何か最近のDXだとか、流行言葉が出てきて、デジタル化、IT化、IoT化、AI化に振り回されていると思ったら、今度はDXだってさ。

 日本人て、どうなってしまったのかと思うね。

 自分から見れば、自分たちは昭和40年代~50年代の横断型基幹技術振興まっただ中で育ってきたし、その横断型基幹技術で全体最適を目指すことが国際競争力強化だと思って取り組んできた。

 しかし、バブル期から事務屋経営者が幅を利かし、自分たちが理解できないものは排除し、ただの文字変換屋がシステムエンジニアなどと呼ばれるようになって、さらには「大学は学問を究める所」などという前時代的な大学が日本の低能化を招き、日本は国際競争力を失い、失われた10年…が始まった。

 それに危機感を持ったのだろうか、東大の木村英紀教授が改めて横断型基幹技術に光を当て、

・日本の技術の底上げに必要なことは、弱い「理論」「システム」「ソフトウェア」 (横断型基幹技術)の三位一体での振興である

・ノベーションを実現するには、複数の知から新しい知を創造する「知の統合」が必要であり、蓄積した要素技術を統合するシステム技術が実用化を可能にする

と述べてから、25年以上経つのではないだろうか。

 木村先生の言葉を真面目に展開し、少なくとも学者先生、教育界、民間事業者たちが手を携えて実践していれば、今頃DXなどという言葉を後追いすることなく、自分たちで新たなイノベーションの道を歩んでいただろうと思うのだが、日本国内では自己利益、自己保身に走る輩が多すぎ、未だにバラバラで纏まる気配さえ感じられないのは極めて残念なことだ。

 自分が思うに、特にOR(オペレーションズ・リサーチ)は間口が広く奥行きが深く、皆が真面目に協力して取り組めば、日本が抱える多くの問題に対して全体最適な解決方法を提供してくれるだろうと期待していたのだが、そうはならなかった。

 日本の学者先生たちや教育界や民間事業者たちは、日本が得意とするところの真面なチームワークで「(1+1)≫2」レベルの能力発揮を放棄し、「(1+1)≦1」レベルにとどまっているというあまりにも悲しい結果をもたらしているのだ。

 もうこれは日本の害毒でしかない。

 その結果、国民総白痴化しているといっても過言ではないだろう。

 自分たちが協力し合って自分たちの頭で考えて、最適な道を歩み始めるまで、まだどのくらいかかるのだろうか。