2023(令和5)年10月11日、藤井聡太・「七冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王、名人)と、永瀬拓矢・王座が対決した、
2023(令和5)年度の第71期「王座戦」5番勝負の第5局で、藤井聡太が3勝1敗で永瀬拓矢を破った。
その結果、藤井聡太は将棋史上初の「八冠」と、「八大タイトル独占」の快挙を成し遂げた。
という事で、当ブログでは藤井聡太の「八冠達成」を記念し、
「藤井聡太『八冠』への道」
というシリーズ記事を書かせて頂いているが、前回(後編)の記事では、2022(令和4)年度の藤井聡太が「五冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将)を獲得後、それらのタイトル防衛戦にも全勝し、更に6つ目のタイトルである「棋王」の挑戦権を獲得した所までを描いた。
また、羽生善治が「王将」のタイトル挑戦権を獲得し、
「藤井聡太VS羽生善治」
のタイトル戦が実現した事を描いたが、今回は、その「藤井聡太VS羽生善治」の「王将戦」の模様から描く。
それでは、「藤井聡太『八冠』への道」の「完結編」を、ご覧頂こう。
<2022(令和4)年度の藤井聡太⑥…第72期「王将戦」のタイトル戦で、「藤井聡太VS羽生善治」の対決が実現!!~激闘の末、藤井聡太が4勝2敗で羽生善治を破り、「王将」のタイトル防衛に成功>
前回の記事の最後の方で書いたが、
2022(令和4)年度の、第72期「王将戦」の「王将戦挑戦者決定リーグ」を、
羽生善治・九段が「6戦全勝」で勝ち抜き、藤井聡太・五冠(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将)が待ち受ける、
「王将戦」
のタイトル挑戦権を獲得した。
その結果、第72期「王将戦」のタイトル戦で、
「藤井聡太VS羽生善治」
という、「世紀の対決」が実現する事となり、世間は沸きに沸いていた。
この対決の実現に、藤井と羽生は、口を揃えて、
「タイトル戦での対決が実現出来て嬉しい」
というコメントを残した。
こうして、2023(令和5)年1月8日、満天下の注目を集める中、
「藤井聡太VS羽生善治」
という、
「王将戦」
のタイトル戦の第1局が始まった。
なお、羽生善治は、ここまでタイトル通算「99期」を獲得しており、
羽生が藤井を倒し、史上初のタイトル通算「100期」を獲得するのか、
それとも、藤井が羽生の挑戦を退け、「五冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将)を維持出来るのか…。
世間は勿論、私もハラハラドキドキしながら、見守っていた。
そして、「藤井聡太VS羽生善治」の「王将戦」は、
ファンの期待に違わず、歴史的な大熱戦となった。
2023/1/8…第72期「王将戦」第1局 藤井聡太〇-●羽生善治
2023/1/21…第72期「王将戦」第2局 藤井聡太●-〇羽生善治
2023/1/28…第72期「王将戦」第3局 藤井聡太〇-●羽生善治
2023/2/9…第72期「王将戦」第4局 藤井聡太●-〇羽生善治
2023/2/25…第72期「王将戦」第5局 藤井聡太〇-●羽生善治
第1局で藤井が先勝すれば、第2局で羽生が勝ち1勝1敗、
第3局で藤井が勝ち2勝1敗とすると、第4局で羽生が勝って2勝2敗に追い付き、
第5局で藤井が勝ち、3勝2敗で「王将」のタイトル防衛に「王手」を掛ける…という、まさに一進一退の攻防が繰り広げられ、ファンを熱狂させた。
そして、2023(令和5)年3月11日、
「王将戦」
のタイトル戦第6局で、藤井聡太が羽生善治を破り、
この結果、藤井が「王将」のタイトル初防衛に成功した。
「羽生先生との対局は、私自身、とても楽しみにしていました」
藤井は、羽生との歴史的な「王将戦」を、そのように振り返ったが、
飛ぶ鳥を落とす勢いの20歳の若武者・藤井聡太に、52歳の羽生善治が食らい付いた、素晴らしい「名勝負」であった。
