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7月13日より、埼玉県川口市にて開催されていた「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019」が21日に閉幕。今年の国際・国内コンペティションは、92の国と地域から861本の応募があり、クロージング・セレモニー(表彰式)にて、最優秀作品賞をはじめとする各賞が発表されました。
 
国際コンペティションでは、長編アニメーション作品として同映画祭が始まって以来、初めてノミネートされた、ノルウェーの『ザ・タワー』が最優秀作品賞(グランプリ)を受賞。なんと、観客賞とのW受賞となりました。また、デンマークのウラー・サリム監督作の『陰謀のデンマーク』が監督賞を受賞し、北欧の2作品で計3つの賞を獲得しました。(おめでとうございます🎉)

▼参考記事
国際コンペに北欧3作品がノミネート!SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019

サスペンスから家族で楽しめるエンターテインメント作品まで、幅広いラインナップが揃った今年の国際コンペティション。印象的だったのは、ノミネート10作品のうち、共同監督作品も含め、5人が女性の監督でした。

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ノルウェー映画『ブラインド・スポット』もまた女性監督作品。なんと、『ボルグ/ マッケンロー 氷の男と炎の男』(17)や『ヒトラーに屈しなかった国王』(16)などに出演する、スウェーデン出身の人気女優ツヴァ・ノヴォトニーが初めて監督を務めました。

ツヴァ・ノヴォトニー監督

話題となったのは、上映時間98分、全編ワンカットで制作されたこと。2018年のトロント国際映画祭でプレミア上映、コンペティション部門に出品されたサン・セバスチャン国際映画祭では、主演のピア・シェルタが最優秀女優賞を受賞。ヨーテボリ国際映画祭でも国際批評家連盟賞を受賞するなど、高い評価を得ています。
 
物語は、変わらない毎日の繰り返しを表現しているかのように、娘テアの女子ハンドボールチーム練習のシーンからスタート。ロッカールームにはシャワー室も(学校も綺麗で羨ましい!)。外はそこまで暗くはないけれど、まだ真冬のような分厚いセーターに、分厚い上着という出で立ち。「マフラーを忘れた」という友達に、少しだけ寒さが和らいできた季節なのかな、というのがうかがえます。帰り道では、お年頃ならではの他の子の話や、宿題・テストの心配をしたりと、日本と変わらないような女の子同士の話が展開されます。

帰宅したテアはいつもと変わらない様子。母マリアは幼いテアの弟を風呂に入れ、絵本を読み聞かせをしながら、いつものように寝かしつけています。やっと食事の支度をしようと、テアに声をかけたマリアですが返事がありません。そして、娘の部屋に入ってみると、窓は開きっぱなしで、テアの姿もなくなっていたのです。




 
ここでカメラは母マリアを映し出していたので、“窓が開けっぱなしでテアがいない”というのは、マリアの表情と目線で判断することになるのですが、上階のマンションの部屋を飛び出し、テアがずっと歩いて登ってきた階段を物凄い勢いで駆け降りていく、恐ろしいほどに非日常的でスピード感のあるシーンは、事の重大さを物語っており、ワンカット撮影の迫力に圧倒されました。
 
いつもの穏やかな日常が突然ガラリと変わってしまう。ワンカットのため、かかる時間の長さで距離感も感じることができ、こちらも知らず知らずに力が入ってしまいます。母親役を務めたピア・シェルタの迫真の演技は鳥肌もの。感情の波や揺れ動きが辛いほどに伝わってきて、目が離せません。何不自由なく過ごしてきたはずの娘に一体何が?何がブラインド・スポット(盲点)だったのでしょうか。
 
本作はまだ、日本での劇場公開が決まっていないようですが、ノルウェーの一般的な家や暮らし、さすが福祉国家といえる施設や手厚いケアなど、細かな文化をリアルに知ることができる機会でもあります。チャンスがあればぜひ!
 
ちなみにノヴォトニー監督は、長編2作目となるコメディドラマ『Britt-Marie var här』(2019年1月25日スウェーデン公開)を手がけています。『幸せなひとりぼっち』の原作者、フレドリック・バックマンの小説がもとになった作品のようで、こちらも惹かれます!


ブラインド ・ スポット<アジアン・プレミア>
監督:ツヴァ・ノヴォトニー
出演:ピア・シェルタ、アンドレス・バースモ・クリスティアンセンほか
2018年/ノルウェー/98分/英題:Blind Spot
 
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019 ※終了しました
期間:2019年7月13日(土)~21日(日)
会場:SKIPシティ映像ホール/多目的ホール(埼玉県川口市上青木 3-12-63)ほか
http://skipcity-dcf.jp/