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筋膜マニピュレーション認定セラピスト(Certified Fascial Manipulation® Specialist)の柿沼秀樹です。
6/3~6/11まで筋膜マニピュレーション(Fascial Manipulation®)の総本山、イタリアのパドヴァへ行って来ました!
今回のイタリアでの目的は三つ。
1.Certified Fascial Manipulation® Specialist(筋膜マニピュレーション認定セラピスト)試験
2.Master Class for FMID(日本では受けられないアドバンスコース)の受講
3.第10回 筋膜マニピュレーション学会への参加
中でも一番の目的は、認定セラピスト試験でした。
昨年から始まった認定制度。
日本で認定を受けているのは昨年果敢にチャレンジした Physical Conditioning IKI の須賀康平さんただ1人。
もし合格すれば、日本では2人目となる快挙でした。
おかげさまで無事に試験に合格して、イタリア本部から認定をいただくことができました。
その旅の過程を自分なりに整理してみようと思います。
あの、これあくまでも自分のために書くので、僕に興味のない方は読まないでくださいね。
ちっとも楽しくないと思いますから笑笑。
さて、それでは参りましょうか。
認定制度が生まれたのが昨年(2017年)のこと。
試験はイタリア語か英語で行われます。
受験資格は、筋膜マニピュレーション(Fascial Manipulation®)のレベル3コース(筋膜と内臓との関わりを扱います)を修了して、1年以上臨床経験を積んでいること。
僕が東京でレベル3を受講したのが昨年の8月なので、厳密には1年に満たないのですが、その辺は多めにみてくれる(?)ようです。
昨年、須賀先生が合格した報せを聞いて、自分も受験したい!認定セラピストになりたい!と強く思いました。
ただ、やはり英語での受験ということを考えると十分な準備が必要だな、と思いました。
留学経験(高校生の時に1年間アメリカに留学していました)があっても医療に関する語彙を覚えるのは大変だろうと思いましたね。
しっかり準備して2年後の2019年に受験しよう、最初はそう考えていました。
その考えが変わったのは昨年9月。
イタリアにレベル3を受講しに行った時でした。

この写真はその時のものです。
17か国から集まった40人の参加者。
彼らに大いに刺激をもらいました。
ケニアから参加していたハミシは、既に翌年(2018年)の受験を決めていました。
ハミシはその時の研修で僕が一番刺激を受けた人物でした。
その彼に「君も受けるだろう?」と聞かれた時から「受験してみようかな」と考え始めたと思います。
とは言え、いろいろな事情もあったので即答はしませんでしたけど。
正直言ってしばらくは迷っていました。
帰国してしばらく経ってから、イタリア本部から試験の案内状がメールで送られてきました。
忘れもしない11/14。
その日は柿沼指圧整体院を開業した記念日だったのです。
偶然なのか必然なのか?
僕はそこに意味を感じました。
「これはきっと偶然じゃない」ってね。
もちろん、その日のうちに申込みを済ませましたよ。
でもね、申込みボタンをクリックするのにドキドキしたのをよーく覚えてます(笑)。
最後は目をつぶって「エイッ!」って感じに。
それから試験に向けての準備がはじまりました。
直ぐに須賀さんに連絡して、何をどう勉強したらいいのかアドバイスをもらいました。
筋膜に関しての解剖学や生理学の知識が必要なことと、筋膜マニピュレーションの基礎理論がとっても大事だとのことでした。
なので、過去の研修で使ったテキストを英語で復習しました。

これが非常に良かった!
「気づき」が沢山あったのです。
これまで何度も繰り返してきた手順でも、丁寧に辿っていくと発見があるものなんですね。
いつの間にか自己流になっていた治療の組み立て方や施術を基礎から見直しました。
これは臨床に大いに影響しました。
少しずつ施術の効果が上がり始めたのです。
臨床家にとって基礎に立ち返るってすごーく意義があるんですね。
次に取り組んだのが英語で書かれた論文を読むこと。
これも須賀さんが勧めてくれました。
筋膜マニピュレーションの創始者のルイージ・ステッコ先生には2人のお子さんがいます。
カーラ先生とアントニオ先生、お二人ともドクターで沢山の研究論文を書かれているのです。
もちろん、みんな筋膜に関するものなので、筋膜用語になれるためにも良いと思って読みました。
これがまた良かった!
最初はとっつきにくいし読みにくかったのだけど、だんだん慣れてきて楽しくなってきました。
分からないところは、単語の意味を全部調べて何回も何回も同じところを納得するまで繰り返し読み込みました。
そうしてると、不思議と分かるようになってくるものなんですねー。
なんとか最初の論文を読み終えて、さらにそれを5回位読み返した後に2つ目の論文を読み始めました。
すると、あら不思議!
これが「読める!」んです。
自分でもビックリするくらい読める!
そりゃあ楽しくなりましたよ。
ワクワクしながら立て続けに論文を読みました。
読みにくい部分もあったけど、4本はやっつけました。
これもやっぱり臨床に直結するんですよ。
筋膜の解剖学的な構造や生理学的な働きを深ーく理解すると、施術が変わるんです。
いま自分がアプローチしているのはどの組織なのか、どういった構造をしているのか、どういう状態なのか、それをどう変えたいのか、どうすればそれができるのか。
具体的にイメージがあるとタッチが変わります。
刺激の仕方も効果的になります。
時に繊細に、時に大胆に。
状況にあった施術ができるようになったと感じています。
治療効果も上がったと実感しています。
Manus Sapients Potens Est
A knowledgeable hand is powerful.
これは筋膜マニピュレーションのイタリア本部のHPのトップに掲げられている言葉です。
ラテン語とそれを英訳したもの。
日本語では、「知識豊かな手は強力(有能)である」という意味ですかね。
以前からこの言葉が掲げられているのは知っていましたけど、その意味を深く考えていませんでした。
今回の試験の準備を通して、創始者のルイージ・ステッコ先生がなぜこの言葉にこだわりを持っているのか、初めて分かったような気がします。
A knowledgeable hand is powerful.
handは文字通り「手」であり、技術でしょう。
実践という意味でもあると思います。
知識はそれに磨きをかけ、力を与える。
handだけでは成り立たず、知識を持って初めて力を得る。
知識を持って実践せよ!
そんな風に言っているように感じます。
※下の写真は初めて読んだ英語論文

