自分の事を物分かりが良いタイプ、とは思わないけれど、そんなに融通が効かないタイプ、とも思っていない
ふたつ年上、という以上におとなな恋人がいつも僕を大切にしてくれて、いつも僕の事を考えてくれている事を知っている
だから、異を唱えるつもりも全く無かった



「じゃあ帰るよ」

「チャンミン待って、ちゃんと持って帰ってもらわないと」

「え…」



実家の玄関で靴を履いていたら、母さんに呼び止められた
ばたばたと奥へと向かうから待っていたら、小さくは無い紙袋を持って帰って来た
それから、僕の前に差し出してなかをちらりと見せたらプラスチックの透明なケースが縦に重ねられていて…


 
「ソンピョンとジョンを入れてあるから、帰ったら食べなさい」

「…さっきまでたらふく食べていたけど…
それに、こんなに食べ切れないかも」



それは、チュソクの時に振る舞われる餅とチヂミのようなもの
差し出されたから受け取ったけれど、帰ってもひとりだし…
幾ら僕が大食いでも少し多い気がした
困っていたら母さんはにこりと微笑んで口を開く



「今日なら大学のお友達も帰って来る子がいるんじゃ無いかしら?ほら、女の子も…」

「…母さん、女の子とか居ないから」

「あら、うちの子は色気が無いのね
最近凄くおとなっぽくなったと思っていたのに…」



探られているのか、とも思うけれど、母親は天然だから思ったままを口にしているのだろう
昨日、つまり今年のチュソクである13日の朝にひとり暮らしの部屋から1時間の実家に帰って来た
滞在は丸1日で、それは僕がこうしていつでも行き来出来る距離に居るから
と言うのと、両親からすれば休日も勉強に力を注いで欲しいから…という事のよう



「兎に角、帰ってこれを有難く食べながらひとりで勉強でもするよ」

「勉強でも、じゃあ無いでしょ?
チャンミンの将来の為なんだから…」

「…はい」



首を竦めて謝って、それから実家を後にした



今年のチュソクは昨日、つまり金曜日だった
だから、今日明日やそのまま家族と過ごしたり、ソウルから地元に帰るひと達が多いだろう
僕は幸い、と言うか実家も大学もここソウルで、ひとり暮らしの部屋も実家から遠くない事もあって翌日の今日、土曜日の朝に帰る事にした

両親は勿論、妹や可愛い愛犬にも会えて写真も沢山撮れたし癒されて…
そして、母親と妹達が準備して、僕も最後は一緒に手伝って作り上げたご馳走達をたらふく食べてお腹も満たされた



家族は大切だし、仲も良いから自分は恵まれていると思う



「…空いてる
やっぱり皆故郷に帰っているのかな」



電車に乗り込んだら普段の週末よりもがらん、としていた
座席に座って、紙袋を腿の上に乗せた
それから、スマホをパーカーのポケットから取り出してカトクのトーク画面を開いた

それは、僕の大好きなふたつ年上の恋人…
つまり、ユンホさんとのトーク画面
最後の会話は今朝で
『付き合って今日で1年4ヶ月だな
いつも傍に居てくれてありがとう
今日もチャンミンが好きだよ』
そんな、朝から甘い言葉をもらった



ユンホさんの実家は僕と違って、少し離れた光州に在る
12日の木曜日…つまり、チュソクの前日から帰っていて、戻って来る予定は明日の日曜日
チュソクは家族や親戚と祝うもので決してユンホさんの帰郷が長い訳では無い
そんな事は当たり前に分かっているから、会いたい、なんて事も口にしていない



『僕は一足先に、今帰っています
ユンホさんはまだだと思いますが、帰りもきっと高速電車は混むと思うので気を付けて帰って来てくださいね』



「…これで良し」



小さく頷いてカトクを送信した
  


本当は
『来週また会えるのを楽しみにしています』
そうメッセージしようかとも思った
と言うのも、明日の夜に帰って来ても疲れているだろうから… 
月曜日以降、平日の夜に少しでも会えたら良いなあ、なんて思ったんだ

