幽霊であるノロの人、御嶽の守り人たちに歓迎されてはじめて、「ああ、こういうことだったのか」と、南の島の信仰のいろいろなことがやっと詳しく見えてきました。 

 

とにかく認定を取り消してもらうことが先決なので、朝イチで朝食を食べて、すぐに出発しました。 

 

取り消してもらえなかったらどうしよう、と不安だった私は、祖納の浜に行く途中にある「古見岳」という、神様がいそうな山に寄り道をしました。 

 

登山口を入って歩いて行くと、川があります。 

 

川幅が広くて浅そうに見えるのですが、ところどころ深くなっており、ジーンズをたくし上げても濡れるかも……という川でした。 

 

冬に渡るのはきついかな、とそこで神様にご挨拶をすると、山岳系の神様が山から降りて来られました。

 

ああ、良かった、神様がいてくれて、と思い、事情を詳しく説明をすると、「約束を返してから、もう一度ここに来なさい」と言います。 

 

霊との約束を返したあとで、禊(みそぎ)をして帰るとよい、とのことでした。 

 

神様によると……私の後ろには、ぞろぞろと48人の女性(ノロだけではないそうです)がついていて、プラス、まだ子どもの女の子も1人いる、とのことです。 

 

「そんなにたくさんの人が! ですか!」  

(と言ったあとで、心の中で、ひ〜え〜! 笑い泣き と叫びました。声に出すと霊の人に聞こえてしまって失礼なので、心の中で、です) 

 

「このまま東京に戻っていたら、この人たちを連れて帰っていたのでしょうか?」 

 

そう質問をすると、霊は島から出ないけれど

(西表島だけでなく、他の南の島の霊もいたそうです)、 

 

南の島の霊のネットワークのようなものを身につけたまま帰ることになっていた、と言われました。 

 

そのネットワークをつけたままで遠く離れると、霊とのつながりに引っ張られるため、体調を悪くしたり、病気になったりするそうです。 

 

そこまで聞いて、一刻も早く祖納の浜へ行かなければ、と古見岳をあとにしました。 

 

祖納の浜に向かいながら、もしも……「すまぬが、認定は取り消せない」と言われたら……と考えました。 

 

そうなったら、移住するしか方法はないなぁ、ということも真剣に考えました。 

 

これは霊の人たちが悪いわけではなく、認定しようと言われて、よく知らないままに受け入れた自分の責任です。 

 

必要なものを持参して浜を訪れると、前日よりも潮が満ちていてビビりました。 

 

やっばー! えーん

 

聖なる場所へ行けなかったらアウトだ、と急いで奥へ行くと海水の高さはギリギリでした。 

 

証しとしてもらったサンゴを聖なる海域の海水でもう一度清め、元あった場所にそっと戻しました。 

 

水や、いくつかのお供え物を霊の方々にして、昨日のノロの代表の女性を呼びました。 

 

出て来られた代表に、心の底から丁重にお詫びをして、誠心誠意、私の事情と気持ちをお話しました。 

 

御嶽という仕組みを隅々まで完璧に理解していなかったこと 

 

南の島出身ではない私が南の島の霊とのネットワークを身につけて帰ると病気になるであろうこと

(南の島出身の方は大丈夫だと思うのですが、確認をしていないので確実な情報ではありません)

 

本土の神仏やスピリチュアルな世界を伝えたいので、移住は避けたいということ 

 

などを時間をかけて細かく説明しました。 

 

代表は、うん、うんとうなずいて聞いてくれていますが、これは、一旦、約束を交わしたことです。 

 

取り消しは無理かもなぁと、なかば、あきらめていたと言うか、腹をくくっていたのですが、予想に反して、霊の女性たちも代表の人もにこにこして「わかった」と言ってくれました。 

 

「え! いいの?」と逆にびっくりです。 

 

「神を敬う気持ちは私たちもあなたも同じである」 

 

「ノロや守り人である私たちは、御嶽という神聖な場所を守る」 

 

「あなたは神のことを伝える」 

 

「道(やり方)は違うけれど、神に仕えるという意味では一緒である」 

 

「頑張ってほしい」 

 

というようなことを言ってくれました。 

 

それから代表の女性は、ハサミのようなもので、私の体から出ている霊のネットワークを切ってくれました。 

 

こんなにたくさん! と、ビビるほど自分の体からネットワークが出ていて、驚きました。 

 

それをチョキチョキと切っていきます。 

 

すると、目の前から霊が1人去り、2人去り……と数が少なくなっていきます。 

 

女の子は7歳くらいでしょうか、にこっと私の目を見て笑って、くるりと背を向けて走っていき……走っている途中で消えました。 

 

私の後ろについていた全員が消えて……約束は白紙になりました。 

 

白紙になった時は、安堵したとかそういう気持ちではなく、言いようのない悲しさ、寂しさみたいな感情に支配されて、切なくつらかったです。

 

しばらくボーッと、みんなが去っていった方向を見続けました。 

 

 

※ここから長くなるので、浜での出来事は2つに分けることにしました。 

続きます。

 

 

 

 

 




 

 

 

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天から聞こえるメロディを曲にしています。