なお、これで藤井の通算タイトル獲得数は「12期」で、「タイトル戦12戦全勝」と、またまた記録を伸ばした。
<2022(令和4)年度の藤井聡太⑦…第48期「棋王戦」タイトル戦5番勝負で、渡辺明棋王を3勝1敗で破り、「棋王」のタイトル奪取!!~藤井聡太、遂に「六冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王)達成>
さて、藤井聡太は、羽生善治との「王将戦」のタイトル戦を戦っている最中、
もう一つのタイトル戦である、
「棋王戦」
に臨んでいた。
前回の記事で書いた通り、藤井は敗者復活戦から奇跡の4連勝で、「棋王戦」のタイトル挑戦権を獲得していたが、
藤井が挑む、「棋王」の現タイトル保持者は、渡辺明である。
「前夜祭に、こんなに沢山、人が集まっているのは、初めて見ました…」
渡辺明棋王は、「棋王戦」のタイトル前夜祭に集まった沢山のファンや報道陣を見て、思わず苦笑いをしていた。
「藤井聡太が渡辺明棋王を倒し、六冠達成、成るか!?」
世間の関心は、その一点に集まっているかのような状況であり、渡辺としても、非常にやりにくいというのが、本音だったのではないだろうか。
ちなみに、渡辺明は「棋王戦」は10連覇中であり、「棋王戦」には滅法強い。
だが、果たして世間の関心は、そこには有ったのかどうか…。
ともあれ、2023(令和5)年2月5日、
「藤井聡太VS渡辺明」
の対決による、
「棋王戦」
のタイトル戦・5番勝負の第1局が幕を開けた。
そして、結果はどうなったのかといえば…。
2023(令和5)年3月19日、
「棋王戦」
のタイトル戦の第4局で、藤井聡太が渡辺明棋王を3勝1敗で破り、
この結果、藤井聡太が「棋王」のタイトル奪取に成功し、遂に藤井は、
「六冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王)
を達成してしまった。
なお、「六冠」達成者は、羽生善治に次ぎ、史上2人目の快挙である。
これで、藤井聡太がまだ獲っていないタイトルは、「名人」「王座」の2つのみである。
そして、藤井の通算タイトル獲得数は「13期」で、「タイトル戦13戦全勝」となった。
なお、渡辺明は、4つ持っていたタイトル(※棋聖、王将、棋王、名人)の内の3つ(※棋聖、王将、棋王)を藤井聡太に奪われてしまい、とうとう、渡辺が保持しているタイトルは「名人」だけになってしまった。
だが、その「名人」のタイトル挑戦者として、またまた、「あの男」が登場する。
そう、それは勿論、藤井聡太その人である。
<2022(令和4)年度の藤井聡太⑧…第81期「A級」順位戦で「7勝2敗」で1位タイ~「名人戦挑戦者決定プレーオフ」で広瀬章人を破り、遂に「名人戦」の挑戦権獲得>
2022(令和4)年度は、藤井聡太は、「順位戦」の「A級」に所属していた。
前回の記事でも書いた通り、「順位戦」の「A級」は、トップ棋士の中のトップ棋士だけが集う、超エリート達のクラスである。
この「A級」で優勝した、たった1人の棋士のみが、「名人戦」のタイトル挑戦権を獲得する事が出来る。
そして、2022(令和4)年度の第81期「A級順位戦」で、藤井聡太と広瀬章人は、
「7勝2敗」
という同率1位で並んだ。
その結果、
「藤井聡太VS広瀬章人」
という対決で、勝った方が「名人戦」挑戦権を獲得するという、一発勝負の、
「名人戦挑戦者決定戦プレーオフ」
が行われる事となった。
そして、その結果はどうなったのかと言うと…。
ここまで、このシリーズ記事をお読み頂いた方は、おわかりの通り、
「藤井聡太は、ここ一番という勝負には、絶対に負けない」
という、無類の勝負強さが有る。
そして、この度の「名人戦挑戦者決定戦プレーオフ」でも、藤井聡太は広瀬章人に勝利し、
「名人戦」
のタイトル戦挑戦権を獲得した。
これで、藤井は渡辺明名人に挑む事となったが、渡辺としては、
「……。また、藤井が来たのか…」
