翌日、珍しくホテルの朝食を摂った。
バイキング形式だったので、昼食のことも考えてちょっと控え目に食べた。
朝食に張り切って食べると、昼食まで消化しきれずに苦しむのがわかっている。
ほどほどにしとくのが良い。
さて、ホテルを出て真っ先に龍飛崎に向かった。
下北半島で恐山に行ってみようか、という提案もあったのだが
彼が『うわっ、いま鳥肌たったからやめとこ!こーゆーときは本能に従ったほうがいい。おまえも病気だし…いま変なの拾って悪化したら嫌だしな』
というわけで、龍飛崎に決まったのだった。
わりとこーゆーときのカンがビンビンに冴える人なので、素直に従ったほうがほんとに良かったりする。
んじゃ、龍飛崎行きますか!
昨日から相変わらず綺麗な藤の花が見えて幸せ。
龍飛崎は一年中冷涼で風が強い。
この日も曇っていたので、着いたときには雲の中を歩いているみたいだった。
実際、雲の中だった。
か、風がつおいっ…。
結んだ髪が後れ毛だらけでボサボサになり、まるでおしんみたいになってしまった。
だいごんめしが食いてぇ…。
なんちゃって…。
灯台!
雲より上にいるんだなぁ。
風が強くて寒いので、てっぺんにあった休憩所でお昼を食べようと中に入ると
『今日はラーメンしかない』
と食堂のおばちゃんが言っている。
や、やめよっか。
で、岬を降りる前に休憩所の奥にもなにかあるようなので見に行った。
そしたらなんと吉田松陰の碑があるではないかー!
彼『…なんて書いてあるか見えない…。』
う、うん…。
あの時代にこのあたりまで来たんだねー!松陰先生。
すごいな…。
さらに先に行くと遊歩道があるらしい。
えっと…。
行けない(泣)
もしもこの草ボーボー遊歩道を掻き分けながら進むと…
ここまでいけるらしい。
む、むごい…。
ここに来るまで、橋を渡らなければいけないのだが
ここがまた風強くて、ちょっとしたスリルが味わえます。
ドラゴンボールで悟空が死んだときに出てくる龍の道みたい。
プチ龍の道。
さて、このへんでちょっと下に降りますか。
下に降りてちょっと拓けた広いところに、『津軽海峡冬景色』の歌碑発見!
この真ん中にある赤いボタンを押すと歌が流れるんだね!
と、何気なくポン!と押したら
すごい音量の石川さゆりで、ふたりしてそれはそれはびっくりした。
まさかあんなに大きいなんて知らなかったの…。
音につられて他の観光客も集まってきた。
集客力抜群だ。
みんななんとなく一緒に口ずさんでいる。
彼も私も口ずさむ。
歌詞をみなくても口ずさめるということは、素晴らしい。
そうしたら、海の向こうの雲が少し切れてきた。
雲と海の間から、北海道が見えるーっ!
わかるかな…。
彼が横で『北海道はでっかいどー!』と言っている。
北海道も行きたい!
ぼくなつ3の舞台が北海道だから、ボクもいつか夏に行きたい!
るーるるるるる!
やっぱ寒くなってきたので、ここにある食堂で昼食にした。
彼は岩のりラーメン、
私はふのりラーメン。
若生ワカメのオニギリとやらも食べた。
高菜おにぎりのワカメ版みたいなものだ。
ラーメンは体もあったまるし、ふのりたっぷりで美味しかったー!
お昼を食べたあとは、郵便局の出張売店(車)で記念切手を購入。
龍飛崎…一生に1度来れるかもわからない場所。
来れてよかったとしみじみ思った。
岬を降りたときにちょっと道を間違えてしまい、行き止まりになったところでこんな看板発見。
文字の下にはしっかりミッキーとミニーが描かれ、著作権もへったくれもない。
我々は軽く脱力した。
もと来た道を戻って、山道をひたすらグネグネ進む。
そこにはなんと
猿!!
猿がいっぱいおる!!
なにかの茎を一生懸命食べていた。
カワエエ…。
新鮮すぎる…。
所々に『熊出没注意』の看板も見たし
途中、何か大きい動物が藪の中に入っていくところもみた。
灰色のお尻しか見えなかったが、タヌキよりは大きい感じがした。
青森…あなどれない!
龍飛崎を境に太平洋から日本海にうつったあたりで、日差しが出てきた。
気温もいくぶんか暖かい。
海沿いを走る途中、滝をみつけた。
車を降りて、少し目を離したスキに…
ぎゃー!!
なにしてるのーっっ!
やめてーっ!!
私の声など届かない。
観光客らしきおばちゃんも、『あわわ』といった顔をしている。
彼は上まで登りきり、私に向かって
彼『おーいっ!ここに洞窟があるよーっ!登っておいでー!』
ま、まじすか。
ええ、登りましたとも…。
行きはよいよい帰りは恐い…!!
彼に助けてもらいながら、崖を降りた。
ケガがなくてなによりでゲス。
このあと、あの有名な十三湖を通る。
『津軽平野』の♪十三~湊は~♪の一節である場所がまさにそこだと、彼に教わって初めて知った。
十三湖はやたらでかくて、湖水は赤茶色。
湖というより殆ど海に面しているので、なんだか南米アマゾンみたいな雰囲気。
日本にこんな場所があるんだな…。
青森、すごいよ!
あそこは神秘が残る地だ!
どうやら彼は、精密検査のせいで私が落ち込んでいると思ったようで
気晴らしにこの旅に連れていってくれたようだ。
優しいなぁ…。
それがわかったとき、旅行はもちろん楽しいし癒されたけど、一番は彼の優しさに癒されたような気がする。
途中、こぎん刺し(本場!!)の小物などを買ったりリンゴ畑を眺めながら、帰路についた。
今度、TSUTAYAで『八甲田山』を借りてみよう。