学童保育の保育環境整備において圧倒的に足りていない視点、それはメンタルヘルスです。

一人の児童を保育するための適切な面積は、参酌すべき基準で概ね1.65㎡以上とされています。

これを超えると人間のメンタルヘルスにどのような影響があるのか。

密集環境に人間を長時間置いた場合の精神状態について、悪影響だという研究結果あるはずですよね。だから基準が設けられるんですよね。

なぜ守らないのですか。


支援員の配置数は、参酌すべき基準で、支援の単位ごとに2人以上

集団規模(児童数)は、参酌すべき基準で、一つの支援単位につき概ね40人以下

現在保育園・幼稚園の保育士一人が何歳児を何人見るのが適切なのか、議論ありますよね。

なぜ小学生はそれを遥かに超えても良いことになっているのですか。

小学生になった途端、急激に人の言うことが聞けるようにはなりませんよ。集団行動できるようになりませんよ。思いやり、言葉遣い、ルールを守る、できませんよ。

定型発達児が 15人の集団なら、支援員一人でも大丈夫かもしれませんが、定型発達児13人と神経発達症(発達障がい)児2人の集団を支援員一人で見ることは不可能です。

適切な保育ができない状況は、子ども達の心の成長に必ず影響を与えますし、同時に支援員のメンタルヘルスをも崩壊させていきます。

放課後児童支援員のメンタルヘルスを健康な状態に保つことは、支援員一人ひとりの人権や労働者としての権利を守るためにも、適切な保育を提供する環境整備の一つとしても、とても大事なことで大前提です。

そして、神経発達症やグレーゾーンの児童に対して、加配をつけられない、保育スキルのある支援員が不足する場合は、定型発達児のメンタルヘルスにきちんと大きく影響します。

神経発達症児と定型発達児が同じ環境下で、よく聞く"お友達を助けてあげて優しい心が芽生えました"みたいなことは、適切な保育・教育あってこそ叶うことです。

雑多な環境下に異年齢の子ども達がただいる環境で、そんなものは身に付きません。勝手に身に付くものではありません。

逆に、元々の性質として思いやりのある子ども達が空気を読み、様子を伺い、自分の本当の気持ちを我慢したり、悲しくなったり、放課後児童クラブに行きたくなくなったりするのです。

見ていて本当に切ない。

こうなったら、もう学童保育所や放課後児童クラブが何のためにあるのかわかりません。

適切な介入がされない特性のある子ども達はもちろん、その特性に振り回される定型発達児も、何とかしようと思ってもどうすることもできない支援員にとっても、誰のためにもなっていません。


なぜ改善されないのか。

自治体が、国が、メンタルヘルスの重要性を知らないから、関心が無いからです。これに尽きます。

きちんと知識を持ち関心があれば、こんな不適切な保育環境を長年維持するなんてことはないはずです。