といった気持ちだったと思われる。
<2022(令和4)年度の藤井聡太⑨…史上初の「一般棋戦グランドスラム」(※将棋日本シリーズ(JT杯)、銀河戦、朝日杯、NHK杯の全冠制覇)達成~「53勝11敗 勝率.828」で2022(令和4)年度を終える>
2022(令和4)年度の藤井聡太は、遂に、羽生善治以来、史上2人目となる、
「六冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王)
を達成した。
だが、2022(令和4)年度の藤井は、もう一つ、とんでもない快挙を達成してしまった。
それは何かと言うと、将棋史上初となる、
「一般棋戦グランドスラム」(※将棋日本シリーズ(JT杯)、銀河戦、朝日杯、NHK杯の全冠制覇)
を成し遂げたという事である。
「一般棋戦」とは、全棋士が参加するトーナメント戦であり、一つでも負ければ終わりという棋戦だが、
何と、2022(令和4)年度の藤井は、その「一般棋戦」の4つの大会で、全て優勝してしまった。
これは、今までどんな棋士でも、かすりもしなかった偉業である。
「一体、藤井の強さは、何処が天井なのか…」
皆がそう思い、空恐ろしさすら感じてしまうような、凄まじい強さである。
という事で、2022(令和4)年度の藤井は、
「53勝11敗 勝率.828」
と、7年連続で「勝率8割」超を達成したが、タイトル戦ばかりを戦い、相手が超強豪ばかりの中、これはとんでもない数字である。
<2023(令和5)年度の藤井聡太①…「叡王戦」のタイトル戦で菅井竜也を3勝1敗で破り、2年連続「叡王」のタイトル防衛&「叡王戦」3連覇達成>
2023(令和5)年度を迎えた時点で、藤井聡太は、
「六冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王)
のタイトルを保持していた。
残すタイトルは、「名人」「王座」の2つだが、
藤井は、現在保持している「六冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王)のタイトルを防衛しつつ、残る「名人」「王座」のタイトル獲得を目指した。
そして、2023(令和5)年度、
「藤井聡太VS菅井竜也」
が対決する、
「叡王戦」
のタイトル戦が行われたが、絶対王者・藤井聡太を相手に、挑戦者・菅井竜也・八段も食らい付き、激闘となったものの、
2023(令和5)年5月28日、「叡王戦」第5局で、藤井聡太が菅井竜也を3勝1敗で破り、
藤井が2年連続で「叡王」のタイトル防衛に成功し、「叡王戦」3連覇を達成した。
そして、今年(2023年)も「叡王戦」のスポンサー・不二家から、藤井に対し、
「ペコちゃん」
の人形が贈られ、藤井は笑みを浮かべていた。
これで、藤井の通算タイトル獲得数は「14期」で、「タイトル戦14戦全勝」となった。
<2023(令和5)年度の藤井聡太②…第81期「名人戦」で、藤井聡太が渡辺明名人を4勝1敗で破り、遂に藤井が史上最年少の「名人」のタイトル獲得!!~遂に「七冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王、名人)達成>
2023(令和5)年4月5日、第81期の、
「名人戦」
のタイトル戦7番勝負が、遂に幕を開けた。
藤井聡太・六冠(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王)が、
渡辺明・名人に挑むという構図の、
「藤井総太VS渡辺明」
という、宿命の対決による「名人戦」であるが、世間の関心は、
「藤井聡太が、渡辺明名人を倒し、史上最年少の名人のタイトル獲得、成るか!?」
という点に集まっていた。
一方、渡辺明は、もはや保持しているタイトルは「名人」のみであるが、渡辺も「名人戦」3連覇中という実績が有る。
果たして、藤井が「名人」のタイトルを獲ってしまうのか、それとも渡辺が意地を見せ、「名人」のタイトルを防衛出来るのであろうか…?
