今日はすっかり春のあたたかさで、フリージアがふわあっとうっとりするようないい香りです。

そろそろ本当に春が近づいてきましたが、『もりのてがみ』は寒い冬から春に移り変わる季節にぴったりの絵本です。
主人公の女の子、ひろこさんは森(林?)の中のおうちに住んでいます。と言ってもどこか遠い外国の森ではなく日本のどこかの森です。たぶん長野とかそんな感じ。

寒い冬、外で遊べない日にひろこさんは自分の部屋で森のおともだち(りすさん、とかげさん、うさぎさん、ことりさん、もみのきさん)に手紙をかきます。

暖かそうなひろこさんの部屋には昔学校にあったようなやかんが上にのった円柱型の石油ストーブがあります。手紙を書く勉強机の上には蛍光灯の電気スタンドとスヌーピーの置物、昔懐かしいデザインの文房具(シャチハタのスタンプ台とか青い筒に黄色いキャップののりとか)などがおいてあります。

そしてそれぞれに宛てた手紙は見開きのページいっぱいに机の上の様子とともに描かれているのですがこれが最高にかわいい!

手紙はカラーペンや色鉛筆で描いたイラストつき。そして手作りの封筒にはそれぞれにぴったりの絵柄の手作りの切手が貼られています。一通一通時間をかけて丁寧に書いていることがよくわかります。 そしてなにより手紙の中身!なんともいえず文章に味があってかわいらしくてにっこりしてしまいます。手紙の最後は「もりにすみれがさいたらこのもみのきのしたでまっています」としめくくり、ひろこさんは手紙をもみの木に吊り下げておきます。

雪が溶け春が訪れすみれの花が咲くころ、おともだちからはうれしい返事が届きます。

なんていうことのない話といえばそうなのですが、最初に読んだときからものすごく惹かれる一冊です。

なんでこんなに惹かれるのかなあと考えてみましたがその理由はきっとこうです。現実世界とファンタジー、想像の世界が当たり前のようにつながっている感じがすごく懐かしいのだと思うのです。

上にも書いたように絵本の舞台は明らかに日本で、描きこんである部屋の様子からは時代は昭和というところまで具体的。だけどそこに住むひろこさんはごく当たり前のように動物や木と話すことができます(ちなみにこの本に人間はひろこさんしか出てきません。)。とくに大きな事件が起こるわけでもなく、日常とファンタジー、想像の世界が当たり前のように自然に溶け合っています。

大人になった今でも絵本を開けばファンタジー、想像の世界に旅をすることができるけれど、子供のころは絵本を開かなくても毎日がそんな世界と地続きだった。その時の感覚を思い出すからこの本にこんなに惹かれるのではないかと思います。 

とはいえ平成生まれ、2010年代生まれの娘もかきこまれてた手紙のすみずみまで見てはとても楽しんでいましたよ。

春を迎える季節にぜひ。



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