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筋膜調整セラピストの柿沼秀樹です。
「ジャンパー膝」に関する研究論文を読みました。
タイトルは、"Treating patellar tendinopathy with Fascial maniulation"
日本語に訳すと「筋膜マニピュレーションによる膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の治療」でしょうか。
筋膜へのアプローチがすごーく効くんだなぁという内容だったので、ご紹介しますね。
先ずは、そもそも「ジャンパー膝」とは何ぞや?というところから。
「ジャンパー膝」専門的な言い方をすると「膝蓋腱炎(しつがいけんえん)」
膝蓋骨(しつがいこつ)というのは、膝のお皿のこと。
お皿についている腱が炎症を起こすのを膝蓋腱炎(しつがいけんえん)と呼びます。
症状は、膝のお皿の上下の腱の部分に痛みを感じます。
ジャンプをする時に負担のかかる場所なので、ジャンプを繰り返すスポーツ選手に多く発症します。
例えば、バスケットボール、バレーボール、ビーチバレーなど。
サッカーもボールを蹴ったり、ダッシュを繰り返すので、発症する選手がいます。
基本的には、オーバーユース(使い過ぎ)が原因と考えられています。
なので、休養が必要なのですが練習ができない程でない場合は、痛みを我慢しながら、ごまかしながら競技を続けてしまう選手が多いのではないでしょうか。
仮に、十分に休養をとってもすんなり改善しないケースもあります。
それは何故か?
どうすれば良くなるのか?
その答えもこの論文に示唆されています。
ジャンパー膝(patellar tendinopathy)の症状を抱えている被験者18名の協力である実験が行われています。
内訳は、男性13名、女性5名。
年齢は17歳から40歳。平均年齢は29.9歳。
発症してからの期間は1カ月の方もいれば24カ月という方も2名いました。
ほとんどの方がバスケットボールやバレーボール、サッカーなどのスポーツ歴があります。
中にはスポーツの経験がない方も4名含まれていました。
急性の関節炎(浮腫・熱感・発赤)、MRI・レントゲン検査で半月板損傷や変形性膝関節症の所見があるケースは被験者から除外されています。
実験の方法は、ジャンパー膝(膝蓋腱炎)に最も関与していると考えられるポイント(an-ge)の筋膜を施術して、施術前・施術後・一か月後の痛みを比較するといもの。
痛みの評価には、VASスケールという基準を使います。
被験者に1から10の数字で痛みの程度を評価してもらいます。
「痛みがないのを0、耐えられない痛みを10とすると、この痛みはいくつ位ですか?」というように。
筋膜マニピュレーションでは一つの分節について6方向(前方・後方、内方・外方、内旋・外旋)の動きを評価します。
今回はこれに加えて2つの特別な検査をして、痛みを評価しています。
一つは、30㎝の台から痛む方の足で降りて体重を支えるもの。
もう一つは、深くしゃがみこんだ状態からジャンプするもの。
施術するポイントは膝の前方への動きに関与する筋膜、「前方ー膝(an-ge)」1か所のみ。(大腿前面のほぼ中央で大腿直筋と外側広筋の間、その奥の中間広筋の筋外膜)
1人のセラピストが18人全員を施術します。
実験の結果をグラフにまとめたのがこちらです。
グラフの縦軸は痛みの程度(VASスケール)を表しています。
横軸の1~18の数字は18人の被験者を表していて、青・赤・黄色はそれぞれ施術前・施術後・1か月後の痛みです。
整理すると、18例全てで施術前より施術後に痛みが減っていました。
さらに、
・施術直後に痛みが全く無くなり、1か月後も痛みが無かった。2例(7,10)
・施術後に痛みがかなり減って、1か月後には痛みがなくなっていた。4例(3,4,6,18)
・施術後に痛みが減り、1か月後にさらに痛みが減っていた。9例(1,2,5,8,11,12,13,14,16)
・施術後に痛みが減ったが、1か月後に施術前程ではないが、痛みが戻っていた。3例(9,15,17)
これらの結果から、ジャンパー膝、膝蓋腱炎(patellar tendinopathy)には筋膜マニピュレーションがすごーく有効なことが分かります。
1か所への施術だけで、全員にある程度の効果が確認されたわけですから。
今回は実験なので、敢えて1か所のみの施術でしたが、本来であればあと数か所のポイントをリリースすることになります。
そこまでの治療をすれば、1か月後に痛みが少し残っていた9例(1,2,5,8,11,12,13,14,16)も痛みがなくなっていたかもしれません。
1か月後に痛みが少し戻ってきた3例(9,15,17)は、他の被験者よりも複雑な症例だったそうです。
彼らはジャンパー膝だけでなく、腰痛、股関節痛、アキレス腱炎や踵(かかと)の痛みを抱えていました。
こういった場合は、継続的でより全身的な治療が必要になるでしょう。
さて、冒頭で「ジャンパー膝(patellar tendinopathy)が休んでも治らないのはなぜか?」という問いの答えが論文にあるとお伝えしましたね。
そのことについて、説明しましょう。
筋膜は使い過ぎたりすると、よじれて固くなってしまいます。
筋膜のよじれは、筋膜の線維(コラーゲン線維とエラスチン線維)が寄り集まってしまった状態です。
このよじれがあると、筋肉は正常に縮んだり伸びたりできなくなります。
筋肉の動きが不自然になってしまうのです。
私たちが歩いたり、走ったり、ジャンプしたりする時、たくさんの筋肉たちが協力して働いています。
筋膜のよじれはその協調性を乱してしまうのです。
その犠牲になるのが関節です。
筋肉たちの連動性が損なわれると、関節に負担がかかります。
関節の自然な曲げ伸ばしができなくなって、どこかにストレスが生まれてしまいます。
例えば、ジャンパー膝では前側にストレスがかかってお皿の靭帯(膝蓋靭帯)に炎症が起きるように。
炎症反応は、消炎鎮痛剤を使ったり、安静にすることで収まりますが、筋膜のよじれは解決しません。
よじれがある限り不自然な関節の動きは改善しないのです。
だから、休んでいるのに良くならないのです。
長引く痛みには筋膜のよじれが関係しているかもしれません。
早く競技に復帰したい!
痛みなく競技に打ち込みたい!
という方は、筋膜へのアプローチを試してみてはいかがでしょうか?
柿沼指圧整体院では、筋膜マニピュレーションという筋膜のバランスを整える施術をしています。
こちらは筋膜マニピュレーションの受けられる病院リストです。
もし、身の回りにお悩みの方がいらしたら、筋膜マニピュレーションという選択肢もあることをお伝えください。
ひとりでも多くの方がお悩みから解放されることを祈っています。
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