そして、その結果はどうなったのかというと…。
2023(令和5)年5月31日、第81期の、
「名人戦」
のタイトル戦の第5局が行われ、藤井聡太が渡辺明名人を4勝1敗で破った。
この結果、藤井聡太は、20歳10ヶ月という史上最年少で「名人」のタイトルを獲得した。
そして藤井は遂に、
「七冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王、名人)
を達成したのである。
なお、「七冠達成」は、1996(平成8)年の羽生善治以来、史上2人目の快挙である(※当時は「七大タイトル」であり、羽生は「七大タイトル独占」を達成)。
「史上最年少名人の誕生」「七冠達成」
は、センセーショナルに報道されたが、藤井が「名人」のタイトル奪取を決めた対局の会場が、長野県の、
「藤井荘」
という所だったというのも、何やら因縁めいている。
これで、藤井は「八大タイトル」の内の「七冠」を制覇し、いよいよ夢の「八冠」まで、残すタイトルは「王座」ただ一つである。
また、藤井の通算タイトル獲得数は「15期」で、「タイトル戦15戦全勝」となった。
一方、藤井に敗れ、「名人」のタイトルを奪われてしまった渡辺明は、保持していた4つのタイトル(※棋聖、王将、棋王、名人)を全て藤井に取られ、遂に「無冠」に転落してしまった。
誠に、勝負の世界は非情である。
<2023(令和5)年度の藤井聡太③…「藤井聡太VS佐々木大地」の、「棋聖戦」「王位戦」のダブル・タイトル戦を制し、「七冠」を維持>
さて、藤井聡太は「七冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王、名人)を制覇し、残すタイトルは、「王座」のみであるという事は、既に述べた。
世間では、いよいよ藤井の「八冠達成」への期待が高まっていたが、
その前に、藤井は現在保持しているタイトルの防衛戦も戦わなければならない。
そして、2023(令和5)年度の「棋聖戦」「王位戦」では、両方とも佐々木大地・七段がタイトル挑戦権を獲得し、
「藤井聡太VS佐々木大地」
という対決で、「棋聖戦」「王位戦」のタイトル戦が行われる事となった。
「棋聖戦」は5番勝負、「王位戦」は7番勝負なので、
「藤井聡太VS佐々木大地の真夏の12番勝負」
と言われ、大いに話題になった。
そして、その結果はどうなったのかと言うと…。
2023(令和5)年7月18日、「棋聖戦」第4局で藤井聡太が佐々木大地を3勝1敗で破り、これで藤井が3年連続で「棋聖」のタイトル防衛に成功し、「棋聖戦」4連覇を達成、これで藤井の通算タイトル獲得数は「16期」で「タイトル戦16戦全勝」、
そして、2023(令和5)年8月22日、「王位戦」第5局で藤井聡太が佐々木大地を4勝1敗で破り、藤井は3年連続で「王位」のタイトルを防衛、そして「王位戦」4連覇を達成した。
これで、藤井の通算タイトル獲得数は「17期」で、「タイトル戦17戦全勝」である。
つまり、藤井が佐々木を圧倒し、「棋聖」「王位」のダブルタイトル戦を制し、「七冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王、名人)を維持するという、貫禄の勝利であった。
こうして、後顧の憂いを無くした藤井は、「王座戦」のタイトル挑戦権獲得に挑んだ。
<2023(令和5)年度の藤井聡太④…第71期「王座戦」の本戦トーナメントを勝ち抜き、遂に「王座戦」のタイトル挑戦権を獲得>
「七冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王、名人)を制覇し、
残すタイトルは、「王座」ただ一つとなった藤井聡太であるが、実は藤井は「王座戦」は非常に相性が悪かった。
何故なら、「王座戦」のタイトル戦に辿り着くためには、「負けたら終わり」という一発勝負のトーナメントを勝ち抜かなければならず、しかも「王座戦」のトーナメントには敗者復活戦が無かった。
そのため、藤井はいつも「王座戦」のトーナメントでは、何処かの時点で敗退してしまい、なかなか「王座戦」のタイトル挑戦権を獲得出来ずにいた。
だが、「八冠達成」まで、あと一つに迫っていた藤井聡太は、2023(令和5)年度の第71期「王座戦」の本戦トーナメントで、苦戦の連続ながらも、中川大輔(1回戦)・村田顕弘(2回戦)・羽生善治(準決勝)…を倒し、遂に決勝にまで駒を進めた。
