厭と頭を縦に振る…(目は心の鏡 後日談) | シンイetc. 〜かけらを探して〜

シンイetc. 〜かけらを探して〜

ドラマシーンの間に散りばめられた欠片探しとその後の勝手な物語とか、四方山なおしゃべりなど

 

 

拙い!

もの凄く拙い自体を、某、招いてしまいました  by 鬼剣


今にも扉をぶち破って突入してきそうなチェ尚宮とチュンソクに、鬼剣はビビリまくりだ。

いくら結界を張ったとはいえ、扉が破られてしまえばそれまでである。

はたしてこの状況で何をどうすべきなのか…鬼剣は焦りに焦った。

 

テジャン!!!

気付いてください

テージャーン〜〜〜

 

 

◆◆◆

 

鬼剣がいたずらに張り巡らした結界のため、外の騒ぎも物音も、気配一つ伝わってきていない。肩を貸しながら、先ほどから想うのはウンスのことばかりだ。

 

かけらほど残っていた躊躇いを、キレイさっぱり捨て去って交わした口づけで、チェ・ヨンはっきりと知ってしまった。ユ・ウンスという女人(ひと)に、どれほど強く惹かれているのかを。

 

赤く艶やかな髪も、息をする度に上下する胸元も、そして口づけの所為でいつもよりふっくらとした唇も、そのすべてから、もはや目が離せない。

 

熱に浮かされた餓鬼か?

 

だから、致し方なくその目を閉じてみる。

すると、今度は…

 

 

 

 

昔、屋敷の庭から聞こえてきた懐かしい花の香。

目をつむったことで、今度は嗅覚が研ぎ澄まされ…心くすぐるような甘い香りが胸を締め付けてくる。

気持ちを押さえ込むことは、チェ・ヨンにとって容易ではなかった。
 

どうしちまった、俺

 

顔を見ない日は落ち着かず、声が聞きたくて堪らなくなる。

笑っている顔を目にすれば、その笑顔が忘れられなくなる。

 

今更だ

 

その女人(ひと)が気になって仕方がないのは、無理矢理攫ってきたから。

心がどうにも疼くのは、武士の約束を交わしたから。

 

一生を掛けても償えぬ

 

そう自ら言い聞かせてきたのに、笑顔ひとつで吹き飛んでしまった。

頭ではわかっていたはずなのに、理が情にあっさりと押しやられたのだ。

とうとう終いには、いい加減に認めちまえ、と自らの声まで聞こえてくる始末。

 

「んんん…」

 

ウンスが不意に声を漏らながら身体ごともたれ掛かってきて、柔らかな膨らみを腕に感じ…

不意打を喰らった。

 

自制心を無くす前に、とその柔らかな身体を離そうとして、膝を立て直したまさにその時…

鬼剣がキーンと音を立てた。

 

 

◆◆◆

 

「鍵がかかってないというのに、何故開かない?」

「はっ。チェ尚宮、これはもしや、結界というやつではないかと…」

 

まじめくさった顔でそう口にするチュンソクに、僧や道士ならいざ知らず…とチェ尚宮は取り合おうとしない。

 

「腹に力を込めて、ほら今一度だ」

 

そうゲキが飛び、プジャンは扉に手をかけると思い切り引っ張っぱった。

すると、ものすごい勢いでそれが開き…チュンソクの身体が、はじけ飛んでいった。

 

 

 

「…ち、チェ尚宮」

 

ウダルチ プジャンが、地面に打ち付けた腰をさすりさすり声をかけてくる。

 

「チェ、尚宮?」

 

仁王立ちした尚宮に立ちふさがれて、部屋の様子が伺い知れない。

 

「あのう…チェ尚宮」

 

「プジャン…すまぬが、一刻の間そこで後ろを向いたまま、人払いを頼む」

 

 

◆◆◆

 

