都若丸劇団『芸者の誠』(過去記事から) | レイジイの気まぐれブログ

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都若丸劇団過去記事のレポ
いよいよ今日で最後になります。

『芸者の誠』は大衆演劇の定番中の定番
ですが
都若丸劇団の『芸者の誠』は
他の劇団の話が『人情劇』が多く
他の劇団の芝居とは全く別物です。

配役
大工の政吉(弥吉)・お坊さんの二役を若丸座長。
芸者玉菊はひかるさん、
おこものオカツをゆかりさん。
(おこもさんというのは乞食が
こもをまとっているところからそう呼ばれています。
ちなみに乞食は差別用語にあたります)
政吉の父親をいつも演るキャプテンではなく
この日はあきらさんでした。
茶店の客、浪人たちを
剛さん・星矢さん・舞斗さん。

(記事中、役名だったり
役者名だったりしていますが
お許しください)



第1場 川端の茶店
3人のボロをまとった浪人が登場。
金がなくて食べ物にありつけないという掛け合いに、
毎度のことですが客席から舞台に差し入れが届く。
今回は小判形のお菓子のようだ。
別の差し入れもある。
ところがこれがたった1個の菓子。
これを3人で食べろと?
剛副座長の言葉に客席が沸く。

中断された続き
3人は無銭飲食しようと企み茶店に入る。
ここで前振りが
星矢さん足が遅い設定で逃げるのに先に店を出る。


3人が店内に入ると、
江戸で修行して故郷に帰る
大工の政吉が茶店に寄る。

茶屋の娘とのやりとり、
一人でやっているのかとたずね、
父と母と3人で答える娘に、
父と母は?
と問えば
娘はアドリブで
「父は山に芝刈りに。母は川に洗濯に」
若丸座長の無茶振りを健気に受ける娘。
鍛えられてますね。

出された茶をすすっていると、
酒に酔った浪人(星矢さん)が店内から出てくる。
政吉の横に座ると同時に大きなくしゃみを。
政吉、驚いた瞬間にお茶を
星矢さんにかけてしまいます。
怒る星矢さん謝る政吉、
「頭を下げて済む問題じゃない」
言われて座長、頭を後ろにそっくりかえる、
左右に振るなど、
アドリブやりたい放題。

そこに仲間の浪人も出てきて、
どうしたと聞かれ星矢さん
「また打ち合わせと違うことをやって」
という言葉に客席大笑い。
冒頭から笑いの連続ネタに
客席は笑いにつぐ笑いです。

詫びる政吉にしつこく絡む3人。
金で解決しようと言えば、
若丸座長お得意のムチャ振り。
ここから3人にモノマネ強要。
最初が
GENERATIONS〜EXILE〜退団の
『関口メンディー』
続いて『田村正和』やら『森進一』
最後は舞斗さんには『安倍首相』

政吉が土下座をしても
許さない浪人は
刀に手をかけ切ろうとした時、
止めに入った芸者玉菊(ひかりさん)

江戸で評判の玉菊が
小銭を渡しての仲裁に
浪人は嬉々として退場。

気っ風の良さと美しさに
一目惚れした政吉。
江戸の土産話にと茶店で
玉菊と酒を飲み交わす。

ところが政吉は
調子に乗って持ち金総てを
玉菊に使ってしまいます。

そんな政吉に玉菊は惹かれ
1年後夫婦になる約束をします。
年季が明けたらという玉菊に
「ずいぶん厚化粧なんだ」
「えっ?」
と思わず聞き返すひかるさん、
若丸さん
「今ペンキキが剥げたらと言ったでしょう」
「年季があけたらと言ったの」

念を押すひかるさん

このあと、
大衆演劇らしく、
よう!お二人さん!
と声をかけたくなるお芝居で
第1場終わり。

第2場 政吉の実家
舞台は替わりまして一年後、
作業が終わり大工の面々が帰ってきます。
親方が「棟梁の息子政吉は?」
と尋ねると「寄り合いで遅くなる」
親方が大工たちに
「弟子たちに先に風呂を入っていい」
言われた大工たちが去るとそこに
汚れきったおこも(ゆかりさん)が
政吉を訪ねてきます。
父親が「あんたは?」と尋ねると
「夫婦の約束をした江戸の芸者玉菊」
と名乗る

