3月16日の記事3月19日の記事 でもお伝えしたように、コンタクトレンズなどのデータをご自身で知っておくのはとても良いことです。

何度かお伝えしましたが、大切なのでもう一度!


コンタクトや薬などのデータを、とにかく全て撮影して残そう!


そこで、今回はハードコンタクトについて解説させていただきます。


ところで、ハードコンタクトは眼鏡やソフトコンタクトに比べて、近視の進行を抑制する効果があるのではないか?とも言われていますので、コンタクトレンズは出来るだけハードレンズを選びたいところです。


参照記事はこちら


では、ハードコンタクトが入っているケースの画像を!

これはシード 社の『シードUV-1 』です。 (↓↓↓)


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基本的な見方はディスポ(使い捨てコンタクト)編 と同じですので、ここではハードコンタクトレンズならではの特徴を説明致します。


まず、『BC 7.95』とありますが、ハードの場合は殆どの製品が0.05ステップで用意されています(たまに0.10ステップの製品もあります)。

つまり、この前後のデータは、『BC 7.90』、『BC8.00』になります。

ソフトコンタクトは柔らかいので、Tシャツのサイズみたいに多少アバウトでも、レンズに柔軟性があるため眼の形に合わせてくれますが、ハードコンタクトは硬いために、この形合わせが重要になります。

いわゆる靴のサイズを合わせるようなものです。


同じカーブでも製品によってデザインが異なるため、以前と同じレンズのデータ通りでも、うまくいかないこともあります。

靴だって同じサイズでも製品によって履き心地が違いますよね?

ソフトコンタクトと同様に眼のカーブに対してベースカーブが小さいと、眼にレンズが張り付くような締め付けを感じます。

逆にベースカーブが大きいと、目を動かすたびにレンズがずれるような感覚があります。

そして、その自覚症状がハードの方が顕著な場合が多いです。

だから、ソフトや使い捨てコンタクト(使い捨ては全てソフト)は友達と貸し借りしたりする方もいますが(止めて下さいね!)、ハードの場合は違和感が強すぎるため、やる方はほとんどいません。


次に『P』ですが、これはコンタクトの度数です。

度数の意味合いはソフトや眼鏡と同じですが、ハードコンタクトは上述した『BC』の数値が大きくなると、ゆるくなる分、涙が余分にレンズの下に潜るため、度数が弱くなります。

ゆるいということは、レンズと眼(角膜部分)にはさまれた隙間が大きくなるわけです(隙間には涙が満たされます)。

『BC』の数値が小さくなると、きつくなる分、レンズの下の涙が減るため、度数が強くなります。

きついということは、レンズと眼(角膜部分)にはさまれた隙間が小さくなるわけです(隙間には涙が満たされます)。


一例として、

『BC 795 P -3.50』は、

『BC 800 P -3.25』とだいだい同じとして換算されます。


つまり、涙をもレンズとしてしまうのが特徴と言えます。

だから、『メガネと同じ度数でコンタクトを作成して下さい!』とか『ソフトレンズと同じ度数で・・・』

そんな要望をお持ちの方もいらっしゃいますが、同じにはならないことをご理解下さい。

ただし、近い数値にはなることが多いですし、同じ場合は偶然だと思って下さい。



次に『DIA 8.8』は直径8.8mmという意味で、ハードコンタクトは8.8mmが標準になっている製品が多いです。

ただ、標準サイズが9.0mmや9.3mmの製品もありますが、眼は角膜のカーブだけでなく、角膜自体の大きさも個人差があるので、それに合わせて選ぶことになります。

ソフトコンタクトが14.0mm前後ですから、かなり小さいことが分かりますね?


さらに、ハードコンタクトの素晴らしいところは、このサイズの変更が出来ることです。

まさしく、オーダーメイドですね。

大抵の場合は標準サイズで大丈夫なのですが、サイズ変更しないと合わない方もいます。

ただ標準サイズはコンタクト店やメーカーにストックがあるのですが、標準以外のサイズはストックがないことがほとんどなので、受注生産のため納期が何日か余分にかかります。


実用例として、充血しやすい方は白眼(結膜)を刺激しにくくするために、サイズを小さくすることが多いです。

暗いところで見づらい方などはサイズを大きくして視界を広げる効果を狙います。

(暗所だと瞳孔が広がるため、それに合わせてレンズも大きくしないと見づらいのです。)

眼鏡のフレームでも大きい方が視界が広がるわけですが、それと同じですね。


最後に『T』はレンズの中心部の厚みです。

0.16mmとなっています。

ほとんどの場合ハードコンタクトは、ソフトコンタクトよりも厚みがあります。

そして、近視の度数が強くなると、中心部が薄くなり周辺部が厚くなりますが、これはソフトやメガネも同様です。


補足として『EXP 2013.11』とありますが、ハードコンタクトや使い捨て以外のソフトコンタクトの場合、『2013年11月までに、製品を開封して使って下さい。』という意味です。

理由としては、容器の中の保存液が劣化するためです。

それまでに、開封して使えば問題ないです。

ただし、開封したら無菌状態でなくなるので、もう一度保存液を足して保存しても新品レンズとはなりませんが、コンタクトの寿命までは使えます。

寿命はハードで2~3年、ソフトで1~1.5年と言われています。


ただ、そうなるとメーカーも保存液が期限切れになると泣くことになるため、『ドライ保存』と言って、乾燥状態(保存液に入っていない)で製品化しているレンズ(ハードのみ、ソフトは不可)もあります。

こうすると半永久的に保存出来ます。

詳しくは別の機会にお話しします。

下の画像には使用期限の表記がありませんよね?

