ダルマがゲイシャになった日 | 日本とアメリカで働く翻訳者のブログ

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日本とアメリカで暮す英日翻訳者のつぶやき。新しいことへの挑戦、英語・日本語について、翻訳の仕事について。


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その昔、テキサス大学の学生だった頃、日本に帰国したら絶対食べたいと夢見ていた食べ物のうち、3本の指の1つにいつもランクイン入りしていたのが、ラーメンだった。

日本ではあんなに手軽に誰でも食べている庶民の味なのに、なぜかその当時、テキサス州オースティンにはラーメンを出すお店が一軒もなかったのだ。

北海道出身の私にとって、ラーメンが食べられないということは、非常に辛い。

どうしても食べたくなったときは、ベトナム料理のフォーか、中華料理屋さんのエッグヌードルでしのぐしかなかった。

フォーもエッグヌードルもそれなりに美味しいが、ラーメンの代用と思って食べると、ちょっと侘しいのだった。

だから今回、久々にオースティンに舞い戻ってきた私が、今ではオースティンでも本格的な日本のラーメンを食べられると聞いたときに、どれほど舞い上がったか!!皆さんご想像ください。

オースティンでラーメンが食べられるなんて、世の中も変わったものだヾ(@°▽°@)ノ
これは絶対に行ってみなければ!!

だが、地図が読めず、車の運転が苦手で、伝書鳩のように同じコースを繰り返し行き来するだけで精一杯の私にとって、新しいお店を探し当てて車を運転して行くということは、結構ハードルが高いことだった。

特にダウンタウンは、急に一方通行になったり、路上の縦列駐車があるので、難関で、なかなか行けない。

そこに、今仕事をしている会社が、ダウンタウンでカンファレンスを開催することになり、ボランティアスタッフに応募すれば、会場までチャーターバスに乗せて行ってもらえるという朗報が舞い込んできた。

会場の近くには、いつか行きたいと思っていた「ダルマ」というラーメン屋がある。
しかも、会場から徒歩圏内。。。

これは、アタックチャーンス!

おーし、ボランティアになってチャーターバスでダウンタウンへ行き、ダルマのラーメンをランチに食べて来よう!と計画を立てた。

聞くと、同僚のAさんも同じことを考えているそうだ。
できれば一緒に行きたいところだが、シフトが合わないので別々に行くことに。

カンファレンス当日は、早朝からチャーターバスに乗って会場に向かい、ラーメンのことを考えながら、ボランティアスタッフとして、半分上の空で参加者のバッジスキャンをした。

お昼になったので、ダルマラーメンがあるというシックスストリート方面に向かって歩き出した。

ダウンタウンは碁盤の目のようになっているから、間違いようがないはず。
ブロック数を数え、目抜き通りであるシックスストリートにたどりつく。

あれ、この辺のはずなんだけどな~・・・

と思ったが、「ダルマ」があるはずの場所に、なぜかド派手で漫画チックな芸者さんの絵の看板があり、「GEISHA」と書いてある。

・・・なんでゲイシャなの??

ちょっといかがわしい雰囲気だが、ランチメニューにラーメンの写真も飾ってあるし、ひょっとしてオーナーさんが変わっちゃったのかな?

・・・と思って、とにかくゲイシャ店内に入った。

中に入っても、何か雰囲気が怪しい。

日本からのお客さんをダルマに連れて行ったと聞いていたのに、店内には誰もいない。

メニューにも一応寿司とか書いてあるが、他のメニューを見る限り、オーナーさんは韓国人のようだった。

まあ、ラーメンを食べに来たので、初志貫徹でスパイシーラーメン(ピり辛ラーメン?)を注文する。

すると、ラーメンを頼んだのに、前菜としてみそ汁(レンゲ付き)が先に出てきた。

何か変だ。

しかし、みそ汁を飲んでしまわないと、次を持って来てくれない感じなので、レンゲでみそ汁を口に運ぶ。

ほどなくラーメンが運ばれてきた。

これも何か変だ。

箸で麺をつまんでみても、妙に縮れていて、インスタントラーメンをゆですぎたような・・・

・・・というか、「ような」じゃなくて、本物のインスタントラーメンだ!と気づくまでに、そんなに時間はかからなかった。

何てことはない、韓国の「辛」ラーメンそのものだった!