ゆかりさん、
以前よりパワーアップの梅毒崩れのメイク。
(写真はありますが著作権上無しで)
不潔そうなぼろ布をまとい箒を背負い、
長い棒を杖代わりの出で立ち、
尻や手足を盛んにボロボロ掻く仕草。

ゆかりさんが登場した途端に
客席は爆笑の渦。

そんな姿を見た父親は
絶対に結婚させまいと、
一計を案じ息子は死んだと告げます。

奇声を発し裾を乱し倒れるゆかりさん、
乱れた裾を直しながら
今、見ただろうとあきらさんに聞くが
あっさり見ていないと否定されます。

政吉の死を嘆き悲しむ玉菊(オカツ)
そこから始まる
ゆかりさん絶品の唸り節(うなり節)。

放棄を三味線代わりに唄う
ゆかりさんの唄は、
都はるみ真っ青のうなり節。
何度聞いても最高ですね。

政吉の死を嘆き悲しんだ玉菊(オカツ)は
せめて墓参りをしたい、
墓の場所を教えて欲しいと
父親に頼み込む。

オカツが字を読めないと知った父親は
適当に「しょうげん寺」と教えます。
オカツ「しょうべん寺」と聞き返す。

若丸劇団のこの芝居、
本当に下ネタ・差別用語など、
下品なネタ満載です。
それが嫌味にならないのが『都若丸劇団』

寺に向かうオカツ。
オカツが去ったあと、
政吉が帰ってきます。
辺りに漂う異臭という設定に
「この匂いは」?と聞く政吉。
玉菊が変わり果てた姿で
訪ねてきたと聞き、
異臭を「良い香り」と
言いなおす政吉に笑いが

父親が玉菊の変わり果てた姿に
死んだと嘘をついたら
墓参りに行ったと言う。
寺はどこだと聞かれた父親、
オカツとは別の寺を教える。


第3場 寺の墓地
この場面、
若丸さんとゆかりさんのバトルが最高です。

おこものオカツは
墓地の草刈りしている坊さん(若丸座長)に
供養のお経をあげて欲しいと頼む。

「お経にも上中下とあり
それぞれお布施が要る」
と言われ
金のないオカツは
一番安い下(ゲ)のお経を頼む。

下(ゲ)のお経は
木魚とおりん(仏具)が無い。
坊さんはオカツに
自前(口)でやれと言う。

ここからの二人の掛け合いは佳境に。
この場の面白さは
とても文章では伝えられません。

例えば
ゆかりさん、
口で木魚とおりんをやりますが
先ずおりんの音
「ち〜ん」
次に木魚
「ぽこ」
これ以上は書きません。
言わずとわかるでしょう。

若丸座長、
おりんのタイミングと余韻までを
手で指示します。
この時の
余韻を表す指先と手のひらを
震わす動きに笑いが起きます。

坊さんがお経をあげ始めますが、
ゆかりさんの手拍子で
お経がいつの間にか
『まつの木小唄風』
そして
『ズンドコ節風』と脱線して行きます。

客席は爆笑につぐ大爆笑!

お経が終わる頃、
墓の名前が違うことに
気づくおかつ。
しかも坊さんから
政吉は死んでいないと
聞かされ愕然とするおかつ。

坊さんが居なくなったところへ
本物の玉菊(ひかるさん)が現れて
政吉が生きているなら
家に行き
もうひと芝居をと頼まれる。

正吉の声が聞こえて
玉菊が隠れたところに
正吉がやってきて
オカツの姿を見つける。

その変わり果てた姿に驚きつつも、
父親が二人の中を
認めないなら心中をと
鎌を手にオカツに迫ります。

オカツ「目に殺意が」と逃げ回る。

何とか本物の玉菊が止めに入り
現れた玉菊の姿に総てを
理解する政吉。

やって来た父親も
本物の玉菊を見て
結婚を許します。

目出たし目出たし!


うーん、やはり文章では
面白さを伝えられません。

もし機会があれば是非
本物の舞台を見てください。
若丸さんとゆかりさんの
体当たり演技に圧倒されますよ。