特別な事なんて何もしなくて良い
今日は記念日だけど、それよりも大切な行事が有るし、普段はいつだって会えるのだから…



「…なんて、僕も少しはおとなになったって事かな」



母さんにも『おとなになった』と言われたし…
それはきっと、ユンホさんと居るからなんじゃないかなあ、なんて思った



「…あ…そうだ」


 
首元から細いチェーンのネックレスを取り出して外した
それから、チェーンにぶら下げていたふたつの指輪を取って、左手と右手の薬指にそれぞれ嵌めた



「…うん、ぴったり」



紙袋の上で両手を広げて見下ろしたら頬が緩んでしまう

それは、ユンホさんと僕、それぞれサプライズでお揃いで用意した指輪
ユンホさんに貰った指輪はサイズが少し大きくて、それも嬉しかったんだけど、最近ふたりでサイズを調整してもらいに店に向かったんだ



なかなかふたりで一緒に居る時にお揃いで指につける事は難しいけれど、ひとりで居る時なら…
勿論、誰も僕の指輪なんて見ていない事は分かっている
だけど、僕はユンホさんの恋人なんだってひっそりとアピールしているようで、それだけで心が浮き立つ



「勿論、一緒に居られたら一番幸せだけど…」



でも、離れていても幸せを感じられるなんて、そんな気持ちを与えてくれるなんて、ユンホさんは凄いって思う



最寄り駅に到着する迄、何度も何度も、大切な指輪を指でなぞって、家族との時間を過ごしているであろう恋人の事を思った





















「……やっぱり多過ぎる…」



ひとり暮らしの部屋に到着して、紙袋のなかのプラスチックケースを開けてみたら、決して小さくないケースのなかにみっしりとおかずや餅が入っていた
冷蔵庫に保管する、にしても何日も持たないだろうし、餅はそれこそ固くなってしまうだろうし…



「取り敢えず、もう今日は何も作らなくても良さそう…」



長旅でも無かったから疲れてなんて無い、と思っていたけれど、賑やかな実家からひとりの慣れた空間に戻ると落ち着いてしまって…



「少しだけゆっくりしよ」



本当は、来週に向けて予習だったり、論文の資料集めだったりをしようと思っていた
だけど、外の暑さも和らいで心地好い疲れにも襲われてしまって、ベッドに俯せで横になった

今日も明日も、ユンホさんには会えないけれど、夜なら電話が出来るかもしれない
そうだ、今日は9月14日、フォトデーだから…
少し我儘を言って
『ユンホさんの写真を送ってください』
なんて言ってみようかなあ、なんて思いながら意識を手放した






















「……ん…ん?………えっ!」



ほんの少し眠ろうと思っただけ
それなのに、ふと目が覚めて辺りを見渡してみたら部屋が暗くて驚いた
今日は雨の予報では無かったし、日中なら窓から少しは日が差し込む筈
だけど、日差し、どころかもう外は暗い



「…何時間寝てたんだよ…」


 
帰宅したのはお昼頃
確かに、昨夜は遅くまで家族と盛り上がって少しお酒も入って… 
だけど、電車のなかでもしっかり起きていたし疲れているつもりなんて無かった
だけど、もう慣れてしまった自分の部屋で落ち着いてしまったのだろうか

慌てて枕元のスマホで時刻を確認したら、夕方の5時半



「…良かった…」



もっと遅い時間かと思ったけれど、最近急に日が短くなったから夜に思えてしまったのだろう
上半身を起こしてベッドの上で大きく息を吐いて胸を撫で下ろした

スマホには友人達から何件か連絡が入っていて、それを開こうとして気が付いた



「あ…!」



それは、大好きな恋人からのカトク
真っ先に開いてみたら…



「…可愛い…」



きっと、今の僕はひとには見せられない顔をしているだろう
だって
『チャンミンは早く俺に会いたく無いの?
「まだだと思うけど気を付けて帰って来て」なんて…』
そんな風に、文字を見てもユンホさんが少し拗ねているのが分かったから



