今年(2023年)の夏の甲子園、「第105回 全国高校野球選手権大会」も、いよいよ大詰めに近付いているが、
神奈川県代表・慶應義塾高校(以下、慶応)が快進撃を見せている。
本日(2023/8/21)行われた準決勝で、慶応は2-0で土浦日大を破り、
慶応は、1920(大正9)年以来、実に「103年振り」となる、夏の甲子園の決勝進出を決めた。
一方、昨年(2022年)の夏の甲子園優勝校・仙台育英も、準決勝で6-2で神村学園を破り、
これで、明後日(2023/8/23)行われる決勝戦は、
「慶応VS仙台育英」
という組み合わせに決定した。
この決勝で、もしも慶応が勝てば、慶応は1916(大正5)年以来、実に「107年振り」の夏の甲子園優勝である。
つまり、慶応は「107年振り」の夏の甲子園制覇に、遂に「王手」を掛けたという事である。
そこで、今回は慶応の歴史的快進撃にスポットを当て、ごくごく簡単ではあるが、慶応高校の甲子園における歴史(略史)を、ご紹介させて頂く。
それでは、ご覧頂こう。
<1916(大正5)年…「第2回 全国中等学校優勝野球大会」で、慶応普通部(現・慶応高校)が初優勝>
現在の「全国高校野球選手権大会」の歴史は、今から108年前、1915(大正4)年に創設された、「第1回全国中等学校優勝野球大会」に始まる。
当時は、今とは学校制度が違うため、「中等学校(中学)」の野球の全国大会という形であった。
大阪朝日新聞によって創設された、「全国中等学校優勝野球大会」は、1915(大正4)年に開催された第1回大会で、京都二中(現・鳥羽高)が優勝した。
そして、翌1916(大正5)年に開催された第2回大会で、見事に優勝したのが、慶応普通部(現・慶応高校)である。
なお、その時、慶応普通部を率いていたのが、腰本寿監督で、腰本監督は後に慶応大学の監督を務め、昭和初期に「慶応黄金時代」を築いた。
ちなみに、当時の慶応普通部は東京代表であり、早稲田実業(早実)と慶応普通部が、東京の中等野球の「2強」と言われていたが、1916(大正5)年の「第2回全国中等学校優勝野球大会」で、慶応普通部は東京大会を勝ち抜き、全国大会への切符を手にした。
なお、当時は甲子園球場はまだ作られておらず、全国大会の会場は、大阪・豊中球場であった。
そして、名将・腰本寿監督率いる慶応普通部は、
1916(大正5)年の「第2回全国中等学校優勝野球大会」で、下記の戦績を残し、
見事に全国大会を勝ち抜き、慶応普通部が初優勝を達成した。
【1916(大正5)年 第2回全国中等学校優勝野球大会 慶応普通部の戦績(※優勝)】
慶応普通部〇6-2●愛知四中
慶応普通部〇9-3●香川商
慶応普通部〇7-3●和歌山中
慶応普通部〇6-2●市岡中
という事で、1916(大正5)年の、慶応普通部の栄光の優勝メンバーを、記しておく。
なお、一塁手のジョン・ダン選手は、アメリカからの留学生であった。
また、山口昇投手は「スーパーマン」の異名を取った、大投手だったという。
【1916(大正5)年 慶応普通部 優勝メンバー】(※決勝戦の出場選手)
(左)佐藤隆雄
(一)ジョン・ダン
(投)山口昇
(三)塩川幸三
(右)河野元彦
(遊)平川誠
(二)足立信夫
(捕)出口修二
(中)田島三千雄
監督:腰本寿
…という事で、もしも今回、慶応が優勝すれば、
上記の1916(大正5)年以来、実に「107年振り」である。
如何に、歴史的な出来事であるか、おわかり頂けであろうか?
ちなみに、1916(大正5)年といえば、まだ「第一次世界大戦」(1914~1918)の真っ最中であり、
この年(1916年)は、「第一次世界大戦」中で、最大の激戦となった「ソンムの戦い」が有った。
また、日本では寺内正毅内閣が成立し、アメリカではウッドロウ・ウィルソンが大統領に就任した。
要するに、前に慶応が「夏の甲子園」(※便宜上、そう呼ばせて頂く)で優勝したのは、それぐらい大昔の出来事という事である。
それは、今から「107年前」の事であった。
<1920(大正9)年…「第6回全国中等学校優勝野球大会」で、慶応普通部は準優勝~決勝で、慶応普通部は関西学院中に「0-17」で大敗>
さて、慶応普通部が「夏の甲子園」で初優勝してから4年後、
1920(大正9)年の「第6回全国中等学校優勝野球大会」で、慶応普通部は2度目の決勝進出を果たした。
しかし、この時は、慶応普通部は決勝で関西学院中に「0-17」という大敗を喫し、慶応普通部は準優勝に終わった。
という事で、この時の慶応普通部の戦績は、下記の通りである。
【1920(大正9)年 第2回全国中等学校優勝野球大会 慶応普通部の戦績(※準優勝)】
慶応普通部〇4-2●長岡中
慶応普通部〇4-3●松山商
慶応普通部●0-17〇関西学院中
…という事で、慶応の「夏の甲子園」決勝進出は、
上記の1920(大正9)年以来、実に「103年振り」という事である。
この年(1920年)は、慶応は決勝で敗れてしまったが、果たして、今年(2023年)の慶応は、優勝する事が出来るであろうか?
