みなさんにさんざん公述をすすめている中田ですが、実はわたしもおよそ4年前に大阪府庁に出向いて駅西の都市計画の変更案について公述をしたことがあるのです!
なにを書いたらよいか分からないという皆さま向けに、参考までに当時のわたしの公述内容を掲載させていただきます(公述後に町内の団体さんのお便りに公述内容を掲載させていただいたときの前ふり文章付です)。今読み返してみると、あれ?と思うところがないでもないですが、当時一住民としてせいいっぱい調べて書いた内容ですので、そのまま載せておきます(当時は公述人が島本町から一人だけだったので気合いがはいって大変長い文章になっています)。
※2/4〆切の申出書とともに提出する意見の要旨は800字以内なので、もっと短くていいのですよ!
以下2015年に中田が書いた文章です
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みなさんは島本駅西側の農地に関して、今年島本町が大阪府に対して保留区域申請を行ったことをご存知でしたか?この保留区域申請が認められれば、5年の申請期間内であれば当該地域はいつでも開発可能になります。つまり、これは駅西側の開発をするために必要な手続きの第一歩といえます。すでに5年前に一度申請が行われ、許可が下りたものの、その間計画が進まないままに5年が経過してしまったため、島本町は今年再び駅西側一帯に対して保留区域申請を行ったのです。
さて、話は変わって5年前に我が家が東京から引っ越すことになり、高槻に住むか島本かで迷ったときに決め手となったのは、町内に残る田んぼ、畑、山、川などの自然の豊かさでした。初めて島本駅に降り立ったとき、目の前に広がる田んぼ(そのとき住んでいた東京都小金井市は住みやすい街でしたが、残念ながら田んぼは市内に一つも残されていませんでした)と聞きなれないさわがしい鳥の鳴き声に興味を惹かれ(あれはケリだったのですね)、大阪駅からこの距離で自然がこれほど残っているとは!と感動したのを覚えています。そんな素晴らしい駅西側の農地一帯が開発される予定であると聞かされたのは引っ越してきてしばらくたってからのことです。このご時世農地を潰して開発とはなんていうセンスのなさ!という残念な気持ちと、これだけ都市に近い駅前だから開発を免れるのは難しいのかな?地権者の方々も農地を維持するのが難しいのかもしれない、との複雑な思いを抱えながらも、やっぱりあの風景がビルや住宅地に変わってしまうのは残念すぎる!との思いを住み続けるほどに強くしていた今年の6月のある日、島本駅西側の農地開発に関わる都市計画(前述の保留区域申請のことです)について大阪府に公述する機会があるとききました。
島本町の財産ともいえるあの駅西側の田園風景が、たとえ地権者の方々の合意が図られ、大阪府の許可がおりたとしても、あの風景を愛する多くの町民の合意なしに進められるその手続きに大変な違和感を覚える一町民としては、楽しみにしていたお料理教室(スコーンとフルーツコンポートを作るはずだったのに!)を犠牲にしたって、言うべきことは言わなくてはなりません。そう思い、予定を急遽キャンセルし、6月30日に大阪府庁に出向いて考えるところを公述してきました。以下、少々長くなりますが、その内容を投稿させていただきます。
以下公述内容
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島本町在住の中田みどりです。わたしは今回の島本町によるJR島本駅西側における保留区域申請について、保留区域として設定すべき地域の面積を、申請されたものよりも大幅に縮小すべきだと考えます。なぜなら、保留区域として申請されている地域の大部分を農地として保全し、市街地として開発する区域を最小限にとどめることが、島本町にとって最適の選択だからです。
防災面は?
その理由の一つは防災面です。島本町では、西側に位置する北摂山系を流域とする水無瀬川が街の中心部を流れ、また東には淀川が流れています。このため、もともと島本は豪雨による浸水被害のリスクが高い自治体であると言えます。加えて、地球温暖化に伴う気候変動により、将来はこれまで以上に降水量が増え、また洪水を引き起こすような豪雨が頻繁に起こるようになると予想されています。そのようなリスクに備え、災害に強いまちづくりを行うことは重要です。現在、町は流下能力が1時間に48.84mmの雨水管の接続を各ポイントで進めていると理解しています。一方、昨年広島で大きな土砂災害が起こったことは記憶に新しいですが、その時の最大時間雨量は101mmです。
さて、島本駅西側に広がる水田は、このような豪雨の際の調整池としての機能を持っています。この地域に見られるような整備された水田では300mmほどの高さの水を蓄えることができると言われています。昨年の広島水害の時の24時間雨量が250mm程度でした。このことは、島本駅西側の水田の持つ見えない防災機能の大きさを示しています。もし、町の申請にあるとおり、この地域の水田の大部分を住宅などの都市的空間に変えてしまった場合、その失われた防災機能をなんらかの形で補完する必要があります。そして、そのためにかかる経済的コストは大きなものになると予想されます。かといって、何も対策を取らなければ、西側山麓に降った雨が流れ込む先にある、今回の申請区域である駅西側地区や青葉地区の浸水リスクは激増するでしょう。豪雨に対する防災対策として、工学的建築物を作るのではなく、既存の農地、生態系を生かすというのが経済的にも被害対策効果的にも有効であるというのが近年の流れなのです。
交通は大丈夫?
