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8/27公開初日から多くの来場者でにぎわう、女優イングリッド・バーグマンの素顔を描いたドキュメンタリー映画『イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~』を手がけたスティーグ・ビョークマン監督が来日。

先日スウェーデン大使館にて、監督が制作したスウェーデン映画界の巨匠イングマール・ベルイマンのドキュメンタリー(日本未公開)が上映され、その後、作品づくりの経緯、ベルイマンへや映画への想いなどを熱くお話してくださいました。

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スティーグ・ビョークマン監督(中央)
 

ベルイマンを描いたドキュメンタリー『しかし、映画は私の愛人』(2010年/日本未公開)のタイトルは、ベルイマンが生前口にしていたという、「劇場は私の妻、しかし映画は私の愛人」という言葉を引用したものだとか。彼が活躍した2つのフィールドを表現しているといいます(映画は私の愛人?!色々ツッコミたくなる表現ですよね~)。

ビョークマン監督は、ベルイマンのドキュメンタリーを作るにあたり、Swedish Film Instituteに寄贈された50年代からのベルイマン映画の貴重なメイキング映像を使用。8~10分ほどの短いものもあれば、3時間にわたるものなど、映画によって長さがバラバラだったそうですが、その中の8本の作品を素材として使ったといいます。

晩年の『ある結婚の風景』や『秋のソナタ』は、音声が入った状態で保管されていましたが、その他の初期の作品は無声で映像のみ。そこに、ビョークマン監督が親しくしている、ベルイマンに思い入れのある8人の監督たちのインタビューを声だけ乗せ、編集したそうです。ベルイマンという監督としての才能、作品への姿勢、人柄が鮮やかに描かれていました。


イングマール・ベルイマン監督『秋のソナタ』で共演したリヴ・ウルマン(左)とイングリッド・バーグマン(右)。
今年9/17より開催される『スウェーデン映画祭』でも上映されます!
©1978 AB Svensk Filmindustri

 

『しかし、映画は私の愛人』は6年前に撮った映画。今でも思い出深いと感じるのは、ベルイマン作品のミューズ、女優リヴ・ウルマンに実際に出演してもらい、遺作となった『サラバンド』の冒頭と終わりのシーンを再現してもらったことがとても楽しかったと語っています。

『サラバンド』は今回使った作品の中で一番好きだというビョークマン監督ですが、ベルイマン全作品の中では、「これはいつも答えるのが難しいけれど・・・」と添えた上で、『仮面/ペルソナ』と回答。理由は、非常に実験的で過激なベルイマンの一面が出ているからだそう。

メイキング映像をたくさん使用しているベルイマンのドキュメンタリー。そこには、出演者とスタッフとベルイマンが、まるで家族のように一丸となって、じっくりと熱く語り合う姿がありました。「メイキングでおもしろいのは、現場でのベルイマンの制作スタイルが見えること。映画を作る喜びにあふれている。俳優にぴったりくっついて撮影したりね(笑)とても楽しげな現場。それを感じてもらえたら」とビョークマン監督。

カメラには(ギリギリ)入っていないけど、演じている俳優の隣、しかも至近距離で一緒に歩いたりするベルイマンを見て、「あんなふうに動きまくって撮ってるんだ!」と正直驚きました(監督って監督イスに座っているイメージが…笑)。なんといっても、(シリアスな場面なのに?)現場が和気あいあいとしていて楽しそう!監督らからも、出演者からも、ベルイマンがモテモテである理由が、わかった気がしました。
 

特に、イングリッドとベルイマンのやり取りが面白かったです。『イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~』での二人は、ちょっと険悪な雰囲気に見えましたが(笑)、『しかし、映画は私の愛人』では、理解できない心情や場面は、とことん向き合って、良いものを作ろうという情熱が伝わってきました。


『イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~』 8/27より、Bunkamura ル・シネマより全国順次公開中!

質問者からの、「ベルイマンは、"映画は愛人"と答えていますが、ビョークマン監督にとっての映画は?」という問いかけに、「映画はパッション(情熱)」と笑顔。9~10歳ごろに映画館で見た映画に衝撃を受け、その頃からずっと映画の仕事をしたかったといいます。

スウェーデンには当時映画学校がなく、建築を選んだ監督でしたが、卒業時に短編を制作。映画誌の編集者、編集長を務め、海外映画誌へも寄稿。ベルイマンほか、ウッディ・アレン、ラース・フォン・トリアーのインタビュー本も手がけており、これまで約300もの映画作品に字幕翻訳をつけるという経歴の持ち主。
 

「ずっと映画に関わる仕事をしています」というビョークマン監督。映画一筋。ビョークマン監督の映画愛を支え続ける情熱があるからこそ、知られざるベルイマンやイングリッドの素顔を覗くことができ、映画の魅力を再認識することができるトークショーでした。ビョークマン監督、ありがとうございました!


【プロフィール:スティーグ・ビョークマン】
1938年生まれ。1960年よりスウェーデンの映画誌で編集者、編集長を務め、日刊紙や海外映画誌へ寄稿。ベルイマン、ウッディ・アレン、ラース・フォン・トリアーへのインタビュー本を手がける。1974年から1年間、ストックホルム演劇学校で映画監督の教員を務め、1975年から2年間はデンマーク映画協会で映画コンサルタントに。英語・イタリア語・デンマーク語・フランス語・ドイツ語からスウェーデン語へ約300作品に字幕翻訳をつける。ベルイマンのドキュメンタリーを制作後、イングリッド・バーグマンの娘イザベラらに、イングリッドの映画制作を依頼され、『イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~』(日本では8/27より公開中)が完成。2015年のカンヌ映画祭でプレミア上映された。

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※前夜祭イベントは9/16(金)!

 

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