こんにちはニコニコ

今年は、数多くの北欧または北欧関連の映画が日本で劇場公開されました。映画祭で上映されたものやこれから劇場公開されるものを含めると、その数は10本を超えます。秋の東京国際映画祭でもデンマーク映画が最高賞を受賞。ビジネスや旅行、留学など、現地のライフスタイルや文化、考え方を直接肌に感じて帰ってくる人たちも、現地に直接赴くことができない人も、現地を感じることができるというのが映画の素敵な点でもあります。
 
実際にあった話をもとにした物語の中でも、その国を代表する人物が取り上げられたのは、今年でいうと、この夏公開されたフィンランドのアーティストを描いた『トム・オブ・フィンランド』がありました。今年はもう1本、12月7日、クリスマス直前にやってくるのは、スウェーデンを代表する人物、児童文学作家のアストリッド・リンドグレーンを描いた映画『リンドグレーン』が公開されます。


 
数々の名作を生み出したスウェーデンの児童文学作家、
リンドグレーンの半生と名作誕生のルーツに迫る感動作。

アストリッド・リンドグレーンと聞いて、どんな作品が頭に浮かびますか?「長くつ下のピッピ」、「ちいさいロッタちゃん」、「やかまし村」、「名探偵カッレ」シリーズなど、全てが代表作ともいえる素晴らしい作品を世に送り出しています。

そんな、世界70カ国語以上に翻訳され、100以上もの国で出版されている児童文学作家、アストリッド・リンドグレーンは、一体どんな人生を歩んだのでしょうか。映画『リンドグレーン』は、数々の名作誕生に影響を与えたといわれる若きアストリッドの日々を描いた伝記映画です。
 

 
スウェーデン・スモーランド地方の町、ヴィンメルビーの豊かな自然の中で、仲良しの兄弟と、厳しくもいつも見守ってくれる両親のもとで育ったアストリッド。信仰に厚い家庭だったにも関わらず、好きなことをはっきりと言う自由奔放な少女でした。保守的な田舎のしきたりや男女の扱いの違いに息苦しさを感じ始めていた矢先、父の知り合いで地元新聞社の編集長ブロムベルイに文才を認められ、地元の新聞社で働くことになります。

自由と刺激に満ちた世界に、生き生きと執筆の才能を開花。しかしここから、アストリッドの人生は予期しない方向へと向かっていくことになります。16歳から10年に満たない、苦難に立ち向かった作家の知られざる半生、そして名作誕生のルーツに迫ります。
 

2014年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭でQ&Aに登壇したペアニレ監督。デンマーク人と映画の関係や、映画作りの環境など、デンマークの映画事情についての質問にも丁寧に答えているのが印象的でした。
 
本作を手がけたのは、幼少期にリンドグレーン作品から多大な影響を受けたというペアニレ・フィシャー・クリステンセン監督。スウェーデン出身俳優ミカエル・パーシュブラント主演の『愛する人へ』がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014で上映され、監督も来日されています。『リンドグレーン』は長編5作目。日本での劇場公開は本作が初となります。
 
主演のアストリッドを演じたのは、デンマークの巨匠ビレ・アウグスト監督の娘、アルバ・アウグスト。少女時代から激動の人生を好演し、2018年のベルリン国際映画祭でシューティング・スター賞の一人に選出された注目女優です。また、母親役は『真夜中のゆりかご』(15)のデンマーク出身女優マリア・ボネヴィー、父親役は、マイケル・ノアー監督の『氷の季節』(東京国際映画祭2018)に出演したスウェーデン出身俳優マグヌス・クレッペル。
 



 
里親マリーを演じるのは、スサンネ・ビア監督の『未来を生きる君たちへ』(11)や『愛さえあれば』(13)、そしてペアニレ・フィシャー・クリステンセン監督の『愛する人へ』(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014、トーキョーノーザンライツフェスティバル2016)など、数々の北欧作品に出演するデンマーク出身女優トリーネ・ディアホム。さらに、アストリッドの運命を大きく変えた編集長のブロムベルイ役は、ヨアキム・トリアー監督の『テルマ』(18)でテルマの父親役を務めたノルウェー出身俳優のヘンリク・ラファエルセンと、北欧で活躍する実力派俳優陣も大きな見どころです。


 
地元で、“ヴィンメルビーのセルマ・ラーゲルレーヴ(スウェーデン人初、女性初のノーベル文学賞受賞者。『ニルスのふしぎな旅』の著者)”と冷やかされた一人の少女は、作家としてだけでなく、動物愛護や子供への体罰禁止を訴え、オピニオンリーダーとして国内外に大きな影響を与えたことも忘れてはいけません。
 
2002年1月、94歳で波乱万丈の人生に幕を閉じたアストリッド・リンドグレーン。ストックホルム大聖堂で行われた葬儀には国王夫妻も参列。10万人もの人々が沿道で葬列を見送ったといいます。同年秋には、政府より「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」が設立されました。また、2015年秋から新しくなった20クローナ紙幣の肖像に。それまで20クローナ紙幣の顔だったセルマ・ラーゲルレーヴからのバトンタッチというのは、なんとも縁を感じざるを得ないですね。
 
来年2020年は、「長くつ下のピッピ」が生まれてから75周年を迎えるそうです。またあらためて、アストリッド・リンドグレーンという人物をはじめ、作品たちも高い注目を浴びそうな予感。
 

 
ちなみにリンドグレーン作品で筆者のお気に入りを挙げるとしたら、「山賊の娘ローニャ」と「わたしたちの島で」。前者は、NHKBSで2014年秋に放送された宮崎吾朗監督作のアニメーションも見ました。原作はさらに、強くしなやかに生きる術を感じることができる内容でとっても良かったです。後者は、リンドグレーンが脚本を書き、1964年にスウェーデンで放映されたTVドラマシリーズで、のちに小説としてまとめられたもの。本国で1964年に公開された『わたしたちの島で わんぱくアザラシのモーセ』は、2014年に『なまいきチョルベンと水夫さん』というタイトルで日本でも公開されました。
 
『リンドグレーン』は、2019年12月7日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開!
 

リンドグレーン
監督・脚本:ペアニレ・フィシャー・クリステンセン
脚本:キム・フォップス・オーカソン
出演:アルバ・アウグスト、マリア・ボネヴィー、マグヌス・クレッペル、ヘンリク・ラファエルセン、トリーネ・ディアホム
2018年/スウェーデン=デンマーク/スウェーデン語・デンマーク語/123分/原題:UNGA ASTRID/字幕:大西公子/字幕監修:菱木晃子
配給:ミモザフィルムズ
http://lindgren-movie.com/
© Nordisk Film Production AB / Avanti Film AB. All rights reserved.
 
2019年12月7日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開

北欧区HP記事:http://www.hokuwalk.com/News/page/page_id/012019112600015001