今回は長くなるので2回に分けます。
著者は東大大学院博士課程修了の若い女性。
非常に論理的かつわかりやすく書かれている。
わたしがなるほどと会得したのは、
「半端な人間が地位を得るとパワハラをする傾向がある」。
納得。
一度書きかけてやめた、「パワハラ事件のいきさつ」の上司がまさにこのタイプだったのである。
おもちゃ=権力を持っている自分が楽しくて仕方がなく、子供が真剣を振り回すように権力を振り回すのだ。
2年も経ったので時効だと思うので書くが、わたしが3ヶ月だけ働いたのは「某国立大学のBBCも取材に来る超有名研究所」。
そこの所長(正しくは彼の秘書)に非常に気に入られ、「是非に、是非に!」と言われて悪条件にもかかわらずほだされたわたしを「まあ、いいんじゃないの」とあっさり引き受けた現場担当教授がとんでもないくせ者だったのだ。
彼はなぜかわたしが何も仕事をしないいうちから「おかしい人、できない人」と決めつけ、「所長の予算だから雇っただけで、更新も何もするつもりない。仕事なんかないから、さっさと辞めたら」
あ????
そこで「話が違うから辞めます」と言えばよかったのだが、「そこまで言われて引き下がれるか」と踏みとどまったのが良くなかった。そこへ「アナタ」よばわりの先輩が加勢した。
「わたし、やり過ぎるくらいやったのに、なぜ『できない』呼ばわりされたんですか?」
「まあ、基準に達してなかったんだろうねえ~」。
素直なわたしは、「じゃあ、どこまでできなかったのか勉強しよう」とamazonで格安2千円の中古本を見つけ、「買ってもいいですか?」と尋ねた。
すると彼、嬉しそうに、
「あなたは、労働することでわたしたちから報酬を得ているよね?」
「はい、そうです」。
「じゃあ、わたしたちはあなたの『お客様』なんだよ。お客様からどうしてお金を取るの?」
・・・あ???????????
思わず休憩室に駆け込み、労働基準局に事の次第を質問したわたし。
基準局、絶句。
「そんなのは聞いたことありません!じゃあ、『教育研修費』は何のためにあるんですか!!」
社会保険労務士を2回受験して2回落ちたわたしだが、これが「労働基準法第2条違反」であることは火を見るより明らかである。「雇用主と被雇用者は平等の立場である」。
仕方なくわたしは自腹でテキストを買ったが、やはり、「自分の知っていることしか書かれていない」。
で、わたしはやれるところまでやってみせ、「センセ、ちょっといいですか?」
「あ?」
「これ以上できないと思うんですけど・・・これのどこが完璧じゃないんですかね?」
返事がない。
振り向くと、彼氏の目が、「コンパスの針」になっている。
愕然とするわたし。「この人の方が、『なにもわかっていない』んだ・・・」。
やがて事態が泥沼化し、彼氏が公然とわたしに「さっさと辞めたら」と口にするようになって、とうとうブチ切れたわたしは労務と所長に訴えた。
驚いたことに、わたしを熱心に口説いた所長はすっかり夢から覚めたようになっていて、「アンタ、誰?」という態度になっていた。
この悔しさを、わたしを馬鹿にした「先生」にぶつけるっ!!
反撃が始まった。
「この文体だと、違う意味に取れますよね?」
「・・・え?そうなの?」
「AがOで、Bが×、で、なんでCが△になるんですか?理屈に合わないでしょ?」
「・・・・」
だんだんビクビクとしていき、質問を投げかける度オロオロと弱腰になっていく奴を見るのはなかなか結構楽しく、しまいには彼が「お昼休みの半消灯」(*研究所はケチなので「昼休みは半消灯にする」という決まりがあり、わたしは「だって、あなたは机の電気をつけているのに、わたしだけ消すんですか?」と不満だったが、黙って従っていた。最初の「できない」発言の翌日、わたしが5分早く自席の電気をつけたのを彼がとがめた時、わたしが「だから?」と見返したら彼氏は驚いていた。反撃するタイプだとは思っていなかったらしい)の際にしおらしく「自分の方の席を消灯する」という気の使い方をするようになってきて、
「どうせ契約更新してもらえないんだもの、それまでこいつをいじめ抜いてやろうかしら」
とも思ったが、やがて決定的なことが起きて、「もう、あかん!」と脱兎のごとく研究所を去ることとなったのである。
その後彼は今、どうしているかというと、その研究所の表看板は他の人に譲ったが、相変わらず生息しているらしい・・・。
「精神的に未成熟な人間」に権力を握らせてはならないのである。
だから、「昇進試験には、労働基準法の丸暗記を必須としなさい」。
これは、わたしの主張である。
あとは②に続きます。