部屋に入ってチェ尚宮が目にしたのは…

有られも無い格好をした医仙と、彼女をそうさせた(と思われる)チェ・ヨンの姿だ。

甥が薄い布を手に、ウンスの胸元を何とか隠そうと四苦八苦している。

 

「…お前は、いったい何をやらかした」

 

詰問が口をついて出るのと同時に、年甲斐もなく頰が熱くなる。

 

いつの日かそうなって欲しい…

叔母として、何度そう願ったことだろう。

その光景が、今目の前にあるというのに、うまく言葉にすることが何故か出来ない。

 

「宴が…

あれだ、中止になったから、よかったよ…」

 

「コモ、誤解なんだ」

「五回も…その、したのか」

「あのう…」

 

ウンスがくしゃくしゃと巻き付けたサリーから、赤い顔を覗かせている。

 

「医仙…」

「あのですね、叔母さま、実はわたしにも何が何だか…

気がついたら、こんな格好になっちゃってて…」

 

チェ尚宮はウンスの裸の肩にそっと手を置くと優しく笑いかけ、一方の甥には、壊れてしまった扉をプジャンと共に直すよう、ぞんざいに言いつける。

…その間に、医仙の身なりを整えてやるつもりだ。

 

「医仙、聞いてくれますか。彼奴は欠点も多い」

「はい」

 

早速ウンスの腰にサリーをひと巻きすると、長く残した布を肩から掛けてやる。

 

「誰に似たのか…短気ですぐにカッとなる。口も悪いし上手なことひとつ言えぬ質です」

「ああ、わかります。けど叔母さま、わたし口げんかならちょっと自信があるの」

 

確かに、そうだ

天から来たこの方は、真っ直ぐな瞳をして、何人にも臆すること無くものを言う

 

胸元でしっかりと布を止め、ウンスへの着付けが難なく終わった。

その出来映えを確かめてから、ゆっくりと椅子に座らせると…

 

「それでも、貴女を思う気持ちは誰よりも強い。だから、あの子を信じてやって欲しいのです」

「叔母さま、信じてますわたし、あの男(ひと)のこと」(今は…自分の気持ちも)

「医仙、なら、彼奴と、ヨンとこの地で、添い遂げてはくれませんか?」

 

ちょっと…いきなり…

それも叔母さまからのプロポーズって…

 

この時代のしきたりを、ウンスは何一つ知らない。

だが、チェ尚宮になら任せてもいい…素直にそう思う。

チェ・ヨンに言いたいことは山のようにあるが、それは追々解決してゆけばいい。

 

「叔母さま。

わたしがいた世界では、そういう申込は本人からって相場が決まってって…

だから…」

 

口ではそう言いながらも、ウンスは白い歯を見せ、嬉しそうに首を縦に振っていた。

 

 

◆◆◆

 

某、精一杯でした

ある一点に、渾身の力を込めたのです

 

それはどこかって?

テジャンには、秘密にしておいてくださるという固い約束を…

 

もったいぶらずに早く言え?

 

実は、既成事実もどき作戦で…医仙さまの着物を、一気に、ズルッと、下げてしまったという 

ε=ε=ε= ヾ(*~▽~)ノ(*ノωノ) イヤンヾ(▼ヘ▼;) by 鬼剣

 

 

 

終わり

 

 

 

オマケ

 

「その、一緒に…」

「んんん? よく聞こえないんですけど」

「ですから、俺と…」

「俺と?」

 

「止めです、止め。許されるわけがない」

「そう…なら、いいわよそれでも」

 

くそっ

「イムジャっ 頼むから俺から逃げてくれ」

「イヤよ。決めたんだもの。傍にいるわあなたの。

ね、だからちゃんと、最初からもう一回!」

「…俺と一緒に」

「一緒に?」

 

ふたりは婚姻の誓いを終えたばかり。

チェ家の寝屋では焦れったいくらいの言い合いが続いたとか、続くはずがなかったとか…

 

 

どうやらお後がよろしいようで…

 

 

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