こんにちはニコニコ


本日は、第70回カンヌ映画祭で最高賞となるパルムドールを受賞し、今最も勢いのある北欧出身監督の一人、リューベン・オストルンド監督最新作『ザ・スクエア 思いやりの聖域』をご紹介します。

日本でも衝撃的な作品となった前作『フレンチアルプスで起きたこと』(15)のオストルンド監督作品。しかもパルムドール受賞という快挙で、いったいどんな作品なの??と、『THE SQUARE』というタイトルが頭から離れないほど(!)、筆者も日本での劇場公開を心待ちにしていた作品のひとつ。いよいよ今年4月28日に公開されます。



美術館を舞台に、現代に蔓延る社会問題を
想像力と、毒と、ユーモアで絶妙にあぶり出す


世間から信頼と尊敬を集めるセレブの一人、現代美術館のキュレーターである主人公のクリスティアンは、次の展覧会で「ザ・スクエア」という地面に正方形を描いただけの作品を展示すると発表。この「ザ・スクエア」は、信頼と思いやりの聖域であり、この中では誰もが平等の権利と義務を持つ」と、エゴイズムや貧富の格差といった現代に蔓延る社会問題に一石を投じる狙いがありました。しかし現実は理想どおりには行かず、挙句の果てにクリスティアンの行動は、正義とはほど遠い、周囲を裏切るものになってしまいます。
 

『フレンチアルプスで起きたこと』は、監督の鋭い洞察力で、人が触れられたくない、目を背けたくなる醜い部分をブラックユーモアで浮かびあがらせ、人間の持つ滑稽さや可笑しさを皮肉たっぷりに描き、世界に衝撃を与えました。本作もオストルンド監督ならではの見どころがいっぱい。


例えば、定点カメラで、事が起こっているほうは映し出されず音のみで、それに反応する人々の表情や見て見ぬふりをする人々のリアクションが映し出される演出などは、2011年東京国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した『プレイ』(11・未)でも見せており、好奇心と恐怖心をあおってきます。

また、予想どおり、カオスなシーンも(笑)主人公には物理的にも精神的にも「カオス」がやってくるのですが、『フレンチアルプスで起きたこと』にもあった“ガンガンに踊り狂う”シーン。声もかけられないほど、引いて見てしまうカオスな雰囲気のパーティーシーンは、ストレス社会を表しているようにも見えます。さらに、セレブの前で行われたパフォーマンスアートのシーンが衝撃的。観ている側も仰け反ったり、目を背けたくなるほど。



あなただったら、こんなときどうする?
観る側を刺激し、静かに鋭く問いかける


このストーリーの中には、さまざまな人間の醜い心の内や社会問題を掲げ、観ている我々を刺激し、挑発してきます。


*傲慢になっていないか?

*誰かのせいにしたり、誰かを責めたりしていないか?
*どこまで表現の自由は可能なのか?
*人はどこまで寛容でいられるのか?
*助けを求められたとき、行動におこせるのか?
*子供たちに堂々と顔向けできるのか?
*ウソや言い訳で生きていないか?
*「ごめんなさい」とすぐに言えるか?


『フレンチアルプスで起きたこと』でも感じられた、シュールで毒づいた笑い、ブラックユーモアといったオストルンド節があちこちに散りばめられていて、我々に向かって「今笑っているそこのあなた。他人事じゃないよ、こんなとき、どうする?」と静かに指をさして突っ込んでくる、刺激的かつスリリングな演出は健在。また、「言っていることと、やっていることが違う」という矛盾した人間の行動をオストルンド監督は鋭く描きます。これはきっと、認めたくないけれど、万国共通の「あるある」ともいえる、人間の愚かで普遍的なテーマなのではないでしょうか。

刺激的な内容なのは、単に人間の愚かさや社会を悲観しているわけではなく、観ている人に気づきを与え、周りに無関心でいることの恐ろしさを伝え、議論してもらいたいというのが監督の狙いでもあるのだと。


社会的立場もあり、知的な紳士。だけどちょっと抜けている魅力的な主人公クリスティアンを演じるのは、デンマーク生まれの俳優クレス・バング。本作でブレイクし、人気作『ドラゴン・タトゥーの女』の続編への出演が決定。彼の演技も見逃せません。(終盤の〔これまた可笑しい〕長ゼリフのシーンは圧巻)

 

向こうからもツッコんできますが、こちらからもところどころでツッコミたくなる!最後の最後まで惹きつけられてしまう『ザ・スクエア 思いやりの聖域』は、4月28日(土)公開です。



 
ザ・スクエア  思いやりの聖域
監督・脚本:リューベン・オストルンド『フレンチアルプスで起きたこと』
出演:クレス・バング、エリザベス・モス、ドミニク・ウェスト、テリー・ノタリー他
2017 年/スウェーデン、ドイツ、フランス、デンマーク合作/英語、スウェーデン語/151分/DCP/カラー/ビスタ/5.1ch/
原題:THE SQUARE/日本語字幕:石田泰子  後援:スウェーデン大使館、デンマーク大使館
配給:トランスフォーマー
http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/


ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ、立川シネマシティ他
4月28日(土)全国順次公開!


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北欧区HP記事:http://www.hokuwalk.com/News/page/page_id/012018030500015001