近年、学童保育所や放課後児童クラブよりも先に乱立していた放課後デイサービスなどの障害児支援施設の経営破綻や事件事故のニュースを目にすることが増えました。

支援を必要とする子どもの増加を背景に、民間企業の参入が増えたことが背景にあります。

受け皿の増加に伴わない人材の数や質の問題が、子ども達への実害という形で露になっています。

同じ光景が、今後学童保育の分野でも見られるようになるでしょう。

共働きや親の病気等で放課後児童クラブや学童保育所へ子どもを預けるニーズが高まっています。

しかし、公立の放課後児童クラブや学童保育所の設置数にはどうしても限りがあります。

そうなると民間参入の後押しが進みます。

現状の放課後児童クラブや学童保育所に限界を感じて、自ら作る人もいるようです。

筆者も公立には嫌気がさして、誰かNPO法人の立ち上げ方教えてくれ、経営の仕方教えてくれと思っていました。

最近では自宅開業して子どもを預かるというサービスを提供するものもあるようです。


さあ、思い出してください。

ここで人材の質を本当に真剣に担保しなければ何が起きるかを。

虐待、わいせつ、暴行傷害。殺人だって絶対起こらないなんて言えません。

ここまでに至らなくても、暴言や差別…ありえますよね。

子ども達の健全な育成のために何が必要か。

保育の本質をきちんと理解し、アセスメントと介入のスキルを持ち、常に学んでいく力のある者を、組織としてきちんと確保する。その能力をきちんと評価し、労働に対してきちんと対価を払い、雇用を安定させる。

労働者を雇う組織として至極全うなことをすれば良いだけです。


民間や個人参入の波は、今後益々大きくなります。

勉強を教えてもらえる、英語や水泳などの習い事ができる、公立に比べると子ども達の体験格差が明らかに起きていると感じます。

筆者の放課後児童クラブは子ども達の特性や支援員不足も相まって、近場の公園へ行くのが精一杯ですからね。


どんなにここで警鐘を鳴らしても、今後必ず問題は起きます。

公立と民間の格差も広がり、子ども達の経験格差も広がるでしょう。

参入する事業主が福祉系だったり民間企業だったり、宗教染みていたり、何者だ?という人だったりするでしょうね。

現状ですら、統一されていない基準で100ヵ所あれば100通りで運営されているのに、今後さらに多種多様な人物や業態がやりだしたら…


学童保育を謳う施設が乱立する未来では、保護者は「とにかく子どもをどこかへ預けなければ」という視点を捨てなければ、自分の子どもを守れないでしょう。

どうか万一が起きる前に、保護者が学童保育についてもっとよく知ってくれますように。

大事な子どもを誰に預けているか知ってくれますように。

放課後児童支援員がどんな思いで保育しているか知ってくれますように。

どんな学童保育にしていくのがよいか、支援員と一緒に考えてくれますように。

そして行政や国に意見してくれますように。

現場の声はちっとも届かないので…

学童保育の未来は益々不安定です。