蟹座10度(蟹座9度0分〜9度59分)

(日本語訳)
蟹座10度 完全にカットされていない大きなダイヤモンド

これは、文化的あるいは知的な側面における人間の基本的な自己正当化の象徴であり、永遠の約束の中で築き上げられ、維持されうるあらゆる価値について、彼を取り巻く世界が彼の芸術や技術に完全に依存していることの象徴である。

ここでは、すべての進歩は主として、現実の次元が拡大された意義の付与であることが判明し、低次の存在の平面を巡る人間の精神的遍歴は自分自身を知る高次の意味への絶え間ない奉仕であることが明らかになる。

キーワードは「latency(潜在、隠れていること、見えないこと)」である。

プラスの場合、手元にあるあらゆるものの可能性をドラマチックに演出する効果的な才能がある。

マイナスの場合、純粋に不動の(=変化のない)手柄への無益な傾倒である
原文
CANCER 10  A large diamond not completely cut 
This is a symbol of man's basic self-justification on the cultural or intellectual side, and of the complete dependence of the world around him on his arts and skills for any values that may be built or sustained in its eternal promise. Here all progress turns out to be primarily the endowment of reality with expanded dimensions of significance, and man's pilgrimage through the lower planes of being is revealed as a continual service to higher meanings through which he knows himself.
The keyword is LATENCY. When positive, the degree is an effective gift for dramatizing the potentialities of everything at hand, and when negative, a futile lean on purely static merit.

(出典:Marc Edmund Jones “ SABIAN SYMBOLS IN ASTROLOGY)

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蟹座10度 完全にカットされていない大きなダイヤモンド


この度数の人は、自分の感じたことをしっかりと言葉で表現し、相手に伝わるように努力します。本来、言葉では表現できないものを表現しようとするのですから苦労します。しかしそのおかげで世間を渡り歩く強さも身につきます。


 「ダイヤモンド」を完全な形にカットすれば、デパートや宝石店に出すことができる商品となります。しかしそこに至るまでは、多くの試行錯誤と研磨を繰り返さなくてはなりません。この度数はその苦痛を伴う努力の過程を物語っています。
 前の蟹座9度で「裸の少女」が理解したことは、まだ言葉にならない内的な実感です。それを言葉にすることはとうてい不可能なようにも見えます。しかし、それが言葉にされ、人に伝達されうる形に整えられないことには、いずれは本人の中からも失われてゆきます。
 この第2グループで活用された力は、人間や動物すべてに共通した本能的な力です。第2グループでは、それらがだんだんと洗練され、人間的な表現へと昇華してゆくプロセスが進んでいきました。最終的な度数であるこの10度で、それは「ダイヤモンド」のように硬い結晶となり、強固な確信として、他者の心ない攻撃を受けても崩れない強さを持とうと努力するのです。
 言葉で言い表せないようなものを、言葉でわかるように伝える時、いくらかの犠牲が必要です。全部を生かそうとするのでなく、原石の中でもっともよい部分だけを残し、曖昧な要素は思い切って捨ててしまうなどです。この努力がうまくいくと、個人は自分の心のあり方を、確信を持って維持することができるのです。
 蟹座10度の「ダイヤモンド」は、蟹座9度の「水の中の魚」が変貌したものです。9度ではそれは柔らかく、ぼんやりとしていて、強くつかむと死んでしまう存在でしたが、10度では、強い衝撃にも耐える硬い結晶となる必要があるのです。

 進行天体がこの位置にある時


 人に伝えることのできる明確な表現力を鍛えなくてはならない時期です。自分でわかっているつもりでも、人から見ると、まったく意味不明の事柄が多く、それらを一つ一つわかりやすくしてゆくことで、なにか犠牲にしなくてはならないような気がしてきますが、曖昧なものは曖昧なまま放置しておくことはできません。

(出典:『愛蔵版 サビアン占星術』松村潔)

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