ありえない!!

ダウンタウンのレストランで、辛ラーメンを出して、4ドルも請求するなんて、悪質極まりない!

怒りがおさまらず、途中で水を注ぎ足しに来た店員さんにも、非難のまなざしを向ける私。

「Is everything OK?」と聞かれる。

全然オーケーじゃねえよ。

しかし、相手はこちらの立腹に気付いているのかいないのか、全然動じている様子がない。

もう既にインスタントラーメンに4ドルも払っているのだから、チップなんてくれてやるものか。

会計のときに、告発するつもりで、「ねえ、あのラーメン、インスタントでしょ?」と意地悪く言ってみた。

フフフ、隠そうったってそうは行かないわよ。

ところが相手は悪びれもせずに、うなずいて「そうよ」と、言うではないか。

何その開き直り?!
全然隠してない!

ますますありえない!!

せめて「申し訳ございません」ぐらい言ってくれてもよさそうなものなのに・・・

完全な敗北。

あ~あ。

オースティンのラーメンなんて、結局はこの程度だったのか・・・

と、私は大きく失望して、再びチャーターバスで帰路についた。

だが、自分のデスクに戻っても、ムカついて仕事にならない。

愚痴を聞いてもらおうと思って、Aさんのデスクへと押しかけた。

穏やかな顔で仕事をしているAさんに向かって、鼻息も荒く、

「ねえ、Aさん、ラーメン食べました?」

と言うと、

「ええ、食べましたよ」

と平然と言うではないか。

「・・・どう思いました?」

「え?普通に美味しかったですよ」

はあ?

「えっなんで?あのゲイシャっていかがわしいお店ですよね」

「えっハンナさんゲイシャに行っちゃったの?!」

「だってダルマがあるはずのところが、ゲイシャって日本料理屋に変わっていましたよね」

「ダルマありましたよ、ゲイシャの横に。ちょっと控え目な看板だから、よく見ないとわからないけど、ゲイシャの隣にちゃんとあったよ」

・・・・・・

ガーーーーーーーン(゜д゜;)・・・

まさか日本料理屋が2軒続けて建っているとは思わなかった。。。

ダルマのまん前まで行っておきながら、横の派手な看板に気を取られ、怪しい「ゲイシャ」に行ってしまった私・・・。

そして本物のラーメン屋の横で、辛ラーメンを食べて憤っていた私・・・。

もうあんまりマヌケで涙が出そうになってきた。

ひょっとしたら、「ゲイシャ」も、お隣の本場のラーメンと対抗しても勝ち目がないと思って、インスタントを出していたのかも。

もしそうだとしたら、ラーメンに力を入れていないのも無理もない。
結局のところ、頼んだ私が悪いのだ。

Aさんは涙目の私の前で、噴き出しそうな表情をこらえながら、「ハンナさん、これはリベンジしなければね。明日はここからそんなに遠くないところに、道ラーメンってもう一軒ラーメン屋があるから連れて行ってあげましょう。近くに韓国系のベーカリーがあるから、帰りに日本のパン屋さんのようなパンも買える」と、ありがたく慰めの言葉をかけてくれた。

何と皆さんやさしいのでしょうか(泣)・・・。

しかしなあ・・・。

こういうサザエさんが、何で犯罪社会のアメリカで暮しているのか、時々わからなくなる私であります。

まあ、「ダルマがゲイシャになった」(と思った)という誤認識が、正しく訂正されたことは感謝でした。

というわけで、私のオースティンでのラーメン屋初体験は、「本機の致命的エラー」にて幕を閉じました。

次回こそは絶対に、地図が読める人と一緒にダルマへ行って、雪辱を晴らすぞ~!と誓ったのでした。


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