では、慶応普通部が「夏の甲子園」で準優勝した、1920(大正9)年は、どんな出来事が有ったのかといえば、
既に「第一次世界大戦」は終結し、国際協調を目指す「国際連盟」が成立し、
同年(1920年)日本では「第1回メーデー」が開催、
また、この年(1920年)はベーブ・ルースがボストン・レッドソックスからニューヨーク・ヤンキースに移籍し、以後、ベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグという2大スターを擁したヤンキースが黄金時代を築く。
繰り返すが、これは今から「103年前」の出来事であり、慶応が「夏の甲子園」の決勝に進出したのは、この年(1920年)以来、「103年振り」の出来事である。
<2008(平成20)年夏~慶応高校、「3勝」を挙げベスト8(準々決勝)に進出するも、惜しくも「92年振り」優勝は成らず>
さて、時は流れ、戦後、慶応高校は東京都から神奈川県に移転し、
以後、慶応は神奈川県大会を戦う事となったが、
2008(平成20)年夏、慶応高校は神奈川県大会を勝ち抜いて、「夏の甲子園」に出場し、「3勝」を挙げ、「ベスト8」(準々決勝)に進出した。
しかし、慶応は準々決勝で浦添商に3-4で惜しくも敗れ、慶応の「92年振り」の夏の甲子園優勝は、成らなかった。
という事で、この年(2008年)の慶応の「夏の甲子園」の戦績は、下記の通りである。
【2008(平成20)年 第90回 全国高等学校野球選手権大会 慶応の戦績(※ベスト8)】
慶応〇6-4●松商学園
慶応〇5-0●高岡商
慶応〇2-0●青森山田
慶応●3-4〇浦添商
<2023(令和5)年…「第95回選抜(センバツ)高校野球大会」で、慶応は1-2で敗れ、初戦敗退>
さて、それから更に15年の時が流れ、
2023(令和5)年、「第95回 選抜(センバツ)高校野球大会」に慶応が出場し、
初戦で「慶応VS仙台育英」の対決となったが、この試合は延長10回タイブレークの激闘の末、
慶応は惜しくも1-2で仙台育英にサヨナラ負けを喫し、慶応は無念の初戦敗退となった。
そして、春の「リベンジ」を懸けて、慶応は今年(2023年)の「夏の甲子園」出場を目指した。
<2023(令和5)年…慶応、激闘の神奈川県大会を勝ち抜き、東海大相模、横浜などを破り、「夏の甲子園」出場を決定>
そして、今年(2023年)の夏、慶応は春のセンバツの「リベンジ」をかけて、神奈川県大会に挑んだが、
慶応は見事に激戦の神奈川県大会を勝ち抜き、「夏の甲子園」出場を決めた。
慶応は、東海大相模、横浜など、甲子園優勝経験が有る超強豪校を破っての「夏の甲子園」出場である。
という事で、今年(2023年)夏の神奈川県大会の、慶応の戦績は下記の通りである。
【2023(令和5)年 第105回 全国高校野球選手権 神奈川県大会 慶応の戦績】
慶応〇12-2●白山
慶応〇7-0●津久井浜
慶応〇10-0●県相模原
慶応〇8-1●市ヶ尾
慶応〇7-2●横浜創学館
慶応〇12-1●東海大相模
慶応〇6-5●横浜
<2023(令和5)年…「第105回 全国高校野球選手権大会」で、慶応が「103年振り」の決勝進出>
そして、2023(令和5)年の「第105回 全国高校野球選手権大会」で、慶応は快進撃を見せた。
慶応は、北陸、広陵、沖縄尚学、土浦日大を破り、遂に慶応は1920(大正9)年以来、「103年振り」となる、「夏の甲子園」決勝進出を果たした。
という事で、今大会の慶応のこれまでの戦績は、下記の通りである。
【2023(令和5)年 第105回 全国高校野球選手権大会 慶応の戦績】
慶応〇9-4●北陸
慶応〇6-3●広陵
慶応〇7-2●沖縄尚学
慶応〇2-0●土浦日大
<明後日(2023/8/23)の「夏の甲子園」決勝は「慶応VS仙台育英」~春のセンバツの「再戦」が実現~慶応の「107年振り」夏の甲子園優勝、成るか!?>
そして、もう一つの山では、仙台育英が決勝にまで駒を進め、
これで、明後日(2023/8/23)の「夏の甲子園」決勝は、
「慶応VS仙台育英」
という対決に決まった。
このカードは、今年(2023年)春のセンバツの「再戦」であり、その時は、前述の通り仙台育英が2-1で慶応を破っているが、慶応は、その時の「リベンジ」と、実に「107年振り」となる、夏の甲子園優勝の夢を懸けて、仙台育英に挑む事となる。
果たして、どちらが勝つか、非常に楽しみであるが、私は一応、
「慶応が勝つ」
と、予想しておく。
理由としては、単に、
「慶応の歴史的な優勝が見たい」
という気持ちも有るが、東京六大学勢については、やはり少し肩入れして応援してしまうからでもある。
一方、仙台育英も、「夏の甲子園連覇」という偉業が懸かっており、こちらも負けられない。
という事で、全国の野球ファン注目の大一番、
「慶応VS仙台育英」
の決戦に、皆様も是非とも、ご注目頂きたい。