6/3(日)21時 成田空港出発
6/4(月)8時 ベネチア空港到着
6/5(火)~6/6(木) Master Class for FMID受講
6/8(金)認定セラピスト試験
6/9(土)第10回筋膜マニピュレーション学会
6/10(日)20時 ベネチア空港出発
6/11(月)19時 成田空港到着
以上が今回の旅程でした。
日本から僕を含めて4人でイタリアへ向かいました。
やはり、試験のことが頭にあるので行きの飛行機ではお酒を控えて勉強にあてました。
マスタークラス(レベル3)は筋膜と内臓の関係を扱うので、試験準備も兼ねてレベル3のテキストを復習しました。
英語と日本語のテキストを照らし合わせて語彙の確認をして、内容ももう一度おさらいしました。
不思議とあまり眠くなることもありませんでした。
睡魔に襲われたら、逆らわずに少し眠って、目が覚めたらまた取り組むという繰り返し。
こんなに集中して勉強したのは数十年ぶりでした。(笑)
このおかげでマスタークラスの内容がしっかり理解できました。
前回のイタリア研修(昨年9月)の時は、6割~7割くらいしか分からない印象でしたけど、今回はコースを通して9割がた理解できました。
準備をしっかりした成果だと思います。
自分を褒めてあげました(笑)。
仲間の先生方も試験の準備がしたいので、研修が終わると真っ直ぐホテルへ帰って、持参したカップヌードルと缶詰で夕食を済ませて勉強するというストイックな生活でした。
こういうのも学生みたいで楽しかった。
試験前夜はあまりぐっすり眠れなかったですね。
8時に集合して、30分、30問の筆記試験。
その後、実技試験。
僕らは全員第2グループで10時半からだったと記憶しています。
5つの部屋が用意されていて、持ち時間は一部屋15分。
それぞれの部屋にテーマがあります。
1.解剖学・生理学 カーラ先生
2.筋骨格系の治療 ジョルジュ先生
3.運動検証と仮説 アントニオ先生
4.触診検証と治療デモンストレーション ロレンツォ先生
5.内部機能障害の治療 アンドレア先生
一番難しいと言われているのが、カーラ先生の解剖学・生理学のセクション。
前の晩に試験のイメージングをしました。
その時に考えたのが、ずっと会いたいと思っていたカーラ先生と楽しく筋膜の話ができたらいいなということ。
そして、僕の実技試験はカーラ先生の部屋からスタートでした。
僕としては、イメージ通り。
ラッキーでした!
いざ試験が始まると、緊張はなくて、とても楽しくカーラ先生と話ができました。
しっかり答えられた感触があったので、リラックスできて、その後の試験もそのまま終えることができました。
終わった時に手応えを感じていたので「まあ、大丈夫だろう」とは思ったのですが、最終的に合格の報せをもらうまでは落ち着かなかったですね。
今年は23名が受験して、20名が合格。
日本からチャレンジした4人全員が合格できました。
イタリアまで来た甲斐がありましたね。


無事に試験に合格して、認定セラピストとなることができました。
もちろん、それは大きな成果です。
でも、それ以上に大きな成果が僕にはあると思っています。
それは、試験の準備をする中で自分自身が成長できたこと。
それが一番の成果だと思います。
知識を獲得する度にスキルも上がっていくことを実感できたし、その体験があったからこそルイージ・ステッコ先生の言葉を理解できた気がします。
Manus Sapients Potens Est
A knowledgeable hand is powerful
今回の旅をまとめると、この言葉に尽きます。
これが筋膜マニピュレーション(Fascial Manipulation®)の真髄というか核のようなものだと思います。
だからこそ、ホームページのトップに掲げてあるのでしょう。
それが少し分かったのは、自分の成長の証なのだと思っています。
「この試験が終われば1つの区切り、少しゆっくりしよう」と思っていたのですが、いざ終わってみるとそうでもなかった。
もう既に次の目標に向かって歩み初めている自分がいます。
また新たなチャレンジです。
認定セラピストになったからと言って何かが変わる訳ではありません。
急に技術が上がることもない。
でも、誇りのような感覚は芽生えました。
これまで同様、一人ひとりの患者様と向き合い、結果を積み上げて参ります。
その結果として筋膜マニピュレーション(Fascial Manipulation®)の普及に貢献出来ればこんな幸せなことはありません。
最後にもう一度
Manus Sapients Potens Est
A knowledgeable hand is powerful
やっぱりいい言葉だ。