善と悪の葛藤を描きたい。
10人の映画監督たちが
お気に入りの場面を説明する
ヒッチコック愛あふれるドキュメンタリー。
 
が大好きなトリュフォー監督
が大好きなヒッチコック監督
インタビューするという、
夢のような1本です。
 
「ヒッチコック/トリュフォー」
ケント・ジョーンズ監督2015年
(画像お借りしました)
トリュフォーとヒッチコックのやりとりが
師匠と弟子のようで、ほほえましいです。
2016年にテアトル梅田で母娘鑑賞した1本。
小道具光と影の解説に
「なるほどなぁ」とガッテン連発!!
 

 

  感想

サスペンスとは

殺人のことじゃない。
殺人だけがサスペンスじゃないんだ。
 
 
さまざまなスリルを
匠の技で描く職人さん
それがヒッチコック監督。
 
例えば、

「ふしだらな女」

電話交換手がプロポーズを盗み聞きする。

求婚の返事イエスORノー?

ドキドキしながら、受話器の奥の声に

集中します。

 
こんな風に日常のなかにも
スリルを感じる場面がいっぱいある。

 

「鳥」で僕が描きたいのは

突然トリが人を襲う理由なんかじゃない。

 

恐怖を感じた時の

人間の心理

表現したいだけ。

 

(映画の感想は、こちら


 

「めまい」

失った女性の幻影に依存する男の話。

私の大好きな名作です。

愛した女性のそっくりさんを見つけたとき、

男の頭の中の霧が晴れる。

どんよりした世界に

鮮やかな色がもどってきた。

 

「髪の色を変えて同じ服を着てくれ

 
彼に懇願され、彼女はしぶしぶ
グレーのスーツを着て、
髪を金髪に染める。


 

でも・・・男はさらに要求する。

「髪型が違う。

髪をまとめてアップにしてほしい。」

 

どこまでも理想の女性に近づけたい。

完璧に同じ女性になってほしい。

失った彼女を蘇らせたいんだ。

 

要求に応えたくない女性。

しかし、彼女には負い目がありました。

犯罪に加担させられていたことを

打ち明けようか、どうしようか?

 

悩みながら彼に告白文を書いてみる。

 

罪のつぐない

そして彼への愛。

 

彼の気持ちを汲んで

マデリンと同じ化粧、髪型、服を着たら

本当の私を愛してくれるかも。

 

希望や戸惑い、不安がどっと吹き出るの場面。

この揺れ加減が、

女性らしくていいんです。

 

幻の女(キム・ノヴァク)がふわ~っと現れるシーン。

 

陶酔したような表情で立ち尽くす

ジェームズ・スチュワート。

緑のライトに包まれた部屋。
謎めいてドラマティックな音楽。
 幻の女性が現実に…ようやく君に逢えた。。

しかしその直後、

男は真実を知ることとなり

信じていた女性像を

木っ端みじんに打ち砕かれて

しまいます。


ヒッチコック本人が今作について語ります。

変態映画だよと。

 

言葉はちょっぴり荒っぽいけど、
確かにそうですね(^ε^)
 
誰にでも秘密の意識、
善悪にゆれたり、性的興奮がある。
 
そういう人間の

隠しておきたい部分

表現したいと語ります。

 

デヴィッド・リンチ監督

「ブルー・ベルベット」もそうですが、

心の底にあるモノを描く物語は、

不思議なパワーがありますね。

 

人間を清潔で高尚な存在ではなく

動物的に描くスタイル!

 

そういう人間らしさが面白い。

 

ヒッチコック監督は

評論家が賞をあたえる映画ではなく、
大衆がドキドキしながら、
成り行きを楽しんでくれる
娯楽映画を作りたいと言います。

 

つじつまとか、

医学的な理論なんて 

どうでもいいんだ。

 

筋道なんて退屈だよ。

メッセージとか、原作がどうだとか、

そんなことより映画そのものをみてくれ。

 

日本人からインド人まで

世界中どの国の人がみても
わかりやすい

娯楽作品をつくってるつもりなんだ。

 

そのために、

緻密な構図、

カット割り、

役者さんへの要求をする。

 

インタビューに答える監督さんたちが

口をそろえていいますね。

 

”カメラで描く作家”

 

再鑑賞したくなる作品

たくさん登場するドキュメンタリーでした。