実家には灯油のストーブがあった。

長年使ってない、倉庫にしまって置いたものを慌てて出したらしい。

部屋が灯油くさく、ススも出てたけど暖かいことに心底ほっとした。

とりあえず揺れてる中、近所のコンビニへ。何かしら当分の食べ物を買わなければ。

考えることはみんな同じで、コンビニには長蛇の列。

でも、ここでまた驚く。

レジが止まっているので、店員さんが慣れない手付きで電卓で計算していた。
当然時間がかかってしまうんだけど、誰一人文句を言わない。

「大変だね」「店が開いてるだけで助かるよ」
「ゆっくり計算していいからね」

店員さんも「計算まちがってたらごめんなさい」としきりに頭を下げる。

とりあえず人数分のカップラーメンとお菓子を購入。(この時点でおにぎり、パンは売り切れていた)
これもまた、買い占めするような不届きものはいない。

水道が生きていて、灯油ストーブもあるからお湯を沸かせる。

カップラーメンを食べれる事に涙が出そうになる。

日が沈む頃、やっと旦那と連絡がとれた。

実家にいる事を伝えると、旦那もすぐ車で来てくれた。

「お前、よく運転してこれたな」

日本じゃなきゃ、絶対に事故ってたよね。

小さい揺れが断続的に。

頻繁に大きい揺れがひっきりなしに。

それでも泣く事なく一晩過ごせた。

実家の家族と、旦那と子供がいたから。

あと、ストーブとお湯とお水があったから。