市街地として開発する区域を小さくすべき理由は他にもあります。それは交通です。町の計画のように、駅西側に1200人を越える人が住んだ場合、数百台の自家用車が西側地区に存在することとなります。一方、現在は西側地区からJRを越えて国道などに自動車が移動できる道路としては極めて貧弱なものしかありません。このため、なんらかの形でアクセス道路を新設する必要があります。JRの線路を超えるためには跨線橋またはトンネルが必要で、やはり大きなコストがかかると考えられます。全国的に人口が減少していく将来、既に開発されている市街地では、今後空き家が増加することは確実です。このような時に大きなコストをかけてまで新しく住宅地を開発する必要性は乏しいと言えます。
「コンパクトシティ」って何?
駅西側開発をコンパクトシティ化の一環と位置付けるというという考え方もあると聞いていますが、これは誤った考えだということは指摘しておかなければなりません。コンパクトシティとは、市街地の郊外への野放図な拡大を抑制すると同時に中心市街地の活性化を図り、生活に必要な諸機能を近接させた効率的で持続可能な都市づくりを目指す運動を指して呼ぶものです。このような「中心」は、ある程度の規模を持った都市で初めて成立するもので、例えば、高槻や長岡京のような場所で初めて成立するものでしょう。一方、島本はわずか人口三万人の小さな町です。いたずらに近隣の大きな町と張り合うのではなく、例えば高槻がコンパクトシティ化するならば、その周辺部として機能していくことが、大阪北部広域の発展を考えた時により望ましい形になるのだと思います。百歩譲って、もし島本もコンパクトシティ化すべきだとしたら、その中心となるべき地域は、駅前機能がすでに集積されている水無瀬駅を中心とした地域、もしくは水無瀬駅と島本駅の間の地域であるべきです。コンパクトシティと言いながら、新しく市街地を広げようとするなど悪い冗談だとしか思えません。
空き家問題も!
さて、先ほども述べましたが、長い目で町の将来を考えた時に、確実に訪れる人口減少時代に町がどのように対応していくかは極めて重要です。島本町は近隣の市町と、居住してくれる人をめぐって否応なく競争関係に陥るでしょう。島本町は交通の便利が良いといっても、高槻や茨木と比べれば大阪中心部から離れているのですから、競争上不利な立場にいることは、否定し難い現実です。京都方面では長岡京や向日市に勝てません。今はまだ、地価の面でこれらの町に比べて有利な点があるかと思いますが、将来は他の町でも人口減少に伴い需要が減少して地価が下がり、住宅価格面での島本の有利性が失われると予想されます。そうしたときに、茨木、高槻、長岡京でなく、島本を選んでもらうためには、都会にない魅力を島本がもつ必要があるのです。その鍵となるのが、駅前に広がる田園風景です。これは他の町にない島本の競争力の源です。そこをなくしてしまっては、たとえ駅前に作った住宅地がうまったとしても、それは一時のうたかたです。近い将来既存の住宅地では住む人のいなくなる場所が次々と出てくるでしょう。そのような場所に、他の地域から人を呼び込んで住んでもらいたいと望んだところで、近隣の大きな町となんら代わり映えがしないのに、通勤により時間がかかるだけの場所に誰が移り住んでくれるというのでしょうか。つまり、駅西側の農地を住宅地に変えることは、既存の住宅地を廃墟に導く道なのです。そしてもう人が住まなくなったからと言って、そのような場所を今更農地に戻すことはできません。
以上のように、島本町の将来を考えた時、駅西側で市街地として開発すべき地域は最小限にとどめ、大部分の地域は農地として保全するのが最適なのです。このことは、駅西側が大阪府の貴重な農空間保全地域に指定されている事とも整合しています。
住民意見の反映は?