「僕も我慢したんだけどな…」



だって、本当は
『早く会いたいです』
ってメッセージしたくて…でも、我儘になってしまうから止めたのだから

僕が返信していなかった、と言うか眠ってしまっていたからか、ユンホさんからはもう一件、時間を空けてメッセージがあった



「『ちょっと大人げ無かった
チュソクも大事だけど、やっぱりどこに居てもチャンミンの事を考えてしまうから』
………胸が苦しいよ、もう…」



大好きな恋人からのカトクを読み上げたら胸がぎゅうっとなって右手でTシャツを掴んだ

僕だって、いつどこに居てもいつもユンホさんの事を考えている
ユンホさんが居るから頑張れたり、成長したいと思える
僕なんかよりおとなで格好良くて優しくて…
そんなユンホさんが偶に甘えてくれるのも凄く好きだ



「……フォトデーだもんね」



普段、『こんな事』なんてしない
ユンホさんから、は大歓迎だけど…
でも、今日は恋人達が写真を撮る日で、だけど今日僕らは一緒には居られない
だから、『僕もユンホさんの事を考えているし会いたい』
そんな気持ちを込めて、昨日撮った愛犬とのセルカを添付した











写真は元々得意では無いし、先月は髪の毛を切り過ぎてしまって少しへこんでいた
それでもユンホさんは
『似合っている』
『可愛い』
と言ってくれたし、普段は被らないキャップで隠してしまえば気にならなかったのだけど、髪の毛も伸びて来たから見せても良いかな、なんて思った

のだけど…



「髪の毛もぼさぼさだし部屋着だし…
もっとちゃんと撮れば良かった」



送信してから早速後悔してしまった
愛犬を写真に残したくてついでに撮ったのだけど、見返してみたら何だか酷い
勿論、愛犬では無くて僕が

恥ずかしいから適当なスタンプを送って、それから
『ユンホさんのセルカも待ってます』
そう送信してスマホを部屋着のスウェットパンツのポケットに仕舞った



「…勉強…あ、でもその前に食べようかな」



眠ったらお腹が空いてしまった
キッチンに移動して、チヂミやおかずを皿に盛って電子レンジで温めた

昨日も同じものを食べたからラーメンも食べたいなあ、なんて思って、棚のなかから袋のラーメンを取り出した

今日も明日もひとりだし予定も無いから、勉強の途中で食べようと計画して…
そうすれば、ひとりでは多過ぎるおかずも餅も、案外食べ切れるかもしれない、なんて思って食卓代わりのローテーブルに温まった皿を置いた



テレビをつけたらチュソクの話題でいっぱい
明日は日曜日だから電車も道路も大変な混雑になるだろう、とか今年のチュソクの食事はこんなものもおすすめだ、とか…
楽しそうな家族の姿だったりも映し出されていた



「…寂しい、なんて思っていないつもりだったけど、やっぱり寂しいのかなあ…」



1年前の今日は、ユンホさんと外に出掛けて一緒にコスモスを見た
『フォトデーだから』 
なんて言って、沢山沢山写真を撮った

普段はどちらかと言うと僕の方が恥ずかしがり、というか自分に自信も無くて写真が得意では無い
でも、写真は残るし、それを見れば思い出も蘇るんだって改めてぼんやり思った



ソファに腰掛けて、目の前には沢山のおかず達
お腹も空いた筈だったけれど、それより今、ユンホさんに会いたくなってしまった

スマホのフォルダを開いて、1年前の今日の、ふたりで撮った写真やデジタルカメラから転送した写真を見返した



「…こうして、ユンホさんとの時間をこれからも重ねていけたら良いな」



ユンホさんは僕と、ずっと一緒に、なんて…
まるでプロポーズのような言葉をくれた
いや、彼はプロポーズなんだって言ってくれたのだけど

でも、少し離れると僕はやっぱりこどもみたいに少しばかり寂しくなってしまう
それを隠したくて、おとなで居たくて、ユンホさんに『重たい』なんて思われないように、と思っていた

