債権に関する重要過去問(平成24年【問8】) | 保坂つとむの宅建ブログ

債権に関する重要過去問(平成24年【問8】)

おはようございます(^O^)。

みなさんご存じのとおり、宅建試験は、来年度から出題内容の大きな変化が生じます。民法(債権法)の大改正の内容からの出題が控えているからです。

今年度は、現行法(改正前の内容)が出題される最後の年となります。



それでは、改正の中心となる“債権法”は、今年度は、そんなに出ないのか…というと、おそらくそんなことはないでしょう。

むしろ、積極的に“現行法の内容、ちゃんとわかってるかい?”てな感じでバンバン出るかもしれません。

または、改正箇所を避けて、その分“判例”を積極的に出してくる可能性もあります。



というわけで、今回は、近年の最高裁の重要判例や、改正で内容が変わってしまう箇所が適度にミックスされた“債権法”がテーマの過去問を紹介いたします。

とくに肢(1)は、超ハイレベル判例からの出題なので、解説のボリュームがとんでもないことになっています(笑)が、ご了承くださいませ!

※ 肢(1)は、通常の債権の消滅時効期間が10年、不法行為の損害賠償請求権の時効期間が3年…という前提知識が必要です。これらを頭に入れながら、解答してください!





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□□□ 宅建過去問(平成24年【問8】)□□□
重要度☆☆☆☆

債務不履行に基づく損害賠償請求権に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。

(1)AがBと契約を締結する前に,信義則上の説明義務に違反して契約締結の判断に重要な影響を与える情報をBに提供しなかった場合,Bが契約を締結したことにより被った損害につき,Aは,不法行為による賠償責任を負うことはあっても,債務不履行による賠償責任を負うことはない。

(2)AB間の利息付金銭消費貸借契約において,利率に関する定めがない場合,借主Bが債務不履行に陥ったことによりAがBに対して請求することができる遅延損害金は,年5分の利率により算出する。

(3)AB間でB所有の甲不動産の売買契約を締結した後,Bが甲不動産をCに二重譲渡してCが登記を具備した場合,AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる。

(4)AB聞の金銭消費貸借契約において,借主Bは当該契約に基づく金銭の返済をCからBに支払われる売掛代金で予定していたが,その入金がなかった(Bの責めに帰すべき事由はない。)ため,返済期限が経過してしまった場合,Bは債務不履行には陥らず,Aに対して遅延損害金の支払義務を負わない。

(解説はこちら ^o^)
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●●● 本問の解答・解説 ●●●


(1)正しい
契約締結前”に,その締結の判断に重要な影響を与える情報を相手方に提供しなかったことによる“信義則上”の説明義務違反があった場合には…
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「不法行為」による賠償責任を負う…ことはあっても,「債務不履行」による賠償責任を負うことはない…とするのが,判例である。
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よって,本肢は正しい。
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…と,いちおう結論は述べた。フツーなら解説はこれで終わりだが(実際,これ以上の解説を行っている過去問集は皆無に近いようだ…),
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でも,これでは,本肢の何が問題なのかがサッパリ???わからない。そこで,もう少し詳しく解説することにしよう。
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本肢は“近年の最高裁の判例(最判H23・4・22)”について問われているものだ。
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結構難しい論点についての判例なので,できるだけわかりやすく争われた内容を案内すると…
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●某信用協同組合から勧誘を受けて,被害者が出資した。
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●ところが,その後に,その信用協同組合は経営破綻し,出資金は“パー”に!
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●ひどいのは,勧誘があった時点で,その信用協同組合の経営はすでに火の車で,出資は“危険性大”の状態だった。
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●にもかかわらず,そのような危険について説明をせずに,出資を勧誘し,まんまと金銭を出資させた。
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●怒った被害者は,当然,訴訟を起こす。
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●でも,被害にあってから“3年を経過”していたので,不法行為で争うと“時効”により出資金の返還と損害賠償の支払いを求めても負けてしまう。
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●そこで,説明義務に違反して契約をしたことを理由に,契約上の責任(債務不履行責任)を追及して争った。
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●これなら,時効期間は“10年”なので,まだ間に合う。
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…てな,具合である。
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で,“最高裁は?”というと,前述のとおり,「不法行為」による賠償責任を負う…ことはあっても,「債務不履行」による賠償責任を負うことはない…との結論を出したわけだ。
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債務不履行(=契約上の責任)による責任はない…ということは,不法行為でしか責任を追及できない…でも,これだと時効期間を過ぎているので,“被害者の負け”といった結果になる。
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でも,なんでこういう判断になるの???…と,納得がいかない人も多いであろう。
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判決文そのものを載せても,日本語とは思えない超難(=意味不明)な文章なので,平たく説明すると,下記のような理屈が根拠となっている。
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●ちゃんと説明があったら,そもそも出資してないよね。
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●てことは,説明があったら契約自体をしてないでしょ。
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●でも,説明がないから出資契約を結んでしまった。
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●なのに,契約上の説明義務を果たさなかったことを理由に,契約(債務不履行)責任を問うのはおかしいでしょ。
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●だから,不法行為責任だけでイイよね。
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ん~…なんだか,わかるようなわからないような理屈だ。
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私には,屁理屈に聞こえる(笑)。被害者保護という観点からは,とっても残酷な判決である。
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当然,実務家を中心に“こりゃ~どうなの???”といった反対意見をよく目にする “ちょっと…いわくつきの判例”となったわけだ。
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でも,宅建試験には出た(再笑)。以上!
判例全文はこちら…でも,宅建受験生は見ない方がイイョ。頭が爆発します!)
《50日でうかる宅建士:上巻74,184ページ参照》


(2)正しい
「金銭消費貸借契約」における返済債務は,“金銭債務”に該当するため,借主が債務不履行に陥った際に,貸主が請求できる遅延損害金(損害賠償金)は,利率に関する定めがなければ,“年5分(年5%)の法定利率”で計算される。
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よって,本肢は正しい。
《50日でうかる宅建士:上巻131,132ページ参照》


(3)正しい
不動産の「二重譲渡」があり,第三者同士で所有権の争いがある場合は,先に登記した者がその所有権を対抗できる。
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したがって,本肢のように「Cが登記を具備した…」のであれば,Cが所有権を対抗でき,Aが所有権を手に入れるのは“不可能”となる…ため,Aは,Bに対して,債務不履行(履行不能)に基づく損害賠償請求をすることができる。
(このように… 不可能かどうかの判定は,火災による滅失といった“物理的”な原因で判断されるほか,本肢のように“取引が可能なのかどうか”といった点でも判断される!)
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よって,本肢は正しい。
《50日でうかる宅建士:上巻127,129ページ参照》


(4)誤り
「金銭消費貸借契約」における返済債務は,“金銭債務”に該当するため,その不履行があれば,“不可抗力”が原因であっても,債務不履行(履行遅滞)として処理される。
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したがって,本肢のように「売掛代金…の入金がなかった」ことが理由であっても,返済期限が経過してしまったBは,債務不履行に陥り,Aに対して,遅延損害金(損害賠償金)の支払義務を負う。
(「Bの責めに帰すべき事由はない。」…と書かれているし,Bにとっては“不可抗力”であった…でイイでしょう。でも,上記のとおり,不可抗力は,言い訳にならないョ!)
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よって,本肢は誤り。
《50日でうかる宅建士:上巻131,132ページ参照》


正解(4)





【制作・著作】
たっけんコム(http://www.takken.com/)代表 保坂つとむ

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