全域を保留区域としてしまった場合、これを市街化区域に編入する際も全体として行われる事が懸念されます。その場合、いくら町が「農地保全に配慮した都市計画を行う」と述べていたとしても、実際に現在の農空間や景観が保たれるという保証はありません。この懸念は決して根拠のないものではありません。平成23年4月にはJR島本駅西地区まちづくり協議会」が設立されましたが、メンバー総数60名のうち地権者以外の住民はたったの4名です。今回の開発は公益性を根拠にしているのですから、まちづくり協議会では地権者に偏らない意見聴取が行われるべきなのに、です。また地権者に偏らない意見聴取という意味では、平成23年10月、今からほぼ4年前、改訂 島本町都市計画マスタープランの素案に対するパブリックコメントが募集されました。その際も、計画全体についてのコメント17件のうち14件は住民意見が反映されていない点を問題視する意見でしたし、農地保全を求める意見が多くの町民から出され、西側地区開発に関しては賛成意見よりも反対意見が多かったにもかかわらず、これらの意見は開発という大枠を変えることなく、文言を多少変えるのみでマスタープランに「反映」された形跡はほぼありませんでした。島本町都市計画審議会では、マスタープラン作成時に住民の意向を取り入れるようとの付帯意見を述べていますが、その文言があるのみで、地権者でない住民の意向が取り入れられているとは到底思えません。また私は今回町議会の議事録にも目を通させていただき、そこで議員の方から再三にわたって全町民の意向を聞くべきだとの意見が出されていたことを知りました。ですが、未だ西側開発に関しての全町民に対するアンケート調査などは実現されておりません。つまり行政は、都市計画法が住民の意見を反映させるための具体的な手法までは限定していないのをいいことに、意見聴取を行ったという最低限の形だけ整え、実質的には住民意見を無視しているのです。この姿勢は、前回保留区域申請が行われたときから改善されたとは到底思うことができない、大変問題があるものだと思います。
今回の公述に関しても思うところがあります。島本町は本公述会に関し、6月の広報に「都市計画の公聴会を開催」と載せていますが、その内容説明として、『大阪府では、「北部大阪都市計画区域の整備、開発及び保全の方針 の変更案」を作成するにあたり公聴会を開催します。変更案の概要は、島本町役場2階都市計画課でも見ることができます』とあるのみです。この表現では、この件が、島本の将来を大きく変えうる駅西側の開発に関わる重要な案件についてのものだということに気のつく住民はほぼ皆無です。もし開発が行われれば、農地保全を望む町民から不満が出る事は確実ですが、そのときに、「この件についてはちゃんと広報にのせましたよ」というアリバイを主張するために載せているだけではないでしょうか。少なくとも、駅前開発について、大阪府に住民の意見を述べるチャンスがあることを知らせる意図があるようには思えません。町の将来を大きく変えうる本件において、島本町のこの態度は大変な不安材料です。
「スプロール化」って?
そもそも、町の農空間保全に対する姿勢は本心なのでしょうか?今回の申請に際し町が提出した書類には、保留地区申請を行う目的として「スプロール化をふせぐ」と記述されています。スプロール化とは市街地で無秩序な開発が行われる事を指す言葉です。一方で、駅西側が現行のまま市街化調整区域として留まれば、そもそも開発が抑制されるわけですからスプロール化を心配する必要はありません。むしろ保留地区申請を行うことは、開発の可能性に道を開き、スプロール化が生じるリスクを高める方向性を持った動きであると言えます。このように明らかに矛盾したことを町が述べている事からすると、町の本心は、住民の意向を無視した「開発ありき」にあるのではないかと思わざるを得ないのです。
大阪府の都市計画マスタープランとの整合性
この事から考えても、保留地区として認めるべき地域を申請よりも小さくする事には合理性と本来の意味での公益性があると考えます。そもそも大阪府の都市計画マスタープランでは、新たな農地開発行為を原則的には行わない事を定めています。そして、例外的に市街化区域に編入するとしても、「鉄道駅から直線距離で概ね500m 程度の範囲が望ましい」と書かれています。つまり、今回の駅から西に1キロにも及ぶ広範囲の区域を対象にした島本町の申請は、上位計画の大阪府都市計画プランに整合していないのです。この一点のみでも、保留区域を小さくする根拠として十分です。つけ加えさせていただきますと、前回の「北部大阪都市計画区域マスタープランの変更」への島本町民の意見書に対する大阪府の説明では、本プランに基づき、「鉄道駅の徒歩圏については、市街化区域に編入できるものとしています」としており、なぜか500メートルという範囲のことについては述べていません。ここで重要なのは、島本町は大変小さな自治体で、東西方向に3キロ弱しかなく、そのうちの1キロといえば街の長さの3分の1にも及ぶ、ということです。さらに、島本町の平野部においては駅に徒歩で行くことができる場所がほとんどです。ということは、このような広範囲の開発を許せば、島本町の平野部に農地を残すことはできないということになるのです。これは、農地保全を重要視するマスタープランに違反するものだと言えます。さらに本マスタープランでは市街化区域への編入は「現在の土地利用の状況や都市基盤施設の整備状況等も考慮し行います」とあることから、編入区域を500mより小さくする事は、マスタープランの趣旨に背くものではありません。以上の理由から、駅西側の状況を考えると市街化区域に編入すべき地域は大きくても駅から直線距離で100mほどに留め、他は農地として保全すべきだと言うのが私の考えです。そうでないならば、保留区域として認めるべきではありません。
前回の保留地区申請から5年が経ちました。わたしはこの5年で島本町に転入してきたうちの一人です。駅前に残された農地と山の景観、住宅地に残る田んぼ、都市近郊にありながら、これらの自然が豊富に残っていることが、小学生の子供をもつ我が家が島本町を選んだ決め手になりました。多くの転入者にとって島本町は便利な位置にあるから、という理由だけ選んだわけではないはずです。駅前や住宅地内に農地が残っていること、またその景観、暮らしやすさにこそこの町の価値があるのです。そして駅西側はその象徴なのです。最後にこの事を強く訴えて、意見公述を終えさせていただきます。ありがとうございました。