これがドライ保存のハードレンズのケースです。 (↓↓↓)


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ところで、ハードコンタクトがソフトコンタクトよりも優れている理由としては、個人差もありますが、見え方の質がとにかく良いこと。

ピントの合い具合が同じでも、画素数の高いスペックのように良質な画像だと思って下さい。

それと乱視と言ってモノが2重に見える症状があるのですが、眼鏡やソフトコンタクトに比べてハードは乱視の矯正にも優れています。

そして、通気性がソフトよりも断然良かったり、汚れにも強いため、コンタクトレンズ作成時には、眼への負担の少なさから、ソフトよりハードを薦められた方も多いのではないでしょうか?


コンタクト作成は特に理由がない限り、ハードコンタクトをお薦めします。


そしてここがポイントなのですが、ハードコンタクトの場合はレンズが封入されているケースがありますが(一番上の画像のことです)、購入の際に、このケースを貰えないことがあります


お店で『コンタクトをつけていきますか?』と言われて、装用するのはいいのですが、ほとんどの場合は無断で、このケースを渡されません

ちなみに『着けていかずに持ち帰ります』と答えると、ケースごと未開封で渡されます。


何かおかしいと思いませんか?


通常のショッピングで商品を購入の際は、外箱も含めた完全な状態で渡されますよね?

確かにコンタクトは開封して中身だけを着けるとは言え、スタッフが無断でレンズケースを回収して、その際にそれを断る一言もない。


『レンズケース(空ですが・・・)を、お持ち帰りになりますか?』


この一言はあって然るべきでしょう・・・通常は。


これは、どうしてかと言うと、この業界の慣習としか言いようがありません。

現代は医療機関などでも、カルテの開示やインフォームドコンセントが当たり前なのに、コンタクトレンズに関しては業界の体制が古いとしか言いようがありません。

ぶっちゃけ閉鎖的なのです。

先輩スタッフにそう教わったので、何も疑わずにそうしている。

『当たり前のことを疑う!』ことは大切ですよね。


なので、このような場合には『持ちかえります!』と言いきってしまうか、どうしても着けていくしかない場合は、


『空ケースを私に下さい。データを自分で控えているので、数字や製品が書いてあるラベルは剥がさない状態で下さい。』


とハッキリ言い切ってしまいましょう。


実際に私の知人などは、作成前にこの要望を出しています。
このときの対応なども、お店選びの基準にしているそうです。


話を戻しますと、見事ケースをゲットしたら、やはり写メに撮ります。

繰り返しになりますがハードコンタクトも、カーブや度数、サイズなどのデータが同じでも、製品が違うと、曇るとか、見え方や装用感が異なることも多々あります。

レンズによっては、どうあがいても見え方が不十分なんだけど、製品やメーカーを変えると見え方が良好なんてことは、よくあります。

その他の曇りや装用感なんかも同様です。


これは微妙なデザインや素材の違いから生じるわけですが、この違いがあるために、その人に合ったレンズ選びも可能なのです。

特に日本は世界一ハードコンタクトが発達しているため、海外出張されている方も、帰国した際にハードを作ってまた旅立つなんてこともあるようです。


余談ですが、円錐角膜や強度の乱視など、ハードコンタクトでないと矯正が難しい方もいらっしゃいます。

度合いにもよりますが、眼鏡やソフトコンタクトではしっかりと合わせることが難しい方達です。


そういう方はコンタクトの施設を変えずに、同じところでトライ&エラーを繰り返して、自分に合ったレンズを作っているわけですが、今回の震災のように被災者の方のデータが不明になったりすると(施設が被災地にあるので)、新しい施設でまた最初からやり直しです。

薬の相性なども同様ですよね?


要は、データが分かると再現性が高まる。

ご自身がよく分からなくてもいいです。

とにかくデータを手元に残すことです。

そうすると無駄な検査も省くことが出来ます。

これは、コンタクト・眼鏡や薬品にとどまらず、化粧品やサプリメントなどあらゆるジャンルに応用出来ます。


『いや、作ったところにデータが残っているから』


などと面倒くさがると損するのは自分です。

特にコンタクトの左右が入れかわっていても、データがあれば近所の眼鏡店でも調べることは出来ますからね。

以前、利用していたお店が閉店していたなんてこともあります。


ハード編はひとまず以上にしたいと思いますが、また応用編をアップする予定なので、読んでいただければ幸いです。


追記1:日本コンタクトレンズ学会 から被災者でコンタクト使用者への使い方(3月21日付)→こちら

追記2:被災地(宮城県)の眼科診療状況(3月22日付)→こちら




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