変わりゆくカオサン

２００６年の冬休みの３週間で行ったタイ・マレーシア旅行です。

カオサンにはこの７、８年ほぼ毎年立ち寄っている。

好きか嫌いかって言われると、好きでもないし嫌いでもない。

一人でカオサンに居ると、あまりの賑やかさに反対にものすごく孤独を感じ、３日居ればしんどくなってくる。

でも、カオサンで知り合った大切な友人がたくさん居る。

私の旅は大体いつもカオサンから始まり、カオサンで終わる。

カオサンでこれから始まる旅に心を躍らせ、カオサンで旅が終わってしまう事を嘆く。

一つの区切りになる場所だ。

好きじゃないにしても、やっぱり私にとって思い出いっぱいの特別な場所ではある。

今回カオサンをブラブラ散策していてこの７、８年で随分変わったなぁ・・・と思った。

私が初めて行った時に泊まった想い出の宿がなくなり、大きなビルとマックが出来た。

ごちゃごちゃとした昔ながらの土産物屋さんの数が徐々に減っていき、西洋風のお洒落なカフェやバーが増えた。

今回はカオサンの真ん中らへんにスタバが出来てた。

昔は静かだったカオサンの一本裏の通りにも、どんどん新しいバーなどが出来ている。

そして、バックパッカーファッションの消滅。
タイパンなんて誰もはいてないし、売ってても売れないから９０バーツとかで叩き売りをしてる。

あのファッションはバックパッカーにとって永遠の物だと思っていたけど、違うのね。

以前は至る所で見かけたインドの神様Ｔシャツももう売ってない。

今はタイの女の子も随分おしゃれになって、日本の女の子と殆ど変わらないような子も見かける。

うっかりイセタンなんかに以前のようにペラペラのパジャマのようなタイパンを履いて、

ビーサンをペタペタ言わせながら行こうものなら、場違いで自分が恥ずかしくなってしまいそう。

そして、シェイク屋が増えた。
しかも、フルーツをきれいに並べたお洒落なスタンドで、プラスチックのカップに入れてくれるような新しいスタイルの。

私にとってシェイク屋といえば、あの名物の１０バーツ（約３０円）シェイクのおっちゃんだ。

カオサンに行く度に、彼の安いシェイクで渇いた喉を潤したものだ。

いつも黒くすすけたＴシャツを着て、時には手の指も真っ黒で・・・

その手でフルーツを切りいつも眉間にシワを寄せながらミキサーを回し、ビニール袋に冷たいシェイクを入れてくれる。

おっちゃんは私のことなんて覚えてないだろうけど、私は行く度に「おっちゃんのシェイクを飲みに行こう」と思う。

もちろん今回も。

「パパイヤシェイク」「はいよ」

ぐい～～～～んとミキサーを回して出来上がったシェイクを、

おっちゃんは＜プラスチックのカップ＞に入れた。

私は動揺したと同時に、急に悲しくなった。

周りにお洒落なシェイク屋が出来始め、おっちゃんも他に遅れをとるまいとプラスチックのカップに入れるようになったのかと。

おっちゃんには、おっちゃんの昔からのスタイルを守って欲しいのに。

見てると、どうも客が外国人ツーリストの時にカップに入れている様子だった。

２回目に飲みに行った時、おっちゃんがシェイクを入れる直前、

「私はビニール袋がいいの！」