厚生年金保険に加入する場合

 今度は、厚生年金保険にも加入している第2号被保険者の場合です。第2号被保険者は、厚生年金保険に加えて国民年金にも加入していますが、支払う保険料は厚生年金保険料のみで、受け取る給付額は基礎年金+厚生年金となります。
 ここでは、第91回のコラムで例示した平均月収30万円で40年間厚生年金保険に加入する場合で考えます。保険料は、月収に対して会社と本人が半分ずつ合計18.3%負担するので本人の分は9.15%ということになります。40年間の保険料としては単純計算では、

30万(円/ケ月)×9.15%×12(ケ月/年)×40(年)=約1,300万円

となります。
 一方で、65歳から90歳までの25年間の給付額を単純計算すると、基礎年金と厚生年金の合算で

132,022(円/ケ月)×12(ケ月/年)×25年=約4,000万円

ですので、支払った保険料を大きく上回る計算になります。

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だそうですが

「会社と本人が半分ずつ合計18.3%負担するので本人の分は9.15%」であったとしても、会社へ労働力を提供して会社負担分の9.15%を稼いでるのは労働者の労働なので、労働者が実質支払ってるのは18.3%です(会社が社会保険料9.15%を払わずに済むなら、その9.15%は労働者に帰属するはずの金です)

マイクロ法人(社長兼社員1人法人)で考えれば、自分で働いて稼いだ金を法人に入れて会社分9.15%を払って、自分に支払う給与から9.15%を払うので、結局負担は18.3%です

 


つまり会社分+本人分の実質負担額は30万(円/ケ月)×18.3%×12(ケ月/年)×40(年)=約2,600万円です

また「65歳から90歳までの25年間の給付額」で計算しれますが、厚生労働省の「簡易生命表(令和4年)」によると、2022(令和4)年の日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳ですし、定年まで30万(円/ケ月)を40(年)稼ぐのは男性と考えると、65歳から81歳までの16年の給付額を単純計算すると約4,000万円×16年/25年=約2560万円となって

負担率と受給年数のごまかしを取っ払えば、年金受給額:2560万円-年金支払い額:2,600万円=-40万円で、男性平均寿命だと支払った保険料をちょうど下回る計算になります

「厚生年金保険に加入する場合」の前に「国民年金のみに加入する場合」の試算で支払800万円に対して受け取り25年で2000万円とありますが、これも男性平均寿命81歳までの受け取り16年で計算すると2000×16年/25年=1280万円になりますが、超過収益の480万円は厚生・共済年金加入者が実質払い損になることと消費税とGPIFの運用益で負担しています

「払い損」だからと言って「払わない」なんて選択は会社員にはできないし、社会保険料は社会貢献(再配分)と割り切って払い続けるしかないんですけどね(;'∀')