苦労して蓄えた財産。これを次の代へと継がせていくのが相続ですが、自身の子孫へ引き継がせていきたいと思う方もいらっしゃいますよね。

どういうことかと言いますと・・・

たとえば自分が死亡した後に息子さんが株や不動産を相続したとしても、もし息子さんに子どもがいなかったら?



息子さんが亡くなった後は、その奥様と兄弟姉妹が相続人となります(親はすでに亡くなっているものとします)。

兄弟姉妹には遺留分がありませんから、「妻に全財産を渡す」といった遺言書を残しておけば、兄弟姉妹に財産はいきません。

では、奥様に全財産が渡った後は、どうなるでしょうか?

お子さんがいらっしゃらない、親もすでに死亡しているとなると、この奥様が亡くなったときの相続人は誰になるでしょうか?


そうです、この奥様の兄弟姉妹になりますね(奥様の親も亡くなっているものとします)。

つまり・・・

本人A
妻B すでに死亡
Aの息子C Aの娘(Cの妹)G
Cの妻D
Dの兄E弟F    と設定


このケースですと、Aの財産がCDを経由して、EFに渡ってしまうことになるんです。

Aが一代で築いてきた財産が、嫁の兄弟に渡ってしまう…これが現行民法の相続なのです。


ここで信託を活用するメリットが生まれます。

Aは、息子Cが亡くなった後に、その妻Dではなく、自身の娘Gに財産が移る設定をすることができるのです。

つまりAは、自身が亡くなった以降、嫁の家系ではなく、自身の家系に引き継がせていくことができるというわけです。

Gが亡くなった後は、もしGに子がいればその子(Aの孫)でもいいし、もしAにもう一人子がいるなら、その子に移転させる内容も可能です。


民事信託(家族信託)は、信託が設定されたときから30年後まで有効です。






これは必ずしもCに子どもがいないケースだけではなく、CにEFという子がいた場合でも同じです。

本人A
妻B すでに死亡
Aの息子C 
Aの娘(Cの妹)G Aの娘(CGの妹)H
Cの妻D
Cの子EF(Aの孫)    と設定


息子Cが亡くなった後、その妻Dや子EFではなく、A自身の子Gに引き継がせることができます。

たとえば、株や不動産をいったんは息子Cに継がせ、Cが亡くなれば娘Gに移転させるということが、民事信託では可能なのです。

Aから見れば、息子Cが亡くなった後、嫁や孫ではなく、娘Gに財産が移せるので、信託活用により希望がかなうということですね。現行民法ではこのようなことはできません。いや、Cが妻や子ではなく兄弟姉妹のGやHに残す旨の遺言書を書けば、遺留分の問題があるとはいえ可能です。しかし現実問題として、それは難しいといえますね。



ちなみに、A→息子C→娘G→孫E→孫Fというふうに受益権を移転させることも可能です。Aの財産の行方を、A自身が30年先まで指定できる、これが信託のメリットですね。

ただしCの妻や子は、納得がいかない場合もありますから、その辺の話し合いは十分になさっておいたほうがいいでしょう。Cに子がいない場合の妻Dに対する配慮もしかりです。

生前にきちんと自身の意向を伝え、財産の行く末を設定しておくことが目的であって、余計なトラブルを生んでは元も子もないですからね。