OLのさやかが飲み会の帰り道、イケメン男子のイツキを拾います。
「咬みません、躾のできた良い子です。」が殺し文句。

躾の行き届いたイツキは、料理も上手。
自炊の苦手なさやかはイツキをひきとめます。

二人の同居生活が始まります。

イツキは自分のことをほとんど話しません。
あやういバランスで成り立つ関係に、なんだかどきどききゅんきゅんしてしまう。
じれったくもあり、くずぐったくもあり。。。

イツキは女殺しだよー。
こんな男の人がいたら恋してしまうー。

山菜毎にエピソードが描かれています。
美味しそうなレシピも満載。
どこかにイツキ落ちてないかなー?

太鼓仲間

植物図鑑
裏表紙にはエッシャーのだまし絵の挿絵が描かれています。
本の構成もエッシャーのだまし絵のようです。
ぐるぐる回るストーリー。
終わりまで読んだときに、ではもう一度頭から。
という感じになります。

最後まで読んでやっとパズルの枠組みがいっきにはまるような小説。
B章での出来事はD章につながり、Z章の出来事がA章につながっていく。
そうすると物語が始まったのはどこからだ??と探してみたくなります。

伊坂さんの別作品とのつながりもあるので、それをみつけるのもまた楽しい。
色々な楽しみ方ができます。

太鼓仲間

ラッシュライフ (新潮文庫)
優しいびんぼうなおばあさんがあたまを使って日々を過ごします。

ねずみ捕りで捕まえたものの、そのつぶらな瞳に負けてとうもろこしをやるおばあさん。
家計が破綻しないように頭を使います。

羽布団を買う代わりにがちょうを飼うおばあさん。
羽をむしったあとのがちょうが寒くないように頭を使います。

「やきたてのパンのようにほかほかのおばあさん」
という表現がありますが、なんとも優しい雰囲気がして好きです。

一話ごとにおばあさんは「私はなんてあたまがよいんだろう」と自分を褒めたたえます。
そのほめっぷりが気持ち良い。
ポジティブおばぁちゃん。

読むとにんまりしてしまう児童書。

太鼓仲間

あたまをつかった小さなおばあさん (世界傑作童話シリーズ)
手紙の送り主は主人公の兄である。
主人公の兄は弟の大学進学のための資金を手入れるために
重大な過ちを犯してしまう。
そのために兄は弟へ向けて長い期間に渡り手紙を書くこととなるのだ。

弟の生活を中心に描かれるが兄の心情は伝わってくる。
弟のためを思ってしたはずの兄の行動は、弟の人生を狂わせてしまう。
弟の進みたい道は兄のためにことごとく閉ざされてしまう。
そんな弟はある決断をする。


犯罪者の家族は世間から差別を受けるべきだ。という社長の台詞は印象的だ。
家族の受ける差別も含めて、犯罪者の罰なのだ。と。

正々堂々と生きられる、ということは幸せなことのなのだろう。

考えさせられる一冊。

太鼓仲間

手紙 (文春文庫)
舞台は東京駅。

人生は様々だ。
保険会社の社員は決済に追われている。
保険会社協賛のミュージカルのオーディションでは少女達とその母親がしのぎを削っている。
俳句のオフ会の待ち合わせ場所を探しているおじさまがいる。
ミステリーサークルの幹部を決める試験が行われる。
女と別れたい男がいる。

そして爆弾テロリストがいる。


虎屋の袋が入れ代わる。
そこに入っているのは。。。
それぞれの人生も山あり谷あり。

東京駅での大きな事件にそれぞれが巻き込まれて行く。

物語が一気にまとまっていき、ドキドキします。

女性陣が素敵です。

太鼓仲間

ドミノ (角川文庫)
この作家のテーマはなんでしょう。
という問いに明確に答えられる自信があります。
そんなことを言っては生意気でしょうか。

「1Q84」の下巻にあたるこの本では、青豆と天吾が
互いに強く引かれ合い、接近していく様子にドキドキします。

上巻と比べると、世界はより不可思議に、そして薄気味悪くなっていきます。

一度もみたことのないものだけど、どうしても不気味にしか想像できない。

この本を料理に例えると上巻はハンバーグ。
下巻はホタルイカの沖漬けのような味わいです。

太鼓仲間

1Q84 BOOK 2
これはご存知オアシズの2人光浦靖子と大久保佳代子が互いに心の内をぶちまけた往復書簡である。

芸能人が著書として出すものは、多少の見栄だとか誇りが垣間見える気がする。こんなどん底時代を経て今の成功を掴んだとか。


しかしながら、この2人にそれを求めてはいけないようだ。なぜなら山と谷があったら谷しかない。登る要素が見当たらない!自分が如何に擦れた人間かを説き、周りを妬み、相方に口撃する。その清々しさはあっぱれだ。


