作品が
たくさん登場するドキュメンタリーでした。