先日記事にした『家庭教育支援法・条例「反対論」の矛盾と反論(1)』に続くものですが、この記事は既に前の記事でお伝えしたように、5月14日、東京にて開催された指導者会議の資料の【家庭教育支援法・条例「反対論」の矛盾と反論】を記事にしています。大きく5つの「反対論」を挙げ、その矛盾を指摘し、反論を述べていますが、今日は残りの2つを紹介したいと思います。

 

 

【反対論】4

「ライフスタイルを自由に選ぶ女性はわがままと言われる社会になっていく。卵子が老化する前に結婚をしろ、子どもを産め、国にとって役立つ子に育てよ。働け働け、活躍しろ。でも保育園は期待するなよ、と」。

 

⇒反論:あまりにもうがった見方。家庭教育支援法においては、家庭教育の主体を「父母その他の保護者」としており、殊更に「母親」「女性」のみの責任を強調した箇所は一か所もない。少なくとも法律の文面から、この弁護士が懸念するような含意を読み取ることはできない。また、家庭教育支援は、「家庭教育を通じて、父母その他の保護者が・・・・・子育てに伴う喜びを実感できるよう配慮して行わなければならない」と明記されており、この条文から観ても、女性を追い込み、苦しめるような施策を実施する余地はない。

 

ちなみに「卵子の老化」という言及があるが、加齢によって不妊など様々なリスクが高まることを含め、妊娠などについての知識を教えることは、むしろ女性が自らのライフプランを立てる上で重要だ。実は、イギリスの研究グループが行った国際調査では、日本の男女が、妊娠に関する知識に乏しいことが明らかになっている。「女性の妊娠できる能力は40代では30代より低下する」ことを知っている割合が、ニュージーランド、オーストラリアの約半分だったのだ。

 

 

聖路加看護大学の森明子教授は「日本では、不妊に直面して初めて、加齢によって妊娠率が下がると知り、仕事のキャリアを優先したことを後悔する人が多い。妊娠についての教育を充実させるとともに、企業も妊娠や出産といった人生設計を支援する態勢を整えるべきだ」と指摘している。これは、妊娠、出産ばかりではなく、結婚や家庭形成、育児にも言えることだ。それらに関する知識を学ぶ場を整え、必要な支援ができる体制、環境を整えることは、むしろ、結婚し、子供を設ける男女を助けるために必要なのである。

 

また、保育園を増やさない、とはどこにも書いていない。むしろ、「国、地方公共団体、学校、保育所、地域住民、事業者、その他の関係者」が連携して、それぞれの家庭が自主性をもって喜びを感じながら家庭教育ができるよう、支援し、サポートする役割を果たすべき、と書いてある。どこが女性を追い詰める法案なのか?

 

 

【反対論】5

「支援法案を推進する人たちは、基本的に権利意識が邪魔なわけです。それより規範を強化したいと思っている。自民党は『子ども・若者支援法』の改正ももくろんでいますが、やはり道徳的な規範を強化する方向性。複数の法律が連動して息苦しさが高まり、無力感が国全体に蔓延するのを危惧しています」

 

⇒反論:道徳的な規範を強化することが、なぜ息苦しさにつながり、無力感につながるのか。法治国家においては、自他の権利を守るために、規範や法律が定められている。権利と規範は対立するものではない。むしろ「遵法意識」の低下こそ、公共の福祉を損ない、他者の権利を侵害する、憂うべき事態ではないのか。質問の言葉に従えば、規律正しい企業やスポーツクラブは、おしなべて、息苦しくなり、無力感が蔓延することになってしまう。快適なドライブを可能にするには、交通法規の遵守が必須であるように、自由や権利を万民が享受するためにも、道徳的な規範の遵守は不可欠である。

 

 

以上、5つの【反対論】と反論を紹介しました。【反対論】の内容に共通して言えることは、「個人の権利」と「家族の尊重」、「自由、権利の擁護」と「道徳的規範」、「個人・家族」と「国家・社会」、「男性」と「女性」など、どれも相補的であったり、協力し合う関係にあるものを、わざわざ対立的にとらえて反対論を構築していることが根本的におかしいと思いますが、皆さんは、どのように感じたでしょうか?

 

二回に分けて、東京で開催された指導者会議の資料の一つである【家庭教育支援法・条例「反対論」の矛盾と反論】を紹介する記事を書いてみました。(谷口禎和)