でも此処まであっけらかんと言い切れる2人の真の友情に礼讃したい。
自分はどうしようもないと認識しろ!と言われカチンとこないだろうか。いやくるな。(それともまだ私はそんな相方に出逢っていないということか?)


人には裸でぶつかれというがそうそうできるものじゃない。核を包み隠し、傷付かないように守る手段をとりがちだ。
でもこの2人は裸一貫で寒風の中張り手攻撃を続けている。そんな友情こそ実は一番愛に溢れているんじゃないかと思うのである。


友とは何か迷った時に読む一冊。

詠斗

不細工な友情 (幻冬舎文庫)
パイロットフィッシュは高級魚を飼う際に
生態系を整えるために水槽にいれられる魚のこと。
生態系を整えた後は捨てられてしまう。

他人(魚)のために犠牲になるパイロットフィッシュ。
他人(魚)がいないと生きていけない高級魚。

どちらの生き方が幸せか。

それはやっぱり高級魚よね。
とパイロットフィッシュはいう。

それでも彼女はその運命から逃れられない。

他人のために生きるのか。
他人を踏みつぶしていきるのか。

あなたならどちらの運命を選びたいですか。

太鼓仲間

パイロットフィッシュ (角川文庫)
代表作「白痴」を含む7編の作品集。
安吾は戦後の文壇に新しい風を吹かせた作家、という印象を持っていた。

“男×女×戦争”
作品集として系統分類に配するとしたら、ここだろう。

戦時下の混乱の世であっても、人が悩み欲するものは男であり女である。愛情は肉体的で、精神的で、そして気まぐれに人を振り回す。安吾はそれを理解して尚、深層心理から愛情を捉えようとしている。

小説から作者は排除されているが、安吾のロマンチストぶりはにじみ出ている。熱狂的なファンがいただろうことは容易に想像できる。

窮地でこそ発揮される人間の本性に、安吾は愛を見出せたのだろうか。

ponzu

白痴 (新潮文庫)
『ドーナツが食べたくなる警察マンガ』という、珍しいキャッチコピーを
僕につけられた「カッパーズ」の第2弾がでた。オノナツメ先生、最新のコミックス。
モーニング・ツー(モーニングの増刊)に掲載されたものです。

そもそもニューヨーク市警が舞台だから(日本で映画化は難しいので)、
おいそれと実写映画化されちゃう心配をしなくてもいい、のがすごくいい。

実写化が難しいのにはもうひとつ理由があると思ってて、それは、
オノナツメ独特の、あのくりくりの目を映画では伝えられないから!
だから、「20世紀少年」は実写にできるけど、カッパーズはできないと思う。

僕は、オノ先生の作品を、かわいい顔の描写を味わう為に
読んでいると行っても過言ではない。

キャラの立ちっぷりをみていると、人間しか出てこないドラえもんみたいだ。
みんなかわいいよ。とくに、かわいい初老のオッサン描かせたら日本最強の漫画家だと思います。

もちろん顔だけじゃない。

筋も面白くなきゃ、発売日を待ちこがれたりしない。

2巻でも、だめな子ハウスマンにシンパシーを感じながら、
1巻からの伏線をいろいろと気にしながら読みました。

カッツェル警部補、最後の日のジンクスはどうなるのか?
悩める婦警、モーリーンはすっきりするのか?
市警ビルの下に眠るものとは?

ニューヨーク市警51分署の日々を描いた、1stシーズン完結となる本作。
未読の方にも、1巻との「まとめジャケ買い」をお奨めしてしまうよ。
こんなにも誰にでも奨めたいと思える漫画は、人生でそう無いわー。まじで。

mikke

COPPERS 2 (モーニングKC)

COPPERS 1 (モーニングKC)