敦煌 | 千紫万紅

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敦煌 特別版 [DVD]/角川映画



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1988年の日本映画。井上靖の「敦煌」を忠実に映像化したもの。北宋時代、科挙試験に失敗した趙行徳は市場で西夏の女と知り合ったのをきっかけに、西域への興味を募らせ旅に出る。しかし、偶然が重なり彼は大きな戦いへ巻き込まれていく…。


製作総指揮は当時の徳間書店社長だった徳間康快で、本作にかなり熱を入れていたらしく、邦画でも屈指の費用をつぎ込んで制作された。


して、その出来栄えは。




微妙




これに尽きる。いや確かに大作らしいスケールもあるし、役者も悪くないし、音楽やセットもいい。


が、本作をダメなものにしている決定的な理由が二つある。


1、役者が全員日本人


漢人も西夏人もウイグル人もみーんな日本人が演じている。主役から脇役もほぼ日本人。おかげで国際性がまるで感じられない。中川安奈がウイグル人なら三田佳子は西夏人って、どういう理屈で区別してるんだ(中川杏奈は可愛いけどね)。やっぱりこうした中華物は小説に留めておくべきで、無理に映像化とかしない方がいいんだろうなあと感じる。アニメとか極端にファンタジーしてる作品ならともかく、本作の場合史実の中国が舞台なんだから、そこは映像としてのリアリティが欲しい。出てくる連中みんなが日本人では、衣装やセットをいくら整えてもやっぱり日本人にしか見えない。これが最大の失敗点ではないかと。





2、お堅く作り過ぎ


本作の費用45億円は邦画でもトップクラスの部類に入る。そのせいだからなのかはわからないが、やたら遠くからのカットでスケール感を出してみたり、編集で切るのがもったいなかったのか凡調な戦闘シーンを長々見せたり、何ともまあ退屈な画面が多い。観客を楽しませようという以前に、作り手がテンパっているのがわかる。ストーリーにしたって原作はエンタメ要素をそこそこ重視しているのに、映画はそこらへんをないがしろにし過ぎ。あからさまに真実っぽく描写するから、かえって嘘くささが倍増している。


ナレーションも生真面目すぎてイラッとくる。ラストの「世界各国に敦煌の遺産が持ち出されたことによって研究が進み、ついには敦煌学なる独自の学問まで生まれたのだ(キリッ)!」という一節も、それは日本人が大見得きって言うことじゃないだろと思う。仮に本作が中国との本格的な合作映画だったならまだしも、日本人だけで作っておいてこんなこと言うのはなあ(中国のスタッフもいるにはいるけれど、やっぱり合作とは呼べない)。今やったらブーイングが凄そう。





結論。原作を読みましょう。




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