だけど、彼も僕に『会いたい』と思っていてくれているのだと知って胸があたたかくなった



「…あ!」



ユンホさんとの写真を見返していたらユンホさんからのカトクの通知
なんてまるで運命…
と言いたいところだけど、僕が写真とメッセージを送ったからだろう

写真を送って欲しい、とお願いしたからユンホさんの顔が見られるかも、とどきどきしながらトーク画面を開いたんだ
そうしたら…



「…え…」



一瞬、分からなかった
だけど、直ぐに分かった

いや、ユンホさんだという事は一瞬で分かる 
でも、それが『何処なのか』が一瞬理解出来なかったんだ



「…これ、今?…そんな訳無いよね…?」



ユンホさんはどこか建物のなかに居た
その建物は、そんな訳無いって思ったけれど、見間違う訳も無い
だって、この…



「僕のマンション…」



そう、ひとり暮らしのこの部屋のあるマンションの共有部分だったから
多分、ユンホさんはエレベーターの前でセルカしたのだろう
毎日毎日使う場所だから当たり前に分かる

長袖のシャツを着て、出会った時よりも少し長い髪の毛をさらりと下ろしている
仕事の時はぴしっと髪の毛を撫で付けている事が多いから、そのギャップにどきどきする

なんて事は今は置いておいて…



『あの、これって…いつの写真ですか?』



慌ててカトクを送った
そうしたら、直ぐに既読にはなったけれど返事が無い



そんな訳無い 
だって、今はチュソクの連休で、ユンホさんは明日まで帰って来ない予定だって言っていたから
この週末も、今日の記念日だって会えないって思っていたから

居る訳が無い
そんな訳が無い
だけど…



「…っ…」



居ても立ってもいられなくて立ち上がって、玄関へと向かった
寝起きのままの髪の毛だからぼさぼさだし、部屋着のTシャツとスウェット姿
ついさっき送ったセルカよりも更に酷い姿だと思う

だけど、会えるかもしれない
そう思うともう身体は動いて、玄関の扉を開けたら…



「…今インターフォンを押そうと思ったのに」

「………」



びっくりして、嬉しくて、頭が混乱して、声にならなかった
きっと、今向かって来ているのだって思った
だけど、扉を開けたら丁度そこに僕の恋人が居る、なんて…
指をインターフォンに伸ばすユンホさんと目が合う、なんて
目が合うと恥ずかしそうに優しく微笑んでくれる、なんて
そんなの、やっぱり僕は単純だから運命なんだって思ってしまう



「…ユンホさん…」

「うん、ただいま……っおっと」

「…っユンホさん、ユンホさん…」


 
一歩こちらに歩んだユンホさんに飛び込むようにして抱き着いた
半分廊下に出たまま
誰かに見られるかもしれない
だけど、そんな事どうでも良かった

離れていたのは数日
最後に会ったのは11日の夜

だけど、聞き分けの良い恋人でおとなで…
と思っていてもやっぱり寂しかった



「チャンミンは寂しくなんて無くて、俺だけが会いたいって思っているのかと思ったよ
でも…この感じなら寂しいって思っていてくれてたって事?」

「…当たり前です
でも、寂しいなんてこどもっぽいしユンホさんを困らせるだけだし、チュソクだし…」



胸に顔を埋めながら言ったら、きっと沢山跳ねている髪の毛を優しく、大きな掌が撫ぜてくれた



「俺はチャンミンより年上なのにずっと会いたいって思っていたけど?
それに、だって今日は大事な記念日だろ?」

「……うん」



少し身体が離れて見つめられた
黒い瞳に飲み込まれてしまいそうで、吸い寄せられるように触れるだけのキスをした

ユンホさんは目を丸くして
「外なのに大胆だな」
なんて…
少し揶揄うように、でも嬉しそうに微笑んだ



ふたりで部屋のなかに入って、ユンホさんをソファに案内した
座ってもらって何か飲み物を用意しようとキッチンに立ったら
「チャンミン」
と声を掛けられて振り返った



「どうしたんですか?」

「これ、もしかして誰か招いて食べるところだった…とか?
浮気とか、そんなのは…疑って無いし思いたく無いけど、誰か友達が来たりするのか?」

「え…あ!違います
それは母さんが食べ切れないくらい沢山持たせてくれて…
母さんと妹が作ったものですが…
あ、でも僕も少しだけ手伝ったんですが」



ユンホさんはローテーブルの上の、皿に盛り直したとは言えたっぷり入ったおかずを見下ろしている
しかも、本当に量が多くてお皿もふたつ使ったからおかしい、と思われてしまったのかもしれない