そして、決勝で藤井と対決する事となったのが、これまで藤井とは幾多の名勝負を繰り広げて来た、あの豊島将之である。
こうして、
「藤井聡太VS豊島将之」
という、勝った方が「王座戦」挑戦権を獲得するという大一番、「王座戦」本戦トーナメントの決勝が行われる事となった。
2023(令和5)年8月4日、
「藤井聡太VS豊島将之」
という、「王座戦」本戦トーナメントの決勝が行われ、
その結果、藤井聡太が豊島将之を破り、この結果、藤井の「王座戦」タイトル初挑戦が決まった。
「ここ一番の大勝負では、絶対に負けない」
…今回もまた、藤井の「神話」は続いた。
そして、いよいよ藤井は夢の「八冠達成」をかけて、運命の「王座戦」に挑む事となった。
<2023(令和5)年の藤井聡太⑤…「藤井聡太VS永瀬拓矢」の激闘の「王座戦」を、藤井聡太が3勝1敗で制し、遂に史上初の「八冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王、名人、王座)達成!!!!!>
2023(令和5)年8月31日、いよいよ、運命の大一番、第71期の、
「王座戦」
のタイトル戦・5番勝負の第1局が幕を開けた。
既に「七冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王、名人)を制覇している藤井聡太と、
残る1つのタイトル、「王座」を保持する永瀬拓矢が激突し、
「藤井聡太VS永瀬拓矢」
という、普段の「研究仲間」にして、これまで数々の激闘を繰り広げて来たライバル同士の対決となったが、
もしも藤井が「王座」のタイトルを奪取すれば、遂に「八冠達成」である。
「藤井の『八冠達成』、成るか!?」
もはや、世間の関心は、その事だけに集まっているような状況だった。
だが、「王座」のタイトルを死守するべく、永瀬も藤井に牙を剥き、全力で立ち向かった。
2023(令和5)年度、第71期の、
「王座戦」
は、物凄い死闘となった。
第1局で永瀬拓矢が藤井聡太に先勝し、第2局・第3局は藤井が2連勝し、藤井が「王座」のタイトル奪取に王手を掛けた。
だが、今回の「王座戦」は、どの対局も永瀬が優勢に進める局面が多く、藤井が勝った対局も、終盤に辛うじて逆転勝ちしているような状況だった。
そして、2023(令和5)年10月11日、運命の「王座戦」第4局は、最終盤に来て、永瀬が勝利を目前にしていた。
だが、藤井は粘りに粘り、相手の持ち時間を削って、「1分将棋」に持ち込んだが、122手目にして永瀬に痛恨のミスが出た。
その直後、自らのミスを悟った永瀬が、頭を掻きむしり、悔しさを露わにしたが、藤井は、その一瞬の隙を見逃さず、遂に藤井が大逆転勝利を収めた。
その結果、藤井聡太が3勝1敗で永瀬拓矢を破り、藤井が「王座」のタイトル奪取に成功、
遂に藤井聡太は、将棋界史上初となる、
「八冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王、名人、王座)
を達成した。
遂に、藤井は「八大タイトル独占」を成し遂げ、「八大タイトル保持者」は、全て藤井聡太となった。
藤井は、これで通算タイトル獲得数は「18期」、「タイトル戦18戦全勝」となった。
前述の通り、遂に藤井が、「八大タイトル独占」を成し遂げたが、将棋史上、「全冠制覇」を成し遂げたのは、下記の4人のみである。
・1957(昭和32)年…升田幸三「三冠」(※王将、九段、名人)
・1963(昭和38)年…大山康晴「五冠」(※王将、十段、名人、王位、棋聖)※1959(昭和34)年に「三冠」、1960(昭和35)年に「四冠」と、その都度、全冠制覇
・1996(平成8)年…羽生善治「七冠」(※棋王、王座、棋聖、王位、名人、竜王、王将)
・2023(令和5)年…藤井聡太「八冠」「八冠」(※棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王、名人、王座)
…という事で、
「藤井聡太『八冠』への道」
シリーズの記事は、これにて「終局」である。
皆様、お読み頂き、有り難うございました!!
(「藤井聡太『八冠』への道」・完)