「キャー!」
高校生の娘が叫んでいます。
「壁に何かいる」
娘は虫が異常なほど苦手です。
「またか…」
行ってみると、長いしっぽまで合わせても5cmくらいのヤモリが
壁の上の方を歩いていました。
「大丈夫だよ、何もしないから。ヤモリが家にいるといいみたい
だよ。」
私が手をやいている蚊を食べてくれるそうです。
いつの間にかいなくなって後日また別の場所に現れます。
娘も可愛いと思ったらしく写真を撮っていました。
娘「踏みつぶされないかな~」
私「大丈夫だよ、もたもた踏みつぶされるようなところにいない
よ」
とは言え、あんなに小さな生き物、簡単に踏みつぶしてしまいま
す。
外に出したほうがいいのか?連日の暑さ、その方が生きていけな
いのか…
などと考えていました。
ある日、うつ伏せで布団に寝転んで本を読んでいました。ひざの
後ろに何か感じたので、何だと思って手を伸ばすと何もありませ
んでした。気のせいか?「歳のせいかな…」
ところが再び、膝の後ろがくすぐったく感じ、今度は急いで手を
伸ばすと、何かが手に触れました。そして布団の上に落ちました。
ヤモでした(うちではそう呼びます)。
素早く、おもしろい動きで壁を登ってゆきました。
「こんな所に下りてくるんじゃ寝返り打ったらつぶしちゃうな…」
と心配になります。
一週間くらいでしょうか見かけませんでした。
娘「外に出たのかな~」
私「自分から外に出たのならそれが一番いいな」
娘「うん」
家内「あっ!」
玄関の真ん中でヤモが死んでいました。
娘は泣いて数日元気がありませんでした。私もしばらくショッ
クでした。こんな小さな動物に死なれてこれほどショックを受け
たことはありません。
前日夜のことです。暗い玄関で靴やサンダルが乱れていたので
片づけたり並び変えたのを思い出しました。その時、靴を載せて
しまったのかもしれません。
一同、一か月くらいの間ショックから立ち直れませんでした。
「ああすれば良かった!」「こうしてやればよかった!」
ヤモが成仏してくれることを祈ります。