タイ巨大企業がアジアを攻める | 中小企業の経営参謀「税理士星川」の戦略、税制、法務、海外展開のお役立ちブログ

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先日、伊藤忠とタイの財閥CPグループが中国のコングロマリット企業に
共同出資というニュースが出ました。
この出資が日本企業にとっては、
過去最大となるということで、
大きく報道されていました。

2014年7月に電撃的に報じられた、
CPグループの伊藤忠への出資。
タイの財閥が、伊藤忠の筆頭株主になっているのです。
(信託口等を除き、筆頭株主ということです。)

日本で生活していると、
まだまだタイは観光地、
マッサージと辛い料理の国という
印象が強いかもしれませんが、
タイの大企業は、アジアを席巻する
勢いで成長しています。

この現実を何かのタイミングで
伝えたいと思っていましたが、
先日、Bankok Post(タイの英字新聞)が、興味深い記事を掲載していたので、
これの意訳に、私の説明を織り交ぜ
ながら紹介したいと思います。
(Bankok Post2015年1月8日より。)

この記事は、タイの大企業を率いる
大財閥の後継者が3代目を迎えている
ということに着目し、その大企業と
後継者その人に注目して特集しています。

中国の古い言葉に、
「初代は、ビジネスを築く。2代目はこれを成功させる。しかし…
3代目は、これを台無しにする。」というのがある。
果たして、タイの3代目達はどうか?
というところから始まります。

CPグループ
CPグル―プは、農畜産業、食肉加工で成功している巨大グル∸プ。
世界トップの飼料メーカー、世界的なエビの生産業者、かつ、
世界で最も大きい鶏肉メーカー。
(昨年、マクドナルドのナゲットの
問題が出た際には、タイから鶏肉を
輸入するという話が上がりました。
噂ではCPから?ということだった
のですが、結果は別の会社
だったそうで。)

2013年のグループ売上は、約4兆円。
華僑のトップと言われるタニン会長
の後を継ぐのは、スパチャイ氏47歳。
同氏は、現在CPグループの通信会社「True Corporation」の社長を務めている。
タイで初めてiPhoneを発売し、
タイの通信業界を震撼させた。
無料の無線Wi-Fiが使えるカフェ、
True Cafeの立案をするなど
成功を収めている。
農業、通信業、マーケティング、流通、貿易、石油化学不動産開発、保険、自動車などなどコングロマリット企業の
未来を描く期待を寄せられている。
(ちなみにタイのセブンイレブンは、8000店舗を超え、日本、アメリカに次いで、世界で3番目の数を誇ります。
これを運営しているのは、CPのグループ会社CPオール社です。)

Thai Beverage
(タイビバレッジ)
近い将来、アセアンでトップに立つ飲料メーカーになるであろう
Thai Beverageを率いるのは、
39歳のタパナ氏。
スピリッツ、ビール、非アルコール飲料、食品を手掛け、
2013年の年間売上は、約5000億円。
(誰もが知っている、象のビール(チャーンビア)を販売する会社)
(ちなみに、アサヒビールはグループ連結で1兆5千億円。)
2014年には、シンガポールのF&N社を買収し、アセアン全域での
Thai Beverage製品の販売ネットワークを構築するための布石を打った。
また、タイで人気の甘~いお茶などを
販売してきたOishiグル―プやタイのコーラのブランドest(エス)なども買収。

タパナ氏は、合併、吸収の手法を道具として好んで使い事業を拡大している。

現在は、イギリスのハイパーマーケット「Tesco Lotus」の買収に関心を示す。
ビリオネア―である、父チャルーン氏
(タイで2番目の富豪)が、
カルフールの買収に失敗したこともあり、ハイパーマーケットの運営は
その夢を叶える意味もあるようだ。

Central Group
トス氏は、2015年はじめ、Central Department Storeをはじめとする
8000億円超の小売グループのCEOに指名された。
(セントラルグループを率いる
Chirathivat家の相続の話については、
以前綴っています。タイの笑顔相続ーセントラルグループの家憲
(三越伊勢丹HDの連結売上は約1兆3千億円です。)
小売、不動産開発、ホテル、飲食などを
手掛けるセントラルグループを率いる
トス氏は50歳。指名には、驚きはない。
ここ数年グループのCentral Retail Corporationを率いてきた同氏は
タイのビジネス界ではお馴染み。

合併、吸収により、事業を拡大するのが
戦略。
2011年には、イタリアの老舗デパートLa Rinascenteの買収に成功。
2013年には、デンマークの最古のデパートIlumを買収。

中国に2011年に進出後、支店は3つ。
2014年には、ベトナムにセントラルグループのRobinsonデパートを
ホーチミンとハノイにオープン。
11月には、インドネシアにCentral Departmentをオープン。

さらに、同グループはタイでのファミリーマートの運営権を握る。。。


どうでしょうか?
上記タイの巨大企業グループ3社の動き、そして経営者の若さ。
勢いを感じるのではないでしょうか。
中国、東南アジアへどんどんと進出して行く強さは脅威です。
伊藤忠の筆頭株主になったかぁ、
と驚いていると
そのうち、あっと驚くような日本の
大手企業もタイ企業に飲み込まれて
いくのではないか。
そんな緊張感を感じざるを得ません。
シュリンクして行く日本の市場を
考えると、
「なんだぁ、まだまだ日本のトップ企業
の方が売上規模が大きいじゃないか」
と単純に言い放てません。

ある韓国の航空会社では、ナッツの出し方に執着したり、ある日本の製紙メーカーでは、カジノに夢中になったりということがあったようですが、
創業から3代目、タイの巨大企業のどの後継者もトップに立つ前から事業で実績を
出しており、
中国の古い言い伝えはこの場面では
杞憂かもしれません。

アジアの時代
日本企業は、慣れない市場で地道に製品、サービスを売り込み、市場を獲得していくほかないでしょう。

繊細でイノベーティブな日本企業の製品、サービスならば、必ずや現地の消費者の心を掴むことができるでしょう。
すでに、マンダムやユニ・チャームは成功を収めています。

「消費者は、そのものを目にするまで、
それを欲しいとは思わない。だから自分の好きなものを作ってきた」と
いう趣旨を、
スティーブ・ジョブスさんが言っていたように記憶していますが、
これは価値の創造です。

日本の製品、サービスが現地の市場に合った価値を創造し、現地の生活に貢献する。そんな時代のお手伝いができればなと思うのです。

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税理士、行政書士 星川 望
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