「あの…ユンホさんも沢山食べて来たと思いますが、良ければ食べますか?」

「良いのか?昼前に実家を出たから、それから何も食べて無くて
でも…」

「でも?」



取り敢えず、ユンホさんが来た時に飲めるように、とジュースをストックしていたから、それをグラスに入れて彼の元へと運んでテーブルに置いた
右隣に座ったら、僕の恋人は綺麗な顔をずいっと近付けて、それから僕の耳元で囁いた



「チャンミンの手料理に飢えてるから、ラーメンも食べたい」

「…ラーメンは手料理に入るんですか?」



低くて甘い声にふるりと震えてしまって恥ずかしい
顔が熱いから、前を向いたまま返した
視線だけで隣を見たら、ユンホさんは嬉しそうに微笑んで言った



「チャンミンだって帰って来て疲れてるだろ?
それに、チュソクの料理も美味いけど、そろそろ別のものも食べたくなる頃だと思って
ラーメン、食べたくないか?」

「…僕も食べたいなあって思ってました
でも、おかずも沢山有るしひとりじゃあ食べ切れないって…」



だって、まだ皿に移せていないおかずも有る

ユンホさんの方を見たら、何だかとても甘い…
と言う表現がぴったりな優しい瞳で僕を見ている



「大丈夫
明日も休みだから、今日はこのままチャンミンの部屋に泊まろうと勝手に思ってるんだけど…
そうしたら、きっと食べ切れるだろ?」



それから、ユンホさんは少し気恥ずかしそうに
「木曜日の朝から帰っていたから、元々今日の記念日には帰って来るつもりだったんだ
でも、驚かせたくて」
と小さく言った



僕は以前よりは少しだけおとなになれた気がする
だけどやっぱりユンホさんの事になれば我儘にもなってしまうし、会いたいって思ってしまう
そんな僕と比べてユンホさんはおとなで…
そう思うんだけど、本当はユンホさんも僕と同じように寂しい、とか会いたいって思ってくれているのかもしれない



「指輪、ずっとしていたの?」

「…ええと、家族の前だと妹達にあれこれ追求されそうだからネックレスにしてました
でも、帰る時は指に嵌めました」



僕の両手を取ったユンホさんはじっと見下ろして僕の言葉を聞いていた
ユンホさんの薬指にもふたつの指輪が光っていて…



「…俺はずっと指にしていたよ」

「え…」

「やっぱり、何かあったのかって聞かれた」

「…なんて答えたんですか?」



どきどきしながら僕の指を長くて綺麗な指で擦る恋人を見たら、ユンホさんは少し意地悪に微笑んだ



「チャンミンは実家では外してたんだろ?
なら直ぐには教えられないなあ…」

「…え…」



気になるのに焦らすなんて意地悪
それに、僕は隠している、というか…
追求されたら嘘なんて吐けないし顔に出てしまいそうだから、大事にネックレスチェーンに通していたのだ

唇を尖らせて無言で抗議したら、ユンホさんは僕の左手をそっと持ち上げて、もらった指輪を嵌めた僕の薬指にそっと唇を落としてから僕の顔を見上げて…



「ベッドのなかで、なら教えるよ」

「…っ…」



それは、きっと、早く僕を欲しいって思ってくれているという事

もう温めたおかずも冷めてしまっただろうし、また温めたら良い
そうで無くてもふたりで食べたらきっともっと美味しいから…
右手を伸ばしてユンホさんの頬を包んで、キスで仕掛けた






















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