これは以前の会社のお話し。

 

 

 

 

営業マンが全員退職し、新たに二人の

 

新人が派遣された。

 

 

その一人が私である。

 

 

支店長「わからない事あったら聞いて。」

 

hotori「本社からのメールで意味が分からな。。。」

 

 

支店長「以上解散!」

 

 

 

てな感じで予備知識zeroで名ばかり営業マン

 

hotoriは爆誕した。

 

支店長を爆発させるのが日課だったので

 

爆誕で間違いないと思う。

 

もしくはテロリストでも可。

 

 

 

後から知ったが、大事なことは客が教えてくれる

 

的な感覚の会社だったので教育はしないらしい。

 

朝礼もない。朝の挨拶もない。

 

これだけナイナイ続けば何がなくても驚かない。

 

でも数年後、大金のポッケ内内は社内で存在して

 

いることを知る。

 

なんなら、私の歓迎会もなかったのは

 

忘れない。

 

 

 

入社後一月が経とうとしていた頃、支店長から

 

集金に行けと命じられた。

 

色々基本的なことがない会社だったので、返事は

 

元気よく「ない!」としていた。

 

「は」と「な」を混ぜたささやかな抵抗を早くも

 

見せるようになる。

 

 

 

 

しかし、問題はいつもその後である。

 

集金はどうすればいいか。

 

なんでもかんでも「ない!」と答えるので

 

分からない。

 

なんらかのレシート的な物を渡すはずだが、

 

その紙は一体どこで手に入るのだろうか?

 

 

 

この状態を「宝探し」と呼んでいた。

 

先輩もいないし、誰も教えてくれない。

 

名探偵の登場だ。

 

家の携帯は中々見つからなくても

 

時間を掛けられないこの宝探しは

 

得意なのである。

 

何せ、催促は死を意味する。

 

時限爆弾を背負っての宝探しは

 

第六感が大いに働くものである。

 

会社の選択時に発動したいスキルだった。

 

 

 

勘で経理に相談すると領収書なる束と切手

 

みたいな紙を渡される。

 

そして集金額のリスト的な紙。

 

 

 

お、おそらくパーツは揃った。

 

 

 

長居は無用。

 

事務所(プリズン)から出て空を見上げる。

 

綺麗だ、いや、悠長なことは言ってられない。

 

きっと客先でモタついて怒られる。

 

脳内でミッション完了の目処をつける。

 

 

案の定そんなこと教わってから来いと

 

怒られる。

 

あと、印紙の貼り方もよくなかった。

 

 

 

拝啓

 

お母さん。なんで切手は舐めて貼る

 

なんて下品な教育したんですか?

 

全く疑いなく印紙を舐めてしました。

 

ちょっと恥ずかしいからこっそり

 

舐める的な感じでペロって

 

やっちゃいました。

 

多分見られてました。

 

刷り込みって怖いですね。

 

疑うというステップを消し去って

 

しまうのですから。

 

敬具

 

 

 

無事ミッション完了。

 

 

 

 

自らプリズンに戻る囚人はいるのかと

 

ぼんやり考えながら檻に戻る。

 

しかし、仮釈放前と雰囲気が違う。

 

誰も喋らない。

 

 

 

今後何度と乗り越える月末の数字調整だ。

 

社内はキーボードとマウスの音のしかしない。

 

この時ばかりは「戻りました」も不要だと

 

察する。

 

 

さっさと領収書を経理に渡して席に着く。

 

 

 

 

一際真剣にマウスをカチカチしている

 

管理職がいた。

 

 

 

 

マインスイーパーだったんですね。

 

その横のタブの寿司打も見逃しませんでしたよ。

 

音の偽造罪。

 

そこに仕事はない。

 

いや、社内の雰囲気を演出するというのも

 

社会人の嗜みなのだろうか。

 

だとするとマインスイーパーも寿司打も

 

ビジエスパーソン必需のツールと言える。

 

 

 

 

そこに「まいど〜」とお客さん登場。

 

稀に、直接商品を取りに来るのである。

 

 

 

皆無言なので、仕方なしに私が対応する。

 

 

 

 

事務所の異様な雰囲気にお客さんはコソッと

 

私に聞くのである。

 

 

 

お客さん「誰か亡くなったの?」

 

 

 

なんと答えようか迷ったが、ぴったりの

 

言葉があるではないか。

 

 

 

 

hotori「